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{{秀逸な記事|秀逸性=過去}} | |||
'''チェーンソー和歌'''とは、和歌の憎たらしさを競う歌会のことである。 | '''チェーンソー和歌'''とは、和歌の憎たらしさを競う歌会のことである。 | ||
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提出される和歌を「エルガー ( | 提出される和歌を「エルガー (Ärger) 」、その和歌を作る人を「アインツェルゲンガー (Einzelgänger) 」、審査員を「シックザール (Schicksal) 」と呼ぶ場合もある。 | ||
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==流れ== | ==流れ== | ||
チェーンソー和歌は、概ね以下のような流れで行われる。 | |||
#歌会の2週間前までに、「他人の顰蹙<ref>「ひんしゅく」と読むのだが、知ってた?</ref>を買うことを狙った和歌」を自作し、[[Sisters:WikiWikiオンラインノベル#引っ込み思案の茶封筒|茶封筒]]に入れて審査員に提出する。 | #歌会の2週間前までに、「他人の顰蹙<ref>「ひんしゅく」と読むのだが、知ってた?</ref>を買うことを狙った和歌」を自作し、[[Sisters:WikiWikiオンラインノベル#引っ込み思案の茶封筒|茶封筒]]に入れて審査員に提出する。 | ||
#歌会当日、専用の歌会室に集まる。<br>まずはじめに、審査員が最も憎たらしい和歌の作者を優勝者として発表し、参加者全員で息を揃えて34回拍手をする。ただし数え間違い等で32回やら35回やらになっても黙認される。 | #歌会当日、専用の歌会室に集まる。<br>まずはじめに、審査員が最も憎たらしい和歌の作者を優勝者として発表し、参加者全員で息を揃えて34回拍手をする。ただし数え間違い等で32回やら35回やらになっても黙認される。 | ||
#その後参加者は、和室に座布団を引いて円形になって座り、各々の和歌を回し読みする。この時、たとえいかに激しい怒りを覚えようと、それを爆発させることは決して許されない。 | #その後参加者は、和室に座布団を引いて円形になって座り、各々の和歌を回し読みする。この時、たとえいかに激しい怒りを覚えようと、それを爆発させることは決して許されない。 | ||
#自分の和歌が手元に返ってきて回し読みが終わる。そのきっかり0.47<ref>ルイス・キャロルの愛した数が由来となっている。</ref>秒後、参加者は手元の自作和歌を横に破き<ref>このとき「面積比が 1:√2 となるように破くべきだ」と主張する向きもあるが、彼らは狂っているだけに過ぎない。</ref>、これまで抑えていた怒りを露わにする。 | #自分の和歌が手元に返ってきて回し読みが終わる。そのきっかり0.47<ref>ルイス・キャロルの愛した数が由来となっている。</ref>秒後、参加者は手元の自作和歌を横に破き<ref>このとき「面積比が 1:√2 となるように破くべきだ」と主張する向きもあるが、彼らは狂っているだけに過ぎない。</ref>、これまで抑えていた怒りを露わにする。 | ||
#参加者一同の怒りが露わになったら、後は「時の移ろいに己が身を任せ<ref> 『チェーンソー和歌考』(一刀両断出版会)p.3826の記述による。</ref>」、滅茶苦茶に振る舞う。それが滅茶苦茶であるほど良いとされる。別に何をしてもよいのだが、具体的な行為としては、慣習的に参加者同士で争いをすることが多い。ただし、どのような場合においても、審査員の殺害というゴールを見失う行為は望ましくない。 | #参加者一同の怒りが露わになったら、後は「時の移ろいに己が身を任せ<ref>『チェーンソー和歌考』(一刀両断出版会)p.3826の記述による。</ref>」、滅茶苦茶に振る舞う。それが滅茶苦茶であるほど良いとされる。別に何をしてもよいのだが、具体的な行為としては、慣習的に参加者同士で争いをすることが多い。ただし、どのような場合においても、審査員の殺害というゴールを見失う行為は望ましくない。 | ||
#「[[#ケンゼイング|ケンゼイング]]」を行う。 | #「[[#ケンゼイング|ケンゼイング]]」を行う。 | ||
# | #たまに、終了直後「2次チェーンソー和歌」として2次会のようなものが開かれることもある。そのようなとき、審査員が殺害されている場合は新しい審査員を迎えて、1から6の手順を繰り返す。 | ||
#3次会は決して開催されない。常識的に考えて、3次会はパワハラである。 | #3次会は決して開催されない。常識的に考えて、3次会はパワハラである。 | ||
