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二零零事件
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==事件の流れ== この節では、事件についてのいくつかの伝承のうち、最も一般的な方を採用してその概要を解説する。 中国の歴史書『史記』には以下のような記述があり、数々の派生形もこれがもとになっていると考えられている。 {{引用|引用文=二零零は狂熱的な男で、天地を彼自身の手に入れたいと切望していた。彼は狡猾な男でもあったため、すでに天地の一つを手に入れた誰かから、それを奪う企てを持っていた。二零零は怜悧な男で、盤古が天地を手に入れた者の一人であることを即座に知った。彼は物怖じを覚えない男でもあったため、ただの三日をかけて盤古を謀殺し、天地と、ついでに盤古の亡骸とを掌中に収めた。即日このことが天下に知れ渡った。一躍有名になった二零零は、自らの強い承認欲求を満たした。}} 『史記』とほぼ同時に編纂された『史記伝』には、これと全く同じ伝承が少しだけ詳細に書かれている。以下、『史記伝』の記述に忠実に解説を進める。このため、以下は明らかな誤謬や、創作と考えられるものを含む。 ===出自=== まだ神々と人間が一つの場所で暮らしていた紀元前6000年の夏<ref>実際には紀元前2000年ごろの春だったと考えられている。</ref>、零零は二家の末っ子として誕生した。幼いころから物静かで、走り回るよりも木陰に座って休むのが好きであった。この調子なので夜はなかなか寝付けず、育ての母はとても苦労した。 二家は代々養蚕を生業にしてきたが、長男でない零零はこれを継がず、13歳で詩学<ref>ここでいう「詩学」とは、恐らく「詩を読み書きして感受性を高める」といった程度の意味であり、アリストテレスの言ったようないわゆる「学問としての詩学」ではないと思われる。</ref>に励むようになった。 ===天地の研究=== その頃、天と地はほとんどくっついていた。あらゆる生物は背丈が非常に低いか、さもなくば寝転がるかして、天と地のわずかな隙間を利用して生きていた。ところが、二零零が36歳のときに盤古が生まれた。盤古の背丈は日に日に伸びていき、伴って徐々に天が押し上げられていったので、天地が乖離した。 人々は半日ほど騒いだだけですぐにこの出来事を気に留めなくなったが、零零はそうではなかった。この出来事にひどく引き付けられたのだった。その後彼は詩学を捨てて天地の研究に没頭した。天へと続く階段を必死で登り、太陽が非常に熱いということを誰よりも早く確認した。さらに、地面を夢中で掘り、その一番深いところが平地の何百倍も高温で、何百万倍も高圧の状態になっているということを誰よりも早く突き止めた。 このように懸命な研究生活の中、友人はすべて失ったが、齢47歳にして天地が無限に広がることを突き止め、神々に褒められた<ref>単に「大地はとってもおっきくて、そして空はもっとひろいの」の意味。物理学のいう「宇宙は膨張している」という話とは異なる。また、太陽のもとに近づいたり、地面を核まで掘ったりしたことの方がよほど目覚ましいはずであり、それらの成果を差し置いてこれが評価されたのは甚だ不思議である。</ref>。この頃までに神となっていた盤古も、この成果を褒め称えた。 研究が神々に認められた零零は、満足して研究をやめるか、さらに追究するかの判断を迫られていた。今まで研究のみをしてきた貧しい零零は、余儀なく前者を選んだ。 ===天地の獲得=== 研究することには満足した零零であるが、天地への思いを失ったわけではなかった。小作人として田に水を引き、畑に種を蒔きながら、常に天地のことを考えていた。あるとき、「天地を研究する」のではなく「天地を手に入れる」という発想に至り、すべてが腑に落ちた。 そこからは早かった。自分の本当に望んでいることが見つかった零零は、天地研究の功績を利用して神々に天地の持ち主を問い、盤古の名を知る。その三日後には「あの研究の者です」と盤古のもとへ訪ねて行ってお茶菓子を手渡した。それは毒入りの餅であった。厳かなる神代、その太平の時代、謀略など一つもなかったというのに、警戒の念を抱かせるすべがあるものか。受け取ったその場で毒餅を食した盤古は倒れ込み、勢い余って天地を手放した。天地は零零の手元にまんまと収まった。 ===その後=== 盤古が毒で死んだと考え、いそいそと帰宅しようとした零零は、神を見くびっていたようだ。瀕死ながら生きていた盤古は、最後の力を振り絞って零零を殴った。毒が完全に回った盤古は死に、殴られて体の骨の四分の三が折れた零零は這いながら洞窟に逃げ込んだ。神々の復讐を恐れて、そのまま隠遁した。 零零は1300年後に地上に戻り、自分が「世界最初の策略家」として語り継がれているのを知って、承認欲求が満たされるのを感じ、心底満足した。その50年後に土に還り、生き返ることはなかった。
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