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 あるところに小鳥がいました。小さなみどり色のつばさと、きれいでふさふさな毛なみをもち、気ままにのうのうとくらしている小鳥です。
=序曲「きみがよ~ん」提出=
==「きみがよ~ん」案==
{|class="wikitable"style="background-color:white"
|style="border:1px solid #c0c0c0;padding:0 1em"|
'''きみがよ~ん'''<span style="font-size:75%;">(作詞作曲: [[利用者:キュアラプラプ|キュアラプラプ]])</span><br>Gimme gimme jumpscare<br>
Gimme gimme soundscape<br>
さあ勝てば官軍 死ねば英雄<br>
出陣 why not<br>
<ruby>故郷<rt>いなか</rt></ruby>の母に 贈ります<br>
槍となって 捧げるよ<br>
この命 お国に<br>
<br>
口ずさむ<br>
君が代に<br>
ふと思う<br>
もしかして<br>
<br>
この曲の編曲者<br>
ド~イ~ツ~じ~ん~ じゃん<br>
ああこんなの絶対<br>
け~し~か~ら~ん~ わな<br>
もう自爆のやる気も<br>
き~え~う~せ~そ~ だわ<br>
まあ所詮は<ruby>黄色<rt>おうしょく</rt></ruby><br>
き~み~が~よ~ぽ~え~<br>
<br>
Gimme gimme God yo<br>
Gimme gimme God yo<br>
さあ勝てない戦争 死ねば脱走<br>
出陣 why not<br>
<ruby>故郷<rt>いなか</rt></ruby>の母は 焼け死んだ<br>
リトルボーイ 新登場<br>
きみがよよ きみがよ~ん<br>
|-
|style="border:1px solid white"|[[ファイル:ラプきみがよ~ん.wav]]
|}


 今日はお気にいりの甘あい実をたくさんとれたようで、ごきげんなようすでおうちにもってかえってきました。夕やけ空を風のようにかけぬけて、とっても気もちよさそうです。


「あっ、小鳥さんだ! 空をとんできた!」
=記事「ビタ眠剤」提出=
==ビタ眠剤==
「ここか……事件が起きているのは。警察ももうすぐ来るだろうが……少し様子を見ておくか」


「やあ小鳥さん。わあ、お~いしそうっ!」


「ほうほう、さすがは小鳥くん、くだものをとるのがじょうずだね。」
{{色変化|内容=<p>
 
 小鳥には森のともだちがたくさんいます。いつも元気なリスさんに、食いしんぼうなウサギさん、とっても頼りになるハトさん! 小鳥はみんなにとってきたものをすこしずつ分けてあげました。みんながおいしそうにたべているのをみて、小鳥はちょっぴりほこらしくなりました。
 
「えっへん、ぼくがえらんできたくだものはおいしいでしょう?」
 
「うん、とっても!」
 
 小鳥は、すごくしあわせでした。
{{転換}}
{{転換}}
 じぶんが食べる分を木のみきのほら穴につめこんだあと、小鳥は日がくれるまであたりをさんぽすることにしました。この森をぬけたすぐそばには、人間たちのくらす街があります。そこにはにぎやかな歌やようきな音楽がいつもなりひびいていて、おいしい食べものもそこら中にあふれています。小鳥はこの街を、とーっても気にいっていました。
</p>
 
}}
 はなうたまじりに街に入ろうとした小鳥は、ひんやりとした風といっしょにどこからかながれてきたものに心をうばわれました。甘くてきれいで、しっとりしたいいにおいです! そのおいしそうなかおりにつられ、しばらくそのままさまよって、小鳥はついににおいのもとまでたどりつきました。そこは、街のはずれにあるケーキやさんでした。
{{vh|vh=50}}
 
 かちゃかちゃぐつぐつ音がして、えんとつからはもくもくとけむりが立ちのぼっています。小鳥がおみせのなかをのぞいてみると、そこにはもちろんたくさんのケーキ! どれもおいしそうで、みているだけでおなかがへってきてしまいます。すると――
 
「こんにちは、小鳥さん。」
 
「う、うわあ!?」
 
 とつぜんこえをかけられて小鳥はびっくり! まどガラスごしにはなしかけてきたのは、たなのはじっこにあるショートケーキ、その上にいるいちごでした。なめらかな形がさえた真っ赤にいろどられ、まわりのホイップクリームはまるでドレスのよう。小鳥はなんだかどきどきしながらへんじをしました。
 
「こ、こんにちは、いちごさん!」
 
 いちごは小鳥のほうをみて、やさしくほほえみました。小鳥は恥ずかしくなって、とっさに目をそらしてしまいます。
 
「ねえ、あなたは空を飛べるの?」
 
「う、うん、飛べるよ! それも、とーってもはやくね!」
 
「わあ、すごい! じゃあ、雲の上にもいったことがあるの?」
 
「雲の……うえ……。」
 
 小鳥はたしかに空をじゆうにとべます。けれど、雲の上にまで行ったことはありませんでした。そんなにたかいところまでとぼうとしたら、つかれてへとへとになってしまうし、なにより小鳥はこわがりだったからです。じめんがみえなくなるほど上にいってしまったら、もうかえってこられなくなるんじゃないか――どうしてもそうおもってしまうのです。
 
 でも、そんなこといったらかっこわるい気がして、小鳥はうそをつきました。
 
「も、もちろん! ……雲の上ではおひさまもぽかぽかで、すっごく気もちよかったよ!」
 
 これを聞いたいちごは、ぱあっとえがおになりました。でも小鳥はなぜだか、ちょっぴり目をそらしたくなってしまいました。もじもじしながら、いちごはこう続けます。
 
「……わ、わたしね、じつは、いつか雲の上にいくのが夢なの。だから、その……よければわたしをつれていってくれないかな……なんて。」
 
「え!? あ、その、えーっと……。」
 
 どうしよう! どうしよう! ほんとうは雲の上にいくなんてできないのに! 小鳥はうそをついたさっきのじぶんにもんくをいいました。
 
「……ご、ごめんね! 会ったばっかりなのにこんなこと聞いちゃって! め、めいわくだったよね! やっぱりこのことはわすれて!」
 
 いちごはかなしそうにうつむいています。それをみた小鳥は、ついあせって、言ってしまいました。
 
「わ、わかった! つれていってあげるよ! 雲の上!」
 
「ほんとに!? やったあ! ありがとう!」
 
 できもしないようなやくそくをしてしまった小鳥は、あとでどうしたらいいのか、とてもしんぱいになりました。けれど、いちごによろこんでもらえたのがうれしくて、ひょっとすると今ならほんとうに雲の上までとべるかもしれないとおもいました。いちごといっしょなら、なにもこわくないような気がしたのです。
 
 ――しかしそのときとつぜん、ばさばさという大きな音がちかづいてきました。
 
「小鳥くん、どうもこんにちは。」
 
 小鳥がうしろをふりかえると、そこには真っ黒でのっぽのカラスがいました。りっぱなつばさをもっていて、とってもとぶのがはやそうです。かっこいい! ……だけど小鳥には、どこかぶきみなかんじがしました。
 
「こ、こんにちは、カラスさん。」
 
「……小鳥さん、あのカラスさんはおともだち?」
 
 いちごがひそひそ声で聞いてきます。
 
「ううん、今はじめてあったとこ……うわあ!」
 
 気づいたら、いつのまにかカラスは小鳥のすぐとなりにきていて、えがおでこういいました。
 
「ねえねえ小鳥くん、かわいいかわいい小鳥くん、きみを食べてもいいかい?」
 
「え?」
 
 あぶない! カラスはいきなり、つばさをひろげておそいかかってきました!
 
「うわああ!」
 
 すんでのところで小鳥はこれをかわしましたが、カラスはひきさがりません。なにがなんだかわからないまま、とりあえず小鳥はここからにげることにしました。
 
「いちごさん! 今はあぶないから、明日また会おう!」
 
「ま、まって!」
 
 しかしいちごは、なにやらあわてているようです。
 
「わたし、今日でこのおみせにすてられちゃうの!」
 
「え!?」
 
「くわしいことはわからないけど、ケーキはみんな一日でうれなくなるからって……。とにかく日がしずんでおみせがしまっちゃったら、わたし……!」
 
 カラスのこうげきはつづきます。小鳥はかんがえるひまもないまま、こうさけびました。
 
「わ、わかった! 日がしずむまでにここにもどってくるから、それまでまってて!」
 
「……! うん! あ、ありがとう!」
 
 つばさをはためかせ、小鳥は空にとびあがります。しかし、ケーキやさんがみえなくなっても、カラスはしつこく小鳥をおいかけてきました。それもものすごい速さで! 小鳥はひっしで小回りをきかせて、どうにか出しぬこうとしますが、カラスにはつうようしません。夕やけはもうむらさきがかってきていて、お日さまはしずみはじめています。
 
「小鳥くんはすばしっこいなあ。もういいからはやく食べさせてよう。」
 
「……どうしてぼくを食べようとするのさ! 街にはもっとほかにおいしい食べものがあるでしょう!」
 
 小鳥とカラスはつかずはなれず、ついには街の真ん中にある時計台のてっぺんまできました。空はくらくなってきて、お日さまはもうはんぶんしかありません。早くおみせに戻らないと、いちごはすてられて、ゴミばこに入れられてしまいます。……ついさっきいちごと出会ったばっかりなのに、どうしてこんなふうにおもっているのか――じぶんにもわからなかったけれど、小鳥にとってそんなことはぜったいにいやでした。
 
 小鳥はいつのまにか、森のともだちとおなじくらい、もしかしたらそれいじょうに、いちごのことをだいじにおもっていたのです。
 
「……ひとめぼれ、じゃないかな。」
 
「……え?」
 
 ちく、たく、ちく、たく。時計台のはりのゆれるおとが、いやに大きくきこえてきます。
 
「ん? ああ、ぼくが小鳥くんを食べたくなったりゆうだよ。」
 
「え、いや……え?」
 
 ちく、たく、ちく、たく。
 
「きれいな緑色のつばさにふさふさの毛並み。きみをみるとなんだか……どきどきしちゃうのさ。」
 
「ど、どういうこと……?」
 
 ちく、たく、ちく、たく。
 
「ぼくはきみのことが好きなんだ。」
 
「あ、え。」
 
 ちく、たく、ちく、たく。
 
「ずっとしあわせにするから。」
 
「ど、どうして、じゃあ、たべる、なんて。」
 
 ちく、たく、ちく、たく。
 
「うーん……でもさ、そんな顔したって、ほんとうに心のそこからわからないなんてことはないだろ?」
 
 
 
 ごーーーん。
 
 
 
 七時をつげる時計台のおとが、小鳥をわれにかえらせました。にしの方をみると、あおぐろい雲の下、お日さまはほとんどしずみかかっています。小鳥は、かんがえるよりさきに、じめんに向かってすごいスピードでおちはじめました。カラスもやっぱりあとをおって、まっさかさまにおちてきます。
 
「どうしたの小鳥くん、そのさきにはじめんしかないよ! このままだとぶつかっちゃう!」
 
 カラスのいうとおり、小鳥はじめんに向かってまっしぐら。あぶない、ぶつかる――! というところでおっとっと、くるりとからだをひるがえします。しかしのっぽのカラスは小回りがきかず、そのままじまんの大きな羽をじめんに打ちつけてしまいました。これでカラスも、しばらくのあいだはおいかけてこられないでしょう。
 
「ぐっ……小鳥くん……ぼくはあきらめないからね! いつかきみのことを食べてあげるから!」
 
 カラスのことばには耳もかさず、小鳥はあのケーキやさんに向かってぜんそくりょくでかけていきます。お日さまはついに、とおくに見える山の向こうにしずんでしまいました。小鳥の中でいやなそうぞうがふくらんでいきます。ちかづいてきたケーキやさんのえんとつからは、もうけむりはのぼっていません。……いちごさん、おねがい、ぶじでいて!
 
 小鳥はなりふりかまわず、今さっきみちでひろった小石をまどガラスになげつけました。おおきな音を立てて、とうめいなガラスへんがくずれおちます。おみせのだれかのひめいもよそに、小鳥はわれたまどのすきまから中におし入って、目線はたなのはじっこの、ショートケーキのてっぺんの――
 
「いちごさん!」
 
「あ、小鳥さんっ!」
 
「さあ、つかまって!」
 
 小鳥はつめのあいだに大切にいちごをかかえて、ケーキやさんをあとにしました。空はすっかりほのぐらくなっていて、お月さまとお星さまが白くかがやいています。つめたくふく風が小鳥といちごをくすぐって、ひゅうひゅうと音を立てました。
 
「あの、小鳥さん……ありがとう!」
 
「えへへ、どういたしまして!」
 
 かわいた空気のなか、小鳥はふかく、やわらかく息をはきます。だれかのためにこんなにがんばるだなんて、小鳥には生まれてはじめてのことでした。肩の荷がおりるのとどうじに、カラスとのおいかけっこのつかれがどっと押しよせてきました。
 
「すごいなあ……空ってこんなにひろかったんだね。雲もあんなにとおくにある。」
 
「……そうだね。」
 ほほえましい気もちもひるがえって、雲の上へいちごをつれていくというやくそくをおもいだした小鳥は、じぶんのなさけなさが憎らしくなりました。あのときうそをついてしまったことが、いちごとのあいだの全てをだいなしにしているようにおもえました。
 
 だから小鳥は、いちごにほんとうのことをはなすことにきめました。
 
「あ、あのさ、雲の上につれていくってはなしなんだけど……。」
 
 ――でも小鳥には、勇気がありませんでした。
 
「今日はつかれちゃったから、またこんどでいいかな?」
 
 もしあれがうそだったとわかったら、いちごはじぶんのことをきらいになってしまうかもしれません。もしそうなってしまったら――その先をそうぞうすることさえ、小鳥にはこわくてとてもできませんでした。
 
 こんなことなら、うそなんてつかなければよかったのに。
 
「わかった。じゃあ……明日にしようよ! 早く雲の上にいってみたいな……!」
 
「……う、うん、そうしようか。じゃあ今日はとりあえず、ぼくのおうちで休もう。」
 
「やったあ! 小鳥さん、ほんとうにありがとう!」
 
 小鳥は、じぶんのことがきらいになりました。
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「あっ、小鳥さんだ! 今日はおそかったね!」
「やあ小鳥さん。あれ? ま~たくだものをとってきたの?」
「ほうほう、けっこう大きいね。これは……イチゴ、とかいったかな?」


 小鳥は、しばらくしていちごといっしょに森へかえってきました。リスさん、ウサギさん、ハトさんの顔をみてすこしだけ元気になれたけれど、明日のことをかんがえると気もちはしずむ一方です。
「……で、男の他殺体からは睡眠薬が検出されたと」


「こ、こら、いちごさんは食べものじゃない! ぼくのともだちだよ!」
「そうだ、探偵さん。医師の私が言うからには間違いないよ」


「え、そうなの! ごめんごめん、しらなかったよ!」
「まあ、何というか、明らかにこのビンが怪しいよな……ラベルは貼られていないようだが……ん?」


 森のみんなはびっくりしているようすで、ふだんとかわらず明るくわらっています。……でも小鳥は、なぜだかぞっとしてしまいました。
「被害者の死体が気になりますか? このお客様は、今日のパーティーの為に当館にやって来たのです。死んでしまって残念です。不潔ですし、お片付けした方がよろしいでしょうか?」


 いちごさん――「イチゴ」を、……くだものを食べものだとおもうのは、べつにおかしなことではないし、むしろとうぜんのことです。なのに、いちごさんと「食べもの」をむすびつけることばには、なにかとってもいやなかんじがするのです。
「あー、ここのメイド長か。いや、その必要はない。それより、これ……ダイイングメッセージじゃないか?」


 ……あのおかしなカラスのことばをおもいだしたせいでしょうか。
「確かに、文字にも見えるなア。えーとどれどれ、『ビタ眠剤』……? なるほど! 犯人は、ビタ眠剤という者なのかア!」


「えっと……ごめんねいちごさん、ここにいるみんなは、ぼくのともだち! ちかくにすんでるんだよ!」
「ちょっとアナタ、しっかりしなさいよ。こんな素っ頓狂な声出して、館の、館の主人としてぇ、恥ずかしいわもう恥ずかしくないの? アッハハ」


「だいじょうぶ、気にしてないよ。……でも、わたしのからだをかじったりするのはやめてね!」
「そうだぞ親父。このパーティーの参加者にそんな名前の奴いない。ほら見ろ、これが今館にいる全員のリスト。赤ペンは俺の書き込みだ」


「あはは、ごめんごめん!」
{|class="wikitable"
|+パーティーの流れ
!本番
|被害者||館の主人||館の妻||御曹司<span style="color:red>'''(自分)'''</span>||メイド長||医者||不法侵入YouTuber||女スパイ<span style="color:red>伊織さんは、こいつには何をしてもいいって言っていたけど、だれ?</span>||岸田総理||天草四郎時貞
|-
|colspan="13" style="color:red;background-collor:white;border:5px dashed red;border-top:none"|'''☆事<big>件発生後追</big>加→探偵(伊織さんが、電<small>話で誘い出すように言っていた<span style="background-color:red">ごめんなさい)</small>'''</span>


 いちごは森のみんなとすっかり打ちとけたみたいで、小鳥との出会いや、ケーキやさんからつれ出してもらったことを、とってもたのしそうにおしゃべりしています。よかったよかった。
<span style="background-color:red">'''<small>さらに後で</small>来<big>る?</big>→警<big>察(電話し</big>た!来るまでぜったいばれないようにする!)'''</span>
|}


 ――気づけば空はすっかりまっくらになっていて、ともだちもみんなじぶんのおうちにかえっていったので、小鳥ももうねむることにしました。いちごといっしょに、木のみきのほら穴の中にねころがります。
「えー、つまり、おそらく他殺体から検出された睡眠薬というのは、この『ビタ眠剤』とやらのことなんだろう。そしてこれは十中八九……この、謎のビンの中の錠剤だろうな」


「小鳥さんは、もうねむっちゃうの?」
「いや、それにはさらなる検討を重ねる必要があると思われるが……」


「もう夜もおそいからね。……いちごさんはねむらないの?」
「Jesus! What the hell boy, I just wanna have a golden CHRISTIAN HEART you know?」


「わたしは小鳥さんみたいなどうぶつとちがってうごけないから、ねむるひつようもないの。」
「飲んでみるか……飲んでみたらこれが睡眠薬かどうかわかるしな。最良の方法にちがいない」


「そうなんだ……だったらよなかはたいくつじゃない?」
「テラワロスwwwwwwwwwwwwこいつなんと、謎のボロアパートに今潜入してカメラ回していっているのですが、見るからの怪しげっぽい錠剤を呑み込んでますwwwwwこれは期待できるぞwwwwwww」


「ふふ、いがいとそんなこともないよ。わたしはいつも、雲の上のことをそうぞうするの。きっとそこはとってもきれいで、すっごくたのしいんだろうな、って。」
「ま゙ってえ゙ぇ……ぜっ゙っ゙だい、のん゙じゃ、だ、め゙、ぇ゙」


「……そっか、それならたいくつしないかもね。」
「おいッ! 女スパイ! うるさいぞオ! 今何時だと思ってるんだア!」


「でしょ? ……でも、明日はついにほんとうに雲の上にいけるんだね。……なんだか夢をみてるみたい!」
「ちょっとアナタ、アナタたら、アナタったら本当にもう、伊織さんも呆れてるじゃないのよお、アッハハ」


「……。」
「母さん、でも、伊織さんの表情はガスマスクで覆われていて見えないよ。親父も、女の人を蹴るのはやめたほうがいいよ」


「小鳥さん、ほんとうにありがとう。会ったばかりのわたしに、こんなに良くしてくれて。」
「あら、ホント、すみませんねうっちの、ウチュ、ウチの子ったらおべっかでホントにアッハハハ」


「……おやすみ。」
「……おやすみなさい、小鳥さん。」
 小鳥は、にげるようにしてねむりにおちました。
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 お日さまもまだのぼらない朝はやく、ふかいゆめからさめた小鳥は、ゆううつに息つく間もなく、ひどいにおいに顔をしかめました。ひんやりとした風といっしょにどこからかながれてきた、甘くてすっぱくて、鼻をつくひどいにおいです。あまりのつよいにおいに、小鳥はおもわずせきこんでしまいました。


 ……でも、あたりをさがすまでもなく、小鳥はそのにおいのもとに気づいてしまいました。
「んん……どうなってる? 『ビタ眠剤』を飲んで、い、意識が飛んでいた……ここは? 夢? 夢か? 雪山?」


「あ、あれ?」
「そうだ、探偵さん。医師の私が言うからには間違いないよ」


 それは今いる木のみきのほら穴の中に、小鳥のすぐそばにありました。しなびた形がどんよりと黒ずんだ赤にいろどられ、ぽつぽつと気もちわるい粉をふくそれは――
「雪山? 確かにここは寒いですね。暖房をお付けいたしましょうか? ストーブをお付けいたしましょうか? 電子レンジは流石に耐えられませんよね? オーブンもありますけど耐えられませんよね?」


「い、いちご……さん?」
「アアおっかねえおっかねえ、寒いよもう手足なんかイモ焼けしそうだなア」


「アナタ、いもうあ、ヒ、芋焼けじゃなくてしも焼けでへ、でし、でしょうがアハハハ」


「親父、確かに雪山ってのは寒いところだな」


「ねえ、小鳥さん、わ、わたし、いま……どうなってるの……!」
「FUCKING COLD!!!」


「あのう、日本国民の皆さん。今、この雪に閉ざされた館のドアを、誰かがノックしているように聞こえたのですが、それにつきましてはどのように検討していくか、会議を開くべきです」


「チャンネル登録よろしくお願いします!グッドボタンと、チャンネル登録!通知ON!今回の、病、狂った医者の噂の真相とは……お楽しみいただけます!グッドボタンと、チャンネル登録!通知ON!」


 いちごは、今にも消えいりそうで、むらがるハエの羽の音にうもれてしまいそうな、しかし あるところに小鳥がいました。小さなみどり色のつばさと、きれいでふさふさな毛なみをもち、気ままにのうのうとくらしている小鳥です。
「おいおい、来客がいるんならアよ、俺が出迎えてやらねえと、よっと、つってて」


 今日はお気にいりの甘あい実をたくさんとれたようで、ごきげんなようすでおうちにもってかえってきました。夕やけ空を風のようにかけぬけて、とっても気もちよさそうです。
「アナタいい加減にしらさいよ! ただでさえ物資がすふないのに、あららしい人をいれるわけにはいかないわ! わら、わ、わらひたちが、こおえて死んでしまう!」


「あっ、小鳥さんだ! 空をとんできた!」
「もう少しの、もう少しの辛抱で、きっこ、きっと寒くないから……親父、母さん、もう少しだ」


「やあ小鳥さん。わあ、お~いしそうっ!」
「ん゙ん゙ううううううう ごぁ゙ あ゙っ」


「ほうほう、さすがは小鳥くん、くだものをとるのがじょうずだね。」
「伊織さん、女スアイ用のこほ率的な拷問用くはあちらにあったはうですよ。ああ、そうですか。なうほど。すいません、差しえがましい真似を。盲もう的なおお率主義にとらわれておりました。盲もうには灯りをつけたほうがいいかもしれませんえした」


 小鳥には森のともだちがたくさんいます。いつも元気なリスさんに、食いしんぼうなウサギさん、とっても頼りになるハトさん! 小鳥はみんなにとってきたものをすこしずつ分けてあげました。みんながおいしそうにたべているのをみて、小鳥はちょっぴりほこらしくなりました。
「ああ! ドアが壊あれた! 誰あが侵入してきたぞ!」


「えっへん、ぼくがえらんできたくだものはおいしいでしょう?」
「そうあ、探偵さん。医ひの私が言うからには間違いあいよ」


「うん、とっても!」


 小鳥は、すごくしあわせでした。
{{色変化|内容=<p>
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{{転換}}
 じぶんが食べる分を木のみきのほら穴につめこんだあと、小鳥は日がくれるまであたりをさんぽすることにしました。この森をぬけたすぐそばには、人間たちのくらす街があります。そこにはにぎやかな歌やようきな音楽がいつもなりひびいていて、おいしい食べものもそこら中にあふれています。小鳥はこの街を、とーっても気にいっていました。
</p>
 
}}
 はなうたまじりに街に入ろうとした小鳥は、ひんやりとした風といっしょにどこからかながれてきたものに心をうばわれました。甘くてきれいで、しっとりしたいいにおいです! そのおいしそうなかおりにつられ、しばらくそのままさまよって、小鳥はついににおいのもとまでたどりつきました。そこは、街のはずれにあるケーキやさんでした。
 
 かちゃかちゃぐつぐつ音がして、えんとつからはもくもくとけむりが立ちのぼっています。小鳥がおみせのなかをのぞいてみると、そこにはもちろんたくさんのケーキ! どれもおいしそうで、みているだけでおなかがへってきてしまいます。すると――
 
「こんにちは、小鳥さん。」
 
「う、うわあ!?」
 
 とつぜんこえをかけられて小鳥はびっくり! まどガラスごしにはなしかけてきたのは、たなのはじっこにあるショートケーキ、その上にいるいちごでした。なめらかな形がさえた真っ赤にいろどられ、まわりのホイップクリームはまるでドレスのよう。小鳥はなんだかどきどきしながらへんじをしました。
 
「こ、こんにちは、いちごさん!」
 
 いちごは小鳥のほうをみて、やさしくほほえみました。小鳥は恥ずかしくなって、とっさに目をそらしてしまいます。
 
「ねえ、あなたは空を飛べるの?」
 
「う、うん、飛べるよ! それも、とーってもはやくね!」


「わあ、すごい! じゃあ、雲の上にもいったことがあるの?」


「雲の……うえ……。」
「警察だ! 伊織海斗! 直ちに武器を捨てて投降……うっ!」


 小鳥はたしかに空をじゆうにとべます。けれど、雲の上にまで行ったことはありませんでした。そんなにたかいところまでとぼうとしたら、つかれてへとへとになってしまうし、なにより小鳥はこわがりだったからです。じめんがみえなくなるほど上にいってしまったら、もうかえってこられなくなるんじゃないか――どうしてもそうおもってしまうのです。
「あああああ、はっ、あっ、こあおア、ころあえああえ!」


 でも、そんなこといったらかっこわるい気がして、小鳥はうそをつきました。
「あ、アナ、アナタ、ひ織さんはひか、い、二階にいえ、にえ、に、にぎいいい、ぎいぎ、いぎぎい、ぎいい」


「も、もちろん! ……雲の上ではおひさまもぽかぽかで、すっごく気もちよかったよ!」
「たあ、たす、たあ! あっ、こ、ここ! だああ、あっ、あ!」


 これを聞いたいちごは、ぱあっとえがおになりました。でも小鳥はなぜだか、ちょっぴり目をそらしたくなってしまいました。もじもじしながら、いちごはこう続けます。
「……お゙があざあ ごえん」


「……わ、わたしね、じつは、いつか雲の上にいくのが夢なの。だから、その……よければわたしをつれていってくれないかな……なんて。」
「い、いあぎ、あ、お、あおいろ、青白い、おぐ、おお、おおきい、大きい目え、目で、はだ、肌あおぎおくて」


「え!? あ、その、えーっと……。」
 どうしよう! どうしよう! ほんとうは雲の上にいくなんてできないのに! 小鳥はうそをついたさっきのじぶんにもんくをいいました。
「……ご、ごめんね! 会ったばっかりなのにこんなこと聞いちゃって! め、めいわくだったよね! やっぱりこのことはわすれて!」
 いちごはかなしそうにうつむいています。それをみた小鳥は、ついあせって、言ってしまいました。
「わ、わかった! つれていってあげるよ! 雲の上!」
「ほんとに!? やったあ! ありがとう!」
 できもしないようなやくそくをしてしまった小鳥は、あとでどうしたらいいのか、とてもしんぱいになりました。けれど、いちごによろこんでもらえたのがうれしくて、ひょっとすると今ならほんとうに雲の上までとべるかもしれないとおもいました。いちごといっしょなら、なにもこわくないような気がしたのです。
 ――しかしそのときとつぜん、ばさばさという大きな音がちかづいてきました。
「小鳥くん、どうもこんにちは。」
 小鳥がうしろをふりかえると、そこには真っ黒でのっぽのカラスがいました。りっぱなつばさをもっていて、とってもとぶのがはやそうです。かっこいい! ……だけど小鳥には、どこかぶきみなかんじがしました。
「こ、こんにちは、カラスさん。」
「……小鳥さん、あのカラスさんはおともだち?」
 いちごがひそひそ声で聞いてきます。
「ううん、今はじめてあったとこ……うわあ!」
 気づいたら、いつのまにかカラスは小鳥のすぐとなりにきていて、えがおでこういいました。
「ねえねえ小鳥くん、かわいいかわいい小鳥くん、きみを食べてもいいかい?」
「え?」
 あぶない! カラスはいきなり、つばさをひろげておそいかかってきました!
「うわああ!」
 すんでのところで小鳥はこれをかわしましたが、カラスはひきさがりません。なにがなんだかわからないまま、とりあえず小鳥はここからにげることにしました。
「いちごさん! 今はあぶないから、明日また会おう!」
「ま、まって!」
 しかしいちごは、なにやらあわてているようです。
「わたし、今日でこのおみせにすてられちゃうの!」
「え!?」
「くわしいことはわからないけど、ケーキはみんな一日でうれなくなるからって……。とにかく日がしずんでおみせがしまっちゃったら、わたし……!」
 カラスのこうげきはつづきます。小鳥はかんがえるひまもないまま、こうさけびました。
「わ、わかった! 日がしずむまでにここにもどってくるから、それまでまってて!」
「……! うん! あ、ありがとう!」
 つばさをはためかせ、小鳥は空にとびあがります。しかし、ケーキやさんがみえなくなっても、カラスはしつこく小鳥をおいかけてきました。それもものすごい速さで! 小鳥はひっしで小回りをきかせて、どうにか出しぬこうとしますが、カラスにはつうようしません。夕やけはもうむらさきがかってきていて、お日さまはしずみはじめています。
「小鳥くんはすばしっこいなあ。もういいからはやく食べさせてよう。」
「……どうしてぼくを食べようとするのさ! 街にはもっとほかにおいしい食べものがあるでしょう!」
 小鳥とカラスはつかずはなれず、ついには街の真ん中にある時計台のてっぺんまできました。空はくらくなってきて、お日さまはもうはんぶんしかありません。早くおみせに戻らないと、いちごはすてられて、ゴミばこに入れられてしまいます。……ついさっきいちごと出会ったばっかりなのに、どうしてこんなふうにおもっているのか――じぶんにもわからなかったけれど、小鳥にとってそんなことはぜったいにいやでした。
 小鳥はいつのまにか、森のともだちとおなじくらい、もしかしたらそれいじょうに、いちごのことをだいじにおもっていたのです。
「……ひとめぼれ、じゃないかな。」
「……え?」
 ちく、たく、ちく、たく。時計台のはりのゆれるおとが、いやに大きくきこえてきます。
「ん? ああ、ぼくが小鳥くんを食べたくなったりゆうだよ。」
「え、いや……え?」
 ちく、たく、ちく、たく。
「きれいな緑色のつばさにふさふさの毛並み。きみをみるとなんだか……どきどきしちゃうのさ。」
「ど、どういうこと……?」
 ちく、たく、ちく、たく。
「ぼくはきみのことが好きなんだ。」
「あ、え。」
 ちく、たく、ちく、たく。
「ずっとしあわせにするから。」
「ど、どうして、じゃあ、たべる、なんて。」
 ちく、たく、ちく、たく。
「うーん……でもさ、そんな顔したって、ほんとうに心のそこからわからないなんてことはないだろ?」
 ごーーーん。
 七時をつげる時計台のおとが、小鳥をわれにかえらせました。にしの方をみると、あおぐろい雲の下、お日さまはほとんどしずみかかっています。小鳥は、かんがえるよりさきに、じめんに向かってすごいスピードでおちはじめました。カラスもやっぱりあとをおって、まっさかさまにおちてきます。
「どうしたの小鳥くん、そのさきにはじめんしかないよ! このままだとぶつかっちゃう!」
 カラスのいうとおり、小鳥はじめんに向かってまっしぐら。あぶない、ぶつかる――! というところでおっとっと、くるりとからだをひるがえします。しかしのっぽのカラスは小回りがきかず、そのままじまんの大きな羽をじめんに打ちつけてしまいました。これでカラスも、しばらくのあいだはおいかけてこられないでしょう。
「ぐっ……小鳥くん……ぼくはあきらめないからね! いつかきみのことを食べてあげるから!」
 カラスのことばには耳もかさず、小鳥はあのケーキやさんに向かってぜんそくりょくでかけていきます。お日さまはついに、とおくに見える山の向こうにしずんでしまいました。小鳥の中でいやなそうぞうがふくらんでいきます。ちかづいてきたケーキやさんのえんとつからは、もうけむりはのぼっていません。……いちごさん、おねがい、ぶじでいて!
 小鳥はなりふりかまわず、今さっきみちでひろった小石をまどガラスになげつけました。おおきな音を立てて、とうめいなガラスへんがくずれおちます。おみせのだれかのