「
利用者:Notorious/サンドボックス/ぬいぐるみ
」を編集中
3年1月18日 (来) 20:56時点における
Notorious
(
トーク
|
投稿記録
)
による版
(闢、3)
(
差分
)
← 古い版
|
最新版
(
差分
) |
新しい版 →
(
差分
)
ナビゲーションに移動
検索に移動
警告: このページの古い版を編集しています。
公開すると、この版以降になされた変更がすべて失われます。
警告:
ログインしていません。編集を行うと、あなたの IP アドレスが公開されます。
ログイン
または
アカウントを作成
すれば、あなたの編集はその利用者名とともに表示されるほか、その他の利点もあります。
スパム攻撃防止用のチェックです。 けっして、ここには、値の入力は
しない
でください!
==8月13日20時39分 城島浩司== YGT-081-“ロックイーター”の調査は順調に進んでいた。沖縄県糸満市に位置する、沖縄本島最南端の喜屋武岬。波打ち際より少し陸側に、礁池が広がっている。ここの方言では「イノー」というらしい。 日は沈んだが、そこかしこに設置された投光器によって、岩の地面は明るく照らされていた。埋め立て工事前の調査という名目で、YGT財団機動部隊第二十七分隊“ルック・ハイ”は派遣されていた。その真の目的は、半径10メートルもの岩をくり抜く、ロックイーターの調査。このYGTは最近発見されたばかりで、どのような形態をしているのか、そもそも実体があるのかすらわかっていない。だからこそ、この調査は意義がある。“ルック・ハイ”分隊長・城島浩司は、そう考えていた。 第一小隊長の樋口小百合が、資料が挟まれたバインダー片手に駆け寄ってきた。 <br>「分隊長、超音波探査が完了しました。向こうの旗が立っている地点の直下12.08メートル地点を中心に、半径9.66メートルの完全な球の岩がくり抜かれています」 <br>「半径は今まで発見された穴のそれと一致するな」 <br>「はい。崩落の危険性は、当座は無いようです」 <br>「よし。至急報告書をまとめろ。日付が変わらないうちに、本部に送付するんだ」 <br>「了解です。……カバーストーリーはどうなるんでしょうかね。やっぱりシンクホールとかでしょうか」 <br> 樋口が職務範囲を逸脱する話をすることは今まで無かったから、浩司はちょっと驚いた。 <br>「まあそんなところじゃないか。だがそれは隠蔽作業員のやつらが考えることだ。俺たちが考える必要は無い」 <br>「……おっしゃる通りです。失礼しました」 <br> ちょっと冷淡に言い過ぎただろうか。樋口の声が想像より沈んでいたため、浩司は付け足した。 <br>「樋口は隠蔽作業員を目指しているのか?」 <br> 少し躊躇するような間のあと、樋口は首肯した。ショートカットの髪が揺れる。 <br> 財団職員、常習者はAからEまでのクラスに分類されている。アルファベットが早いほど、安全で機密へのアクセス権も強い。樋口を含めた機動部隊員はDクラスで、浩司をはじめとする分隊長だけはCクラス職員だ。職員たちは、経験や貢献度、技能などに応じて、次のクラスへと昇格されていく。 <br>「分隊長はどうして機動部隊に残ったんですか? Cクラスだから、隠蔽作業員にもなれたのに」 <br> 当然だが、直接YGTと対峙する機動部隊員よりも、隠蔽作業員の方が安全である。そのため、ほとんどのCクラス職員は隠蔽作業員を志願する。しかし、浩司は違った。 <br>「ちょっと事情があってな。そういう樋口はどうして隠蔽作業員を志望してるんだ?」 <br>「ちょっと事情がありまして」 <br> そう言うと、樋口はふわりと微笑んだ。つられて浩司も唇をほころばせる。調査の結果、ロックイーターのオブジェクトクラスがKohinoorを脱さないだろうことがわかり、部隊の緊張が緩んでいたのだ。 <br>「さあ、報告書をよろしく頼んだぞ」 <br> 樋口は背を向け、崖下に建設された調査拠点へと、小走りに向かっていった。その拠点も、明日には引き払うことになるだろう。浩司は真っ暗な海に目を向けた。闇に隠れて水面はほぼ見えないが、規則正しい波音が海の存在を知らせてくる。浩司は昔から、夜の海が好きだった。理由はわからない。しかし、落ち着くようなノスタルジックになるような、なんとも形容し難い気持ちになるのが、心地よかった。 <br> 浩司は今年29歳、財団職員となって10年目だ。高卒直後に常習者となったため、勤続年数が長く、そのため20代でのCクラス入りという異例の出世を成し遂げている。対する樋口は27歳。年はほぼ同じなのに、階級の差のせいで堅苦しい話し方をされるのは、少し居心地が悪く思っている。 <br> 樋口小百合の仕事ぶりは上々だ。丁寧かつ迅速で、些細なことにもよく気づく。今年度上半期の昇級分隊長推薦は、彼女が妥当だろうな。彼女の夢が叶うのも、そう遠くない未来かもしれない。 <br> そんな思惟は、当の樋口の上擦った叫び声で途切れた。 <br>「分隊長! 那覇市街に外部存在が出現しました!」 分隊長の浩司と10の小隊の隊長全員、総勢11名が拠点の会議室に集まっていた。備えつけのスクリーンに、第十二分隊“さきがけ”の航空部隊が撮影している映像が映っている。市街地におけるHoeflerクラスのYGTの出現。前代未聞の一大事だ。いや、前例はあったか……? スクリーンは3分割され、そのうち2つには上空から対象に接近するヘリコプターからの映像が、残りの1つは地上のエージェントからの映像が流れている。ヘリは対象から100メートルほど離れたところを旋回している。その対象、それは巨人だった。瓦礫の体に火花をまとった、首無し巨人。浩司は、いやこの部屋にいる全員は、その威容に圧倒されていた。巨人は鉄の腕を振り回して、ビルを殴る。その度に、ビルは揺れてコンクリートの破片が散っていく。その足元で、まるで蟻のように散り散りに逃げていく影が、人間であると気づいた時、浩司は戦慄した。 この緊急事態に、財団は最寄りの第十二分隊に接近調査を命じた。その航空部隊が、先遣隊として偵察に向かっている。第二十七分隊は、バックアップ部隊に指名された。今、隊員たちは出動準備を大わらわで進めている。 画面の中の巨人が伸び上がり、太い右腕をビルの屋上に振り下ろした。建物が限界を迎え、亀裂が入った屋上の一角が崩落した。それに続いて、ビル全体が大きく揺れた。あっという間もなく、ビルはふわりと視界から消え、代わりに灰色の煙がもうもうと上がってくる。わずかに遅れ、ドオォーンという轟音が聞こえてきた。室内の全員が、思わず息を呑んだ。なんて暴力、なんて脅威。 2機のヘリは、巨人から80メートルほどに接近していた。互いが巨人に対して反対側の位置にいる。画面越しに、ヘリの無線が聞こえてきた。雑音混ざりだが、浩司の耳は会話の断片を聞き取った。 <br>「──リ機関砲の使用を許可する」 <br>「コブラ・ワン了解、15ミリ機関砲準備」 <br>「コブラ・ツー了解、15ミリ機関砲準備」 <br>本部が、武器の使用を許諾したのだ。他の抑制方法を諦め、武力によってこの巨人を制圧するという選択。 <br>「撃ち方用意。……撃て!」 <br>バリバリバリという銃撃音が響き、巨人の肌の2カ所から細かい破片が舞う。巨人は変わらず近くのビルに体当たりをしていた。2機のヘリは、機関砲を正確に当て続けた。狙う場所を徐々にずらしていく。絶え間なく放たれる銃弾が首のあたりをえぐった時、巨人に変化が訪れた。身をよじり、弾を気にしたような素振りを見せたのだ。腕を振り回し、空を掻く。ヘリは細かく移動しながら、照準を首に合わせ続ける。効いている、と浩司は思った。巨人に攻撃が効いている、つまり無敵ではないということだ。物理攻撃が通るという事実が、浩司の心を休めた。 <br>「こちら本部。コブラ・ワン、コブラ・ツー、空対地ミサイルの使用を許可する」 <br>「コブラ・ワン了解、ミサイル発射用意」 <br>「コブラ・ツー了か……ん?」 その時だった。
編集内容の要約:
WikiWikiへの投稿はすべて、クリエイティブ・コモンズ・ゼロ(パブリックドメイン) (詳細は
WikiWiki:著作権
を参照)のもとで公開したと見なされることにご注意ください。 自分が書いたものが他の人に容赦なく編集され、自由に配布されるのを望まない場合は、ここに投稿しないでください。
また、投稿するのは、自分で書いたものか、パブリック ドメインまたはそれに類するフリーな資料からの複製であることを約束してください。
著作権保護されている作品は、許諾なしに投稿しないでください!
編集を中止
編集の仕方
(新しいウィンドウで開きます)
このページで使用されているテンプレート:
テンプレート:傍点
(
編集
)
案内メニュー
個人用ツール
ログインしていません
トーク
投稿記録
アカウント作成
ログイン
名前空間
利用者ページ
議論
日本語
表示
閲覧
編集
ソースを編集
履歴表示
その他
検索
案内
メインページ
最近の更新
おまかせ表示
MediaWikiについてのヘルプ
ツール
リンク元
関連ページの更新状況
利用者の投稿記録
ログ
利用者グループの表示
特別ページ
ページ情報