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隠るとも思ほえなくに所置く時しなければ薬あたふる | 隠るとも思ほえなくに所置く時しなければ薬あたふる | ||
歌意は「まさか死ぬとも思わなかったので、ためらうことなく薬を飲ませました」といったところであろう。この歌は1981年の冬、何者かによって提出された和歌で、何者かは「気取っている」と評した。気取っているかどうかは別として、これは明らかにチェーンソー和歌にはふさわしくない。古語表現を巧みに使っている点や、さして怒りが湧かない点などがその理由である。最近では何者かが「そうした和歌を否定する行為は、表現の自由の侵害だ」などと言い始めているが、それは「よその歌会でやってくれ」という話である。 | |||
[[余談だよ|余談]]だが、これを詠んだ何者かは、何らかの理由で何者かに暗殺された。 | |||
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確かめよ なんじの座る 座布団の 縫い目をよく見よ 何もないけど | 確かめよ なんじの座る 座布団の 縫い目をよく見よ 何もないけど | ||
四句目までを読んだ時、受け手は間違いなく「何だ?」と思い、自分の座っている座布団の縫い目を確認する。特に異変は見つからないので、「はて」と和歌の続きに戻る。ここで初めて自分が踊らされていたことに気付き、またあまりのしょうもなさに呆れ、結果強い怒りを覚えるのである。これが和歌であるかどうかは議論の内にない。「けど」の粗雑さが目に付いて[[鬱]]陶しいがそんなことは関係ない。むしろ、これくらいの馬鹿らしさ、芸術レベルの低さを持ったものほど、チェーンソー和歌では高く評価される傾向にある。 | |||
[[余談だよ|余談]]だが、才能ある参加者によって詠まれたこの和歌は、当時の歌会では4位タイの成績に終わった。悲しい話である。ちなみに一位から三位までの和歌は、憎たらしさがあまりにも強く、「公開され得ない和歌リスト」に登録されている。素晴らしい話である。 | |||
また、以下のように、「高次的な憎たらしさ」を持ったものも少なくない。 | また、以下のように、「高次的な憎たらしさ」を持ったものも少なくない。 | ||
ああ君も すぐ怒るとは 馬鹿馬鹿し 思うに今も 怒っていよう | ああ君も すぐ怒るとは 馬鹿馬鹿し 思うに今も 怒っていよう | ||
この和歌は「2次チェーンソー和歌」用として提出されたもので、つまり1次の際に怒りを露わにした受け手に対して「愚かだ」と言っているのである。この和歌は、「怒っていることを指摘することによって怒りを誘起している」と解釈され、したがって高次的な和歌だといえる。 | |||
[[余談だよ|余談]]だが、作者はこの歌会の64日後にヘロイン所持の疑いで逮捕・起訴・実刑判決を受け、さらに2日後に脱獄し、そしてその日の歌会の審査員を務めて殺害された。 | |||
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があげられる。この和歌においては、どのようなチェーンソー和歌理論も意味をなさない。すなわち、原因や現象についての説明はなにもできないが、この和歌を読むと「無性に腹が立つ」、ということである。 | があげられる。この和歌においては、どのようなチェーンソー和歌理論も意味をなさない。すなわち、原因や現象についての説明はなにもできないが、この和歌を読むと「無性に腹が立つ」、ということである。 | ||
[[余談だよ|余談]]だが、数学に明るくない者が「3の倍数ルールどこ行った」などと苦言を呈することもあるが、漢字の数は(3x0=)0個、仮名の数は(3x10=)30個となっている。 | |||
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{{!}}[[円谷マ子]] | {{!}}[[円谷マ子]] | ||
{{!}}- | {{!}}- | ||
{{!}}[[五味葛男]]<ref>彼は歴代審査員唯一の非自殺志願者である。</ref> | {{!}}[[五味葛男|五味]][[葛]][[五味葛男|男]]<ref>彼は歴代審査員唯一の非自殺志願者である。</ref> | ||
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{{!}}[[サラ・ダ・ベーコン]] | {{!}}[[サラ・ダ・ベーコン]] | ||
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==脚注== | ==脚注== | ||
<References /> | <References /> | ||
{{foot|ds=ちええんそおわか|cat=スポーツ|ai=血獲肢牟蘇御和歌}} | |||
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