「利用者:Notorious/サンドボックス/消滅の悪魔」の版間の差分
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あっけなく通話は切れ、ツーツーという音だけが残された。わたしは沈黙した画面を呆然と眺めることしかできなかった。この電話は一体なんなのか。何か嫌な予感がして、わたしは手のひらの汗をスカートで拭った。家へ向かう足が自然と速まる。 | あっけなく通話は切れ、ツーツーという音だけが残された。わたしは沈黙した画面を呆然と眺めることしかできなかった。この電話は一体なんなのか。何か嫌な予感がして、わたしは手のひらの汗をスカートで拭った。家へ向かう足が自然と速まる。 | ||
アパートの階段を駆け足で上がる。一気に三階まで上がり、玄関の前に |
3年7月27日 (黃) 20:45時点における版
怪異との遭遇
電話がかかってきたのは、夜の散歩からの帰り道、次の角を曲がれば家が見えてくるというときだった。わたしのスマホが着信音を鳴らすことなんてめったにないから、驚いてちょっと飛び跳ねてしまった。誰にも見られてないといいんだけど。 スマホには「非通知」と表示されていた。心当たりはなかったけど、何か大切な連絡かもしれない。マスクを少しずらすと、わたしは通話ボタンをタップした。 「もしもし?」 しばらく、何も聞こえなかった。もう一度呼びかけてみるが、応答はない。いたずら電話かしら。諦めて通話を切ろうとしたとき、女の子のかぼそい声が聞こえてきた。 「……もしもし」 「あっ、えーと、どなたでしょうか?」 「……あたし、メリーさん。今、あなたの町にいるの」 それだけ言うと、電話はぷつりと切れた。なんだったのだろう。わたしは狐につままれたような気持ちになった。それにしても、メリーさんという名前を、どこかで聞いたことがあるような……。 わたしは首をかしげながらまた歩き始めた。辺りはすっかり暗く、ぽつりぽつりと光る街灯のもとで、家並みが黒々とうずくまっている。自販機がまぶしい交差点を右折し、小さなアパートを目指す。お母さんは仕事でいないから、わたしがこんな風に外を出歩いていても、誰も心配はしない。自由ではあるけど、少しさみしくも感じる。 その時、またもスマホが鳴りはじめた。今日はやけに電話が多いなと思いながら、電話に出る。 「もしもし?」 「もしもし、あたしメリーさん」 たちまちさっきの電話の記憶がよみがえった。先ほどと同じ、高くて幼い女の子の声。 「今、あなたの家の最寄り駅にいるの」 「ちょっ、あの、どなたで……」 あっけなく通話は切れ、ツーツーという音だけが残された。わたしは沈黙した画面を呆然と眺めることしかできなかった。この電話は一体なんなのか。何か嫌な予感がして、わたしは手のひらの汗をスカートで拭った。家へ向かう足が自然と速まる。 アパートの階段を駆け足で上がる。一気に三階まで上がり、玄関の前に