「多目的C教室」の版間の差分

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===健康な細菌「ホームビデオ」===
===健康な細菌「ホームビデオ」===
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10年前のホームビデオには、幼い私が二人映されていた。片方は子供部屋に座っているが、この家に子供部屋はないはずだ。両親の猫なで声が怖い。
10年前のホームビデオには幼い私が二人映されていて、片方は子供部屋に座っているが、この家に子供部屋はないはずだし、両親の猫なで声が妙に怖い。
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4年1月30日 (ヰ) 17:40時点における版

この項目では、多目的C教室について説明しています。
・多目的P教室については「多目的P教室」をご覧ください。
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かねてより「文芸部乗っ取り計画」を立ててきていた常習者たち。その成否はともかく、あるいは歴史上中国を支配しながらもその重厚な文化に帰順してきたユーラシアの騎馬民族たちのように、文芸部は我々常習者の文芸活動に大きな影響を及ぼすこととなる――。このページは、そんな文芸部から輸入された文芸的アクティビティを紹介・実施するために作成された。文芸部であなたが作った既存の作品を転載するもよし、またここで新たに作り上げるもよし、ここはもう一つの多目的C教室なのである!

一行詩

複数の部員が輪になって、一人一行ずつ書き足しながら一つの詩を完成させるという催しである。中には接続詞だけを書いて回してくるような輩もいる。

「作例A」

プラスチックの蝶ネクタイ
つまり
可塑性の大ペテン
絹で織られたステッキと
木製鈍器のシルクハットに
あなたもぜひここに一行追加していってね!

「キャンドル・ジャングル」

探検隊がついにたどり着いたのは、白亜の熱帯雨林だった。
まとわりつく熱気にそぐわぬ、清らかな造形物が立ち並ぶ。
キャンドルは、しかし、一滴の汗もかいていない。
あなたもぜひここに一行追加していってね!

一行怪談

読んで字のごとく、怪談として成立する文をたった一行でつくるという催しである。全然一行じゃないこともある。最近はあんまり行われていない。

健康な細菌「深呼吸おじさん」

毎朝公園で深呼吸をしているらしいうちの地域のプチ有名人「深呼吸おじさん」を昨日偶然見かけたのだが、彼の口の中には歯や舌が無く、代わりに重度のやけどの痕があって、それは深呼吸などではなく声にならない叫びだったのだと分かった。

阿久名喬「西」

小の月は「西向くさむらい」と習ったのに、拳の節がそれと一致しない。

阿久名喬「ピカソ」

色覚異常を抱えた私がピカソの絵だけ鮮やかに見える。

阿久名喬「五劫の擦り切れ」

大事な商談に遅れそうなのに、呼び止めてきた戦場カメラマンの男が言うには、「わ た し の な ま え は じ ゅ げ む じ ゅ げ む ご こ う の

阿久名喬「目眩く」

サウナで思い切り暑くなって水風呂に飛び込むと、頭の中で何かが弾けて目眩く視界が広がった。

阿久名喬「明日以降」

AIが高精度な天気予報を出力するようになって数年経つが、いつまで経っても明日以降の予報は発表されない。

阿久名喬「無理難題」

轟音と共にコンクリートの破片が降り注ぎ大量の死傷者が出ているのは、さっき空に「会社を爆発させてください」と祈ったことと関係ないはずだ。

阿久名喬「ドリンク」

さっき確かに飲み干したコップがなみなみと水を湛えている。

阿久名喬「伝言」

伝言ゲームのあと各々のしたジェスチャーを全員で発表し合うと、明らかに1ターン飛んでいる。

阿久名喬「Fuck」

生放送でFワードを口走ってしまった外国人タレントは、VTRが終わると右足の靴だけを残してスタジオから消えていた。

阿久名喬「ヒートアップ」

口論がヒートアップするにつれて妻はだんだん台所へと寄っていく。

阿久名喬「ありがた迷惑」

最新モデルのスマホを求めて開店前から並ぶ身動きできないほどの長蛇の列の中、一つ前のおじさんが少し強引に先を譲ってくれた数分後、僕を目掛けてバイクが突っ込んできた。

健康な細菌「ホームビデオ」

10年前のホームビデオには幼い私が二人映されていて、片方は子供部屋に座っているが、この家に子供部屋はないはずだし、両親の猫なで声が妙に怖い。

一枚小説

文芸部室にある、一行詩とかにも使われる例の紙を、一面ちょうど埋めるくらいの量の文字で物語を書くという催しである。利用者:キュアラプラプが勝手に開始した。

健康な細菌「冶金」

 いくばくかの空間を不定形に占めて存在する彼は、今日も宇宙のどこかの惑星に根を張る知的生命体のもとで厚遇の限りを受けていた。彼の表面には光沢が見え、質感としては我々の知る真鍮に近いものがある。彼は、少なくともいまは逆三角錐のような形状をとっていて、これは丁度その知的生命体をデフォルメしたように感じられるのだった。

 彼はもちろん知的生命体のうちの一人だとか、また別種の知的生命体だとかいうわけではなかったのだが、どういうわけか我々が感情だとか言うところの概念を保有していた。彼は、自分をきらびやかに飾りたてられた台座に設置して取り囲んだり、またある時には自分を熱と光が激しく反応する小さい洞穴に放り置いて形状をつくり変えたりするその知的生命体の奇妙な行動を、怪訝に思うばかりであった。

 ある時、今度は円盤を象っていた彼のとなりに、白く輝く円柱様のオブジェが設置された。彼女は彼同様に、その知的生命体たちに不可解な崇拝と融解を与えられる立場にあったが、彼から彼女に自身同様のいわゆる感情があることを確認する術はなく、 じっさい彼女にそういうものがあると確認する手段は世界のどこにもなかった。しかし彼は、これが他ならぬ彼自身にも当然適応される事実であることに気づいてからは、角度によっては虹色にも輝いて見える彼女のその美貌にたじろぐばかりであった。

 知的生命体の一個体が、彼と彼女を同時にその小さい洞穴に入れることを思いついた。炎が焚かれ、そのゆらぎの度に彼は彼女との境界を失くしていった。彼女の居たはずの空間を新たに占領してしまったせいで、彼女は存在として消滅してしまったのではないかと彼は不安になったが、すぐにそれは杞憂だったと分かった。彼はこのとき、彼女と意志を疎通させることに成功したのであった。彼らは二重らせんの形状をとって、知的生命体の、我々の言うところの歓声に相当する祝福を受け、すこし照れてしまったのであった。

韻文

俳句、短歌、詩、都々逸などの韻文の制作も、文芸部の典型的な活動の一つである。