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排中律
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== 妖怪としての排中律 == 排中律は非常に危険な妖怪として古くは非常に有名であったが、これに関する箝口令が敷かれてから以降の記録はほとんど一切存在していない。 というのも、この妖怪を極めて強力なものたらしめているのが、排中律について述べるものの中間を抜き去ってしまうという性質にあるためである。 なおこれは、例えば排中律を示しているならば「排中律」として述べられている必要はなく、排中律の隠語を作ったり指示語で示したりする行為は無意味なものである。 これは一見恐ろしい行為にはとても思えないものの、この「中間」というものは、例えば文章の場合にはただ単に文字を抜き去るのみならず、 その抜き去るものは行、段落、節、果てにはページ、その文章、その媒体、その媒体があるサイト、さらにはその文章の形式といった、大規模なものや概念上のものにさえも及ぶのである。 さらに、もしその「述べたもの」のすべてを抜き去ってしまった場合、「述べたもの」だったそれは「排中律」というものとみなされるようになってしまう。 この現象は今までに、排中律について歌った詩の形式、そして排中律を説明した論理の形式において発生した二度しか確認されていないが、この隠蔽に特化した能力を考慮すれば、すでに排中律は数多く存在しているものとみられる。 ところで、もし排中律にこの「述べるもの」として人間が定められてしまった場合、良くて細胞の一つに穴が開いたり、臓器に穴が開いたり、またはその人体そのものに大穴が開いて即死してしまったりするという程度であるのだが、 最悪の場合、人類そのものが「抜き去られてしまう」、つまり消滅してしまう可能性がある。 しかしながら、「排中律への言及」が引き金となる人類滅亡は、「排中律」を把握できているならば容易く回避できる。 そう、すべての「排中律」を把握できているならば。 排中律は排中律に言及するすべての存在の中間を抜き取る。これは元々「述べるもの」だった排中律に対しても例外ではない。 そして、「排中律」のなかでも三文字中三文字が抜き取られて「名前が消失した」ものは、後に人間に何かしらの名前を付けられ、その状態で現在も存在しているだろう。 つまり、例えば「りんご」や「鉛筆」といった普通の言葉への言及でさえ、実際には意図せずに排中律を言及してしまっていることになる可能性もゼロではないのだ。 タチの悪いことに、排中律はこのような自らに不利になる情報を徹底的には隠蔽せず、むしろ少しだけ、まるで私たちをあざ笑うかのようにその存在をほのめかすようにすることがある。 また、「抜き去り」のメカニズムについて、人間の知覚できない四次元空間におけるW軸の方向に情報を移動させているだけなのではないかともいわれているが、 四次元空間へと移動する方法は存在していないため、この説が正しいのか正しくないのかが判明することはこれからもないだろう。
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