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Sisters・トーク:WikiWikiオンラインノベル/縮小現実
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{{警告|内容=ネタバレとかを含む執筆背景にて用心せい}} {{格納|中身= 「拡張現実」に対する「縮小現実」というアイデアは、かなり昔、グレキ2年くらいには思いついていたもので、この時点で「嫌なものを見ないことにする」ことの恐ろしさについて書くことは決まっていた。最初の頃は、最終的に自分自身を含めた世界の全てを消してしまうという、ドラえもんの「どくさいスイッチ」みたいな展開なんかを検討したものだが、扱うテーマが巨大すぎたこともあり行き詰って数年間放置していた。そうしている内に生成AIの技術が発達・普及していき、<s>今は亡き</s>フワちゃんのCMでお馴染み「消しゴムマジック」が現れたことで、気付いたら勝手に「縮小現実」を実現するデバイスの技術的な設定が現実に出来上がってしまっていたのが、「縮小現実」がノベァメモの底から復活できた大きな要因の一つだろうわ。作中の「消しゴムフィルター」はもちろんこいつを意識したものになっている。 図画・作文・書道コンクール開催にあたって、ラプラプは「曖昧」「<ruby>人問<rt>チャーハン</rt></ruby>」「しわくちゃ」に続き、仰々しく言えば同時代の社会特有の問題とそこに結び付く人間の性質をテーマにした創作文を書かなければならなかった。元々新聞社主催のコンクールだったから、時事性の高いテーマをまっすぐ描いて気に入られたかったわけである。そこで、元からそういうニュアンスで構想されていた「縮小現実」が今回のコンクールで書く創作文として抜擢された。プロットを考え始めた当初は、NTR系絵師に対するXでの実体験から、SNS的な「ブロック」の性質に重きを置いた話で考えていたが、消しゴムマジック的「加工」の技術とこんがらがってしまうのでその設定は消え、作中で語られる過去に一部関連する形に留まった。ラプラプ創作文シリーズの意志を継いで、主人公に関して読者を驚かせる展開(外で泣いているのが自分の子供だった「曖昧」、ナースはヒトとAIの二人いて自分はAIだった「人問」、娘と孫の名前が出てこないなど認知症の症状があった「しわくちゃ」のような)を考えるにあたっては、子供が親を殺してそれを見なかったことにしている、という展開を最初考えていた。VRゴーグル(後にスマートグラスになる)の機能で親の死体と共にVRゴーグルそれ自体を消したことによって視覚の上でも、またトラウマによる解離性健忘によって記憶の上でも、親を殺した事実を(さらにそれを消した事実も)認識できなくなっていたというからくりだった。記憶面は後に縮小現実の構造的問題として取り込まれることになるんだねえ。 かねてよりNotoが「学校ノベルを書け」と主張していたこともあり、消しゴムマジック技術による無視というアイデアから生まれたいじめの要素とうまく結びつけたかったこともあり、この案は変化して「いじめられている生徒が実は自分がしたいじめを見なかったことにしていた」という学校を舞台とした本作のプロットに仕上がった。初の学校ノベルということで気合を入れたかった(またはプロットを考えるのに飽きて娯楽を欲した)ラプラプはこの時期、米澤穂信『クドリャフカの順番』(Notoより帯出)や梨『お前の死因にとびきりの恐怖を』という学校舞台ノベルを読んで興奮した。その中で、学校ノベルに必要な物として痛感したのが登場人物のキャラクター性だった。客観的な記述で進行する「知らない探偵」シリーズや「掛け駄段々」にはある程度個性のあるキャラクターが登場しているとはいえ、かねてよりラプラプはこと視点人物のキャラクター性を欠かせがちであり(それが雰囲気に適うノベルもあるだろうが)、今回の執筆で最も意識したのは主人公の夢を始めとした登場人物たちのキャラクター性のことだったと思う。今思えば『クドリャフカの順番』(特に2例)も『お前の死因にとびきりの恐怖を』(特に1例)も、謎事件・謎言動の動機がそれをした者の立場や思いに立って明らかにされるという構造は共通で(いやまあ大体の謎あり話ってそうかも)、行動に深みを持たせるキャラクター性ほど素晴らしい、となるなどした。特に凱也のある種の悲痛さは、おもっきし『お前の死因にとびきりの恐怖を』に影響を受けている。 終わらせ方については苦慮した。ラプラプのノベルは人が死んで悲しく終わるものばかりだが、学校ノベルという新しい挑戦の中で波に乗ってグッドエンドさえ実現させてやろうという野心があり、それに向けて海翔の自殺を未遂に終わらせて最後に夢と和解させるという案も考えたりした。しかし「縮小現実」を貫く「嫌なものを見ないことにすることの恐ろしさ」というそこだけは妥協できないテーマ性の上で、ラプラプの力は二人の和解とそのテーマを両立させるには及ばず、海翔は死んでしまった。こんなに悲しい事は無い。海翔のキャラクター性は、その死が確定した後に、凱也の最後のシーンからの逆算で決められた。メタ的に言えば、海翔はラプラプが凱也を泣かせるためだけに成績を落とされ親に無視され「顔交換フィルター」を使わされたと言っても[[過言ではない]]。海翔が夢を救いにするにあたっての「顔交換フィルター」の下りを思いついた時は、いっそのことタイトルを「加工」に変えてやろうかとも思ったが、やっぱり「縮小現実」の個人的歴史性と象徴性には敵わず、それにタイトルが「加工」ならもっと工業的に露悪的なことができるなと思ったのでやめといた。 総じて、力を入れたキャラクター性にはまあ満足しており、創作文の系譜を継ぐ作品としても筆力の上昇や文字数制限の撤廃もあって十分完成度の高いものができたんじゃないかなあと思っている。「曖昧」的なインターネット現代我々問題や、「人問」の主題となったAIの要素も登場するので、ちょっとした集大成みたいなものだわな。ただハッピー学校ノベルではなさすぎたので、ハッピー学校ノベルを作れるように邁進することが課題となった。夏休みが終わる直前に創作文を必死こいて書くのはもはや年中行事と化してしまったわ。とはいえ年々ラプラプの文章生成スピードは上昇の一途を辿ってきており、「しわくちゃ」なんかは1週間で書ききれたので余裕をぶっこいている面もあったが、文字数制限撤廃の影響で長大なプロットを何も削らないままに結局78000バイトくらい書くことになってしまったので死んだ。来年こそ早く書きはじめます。 }}
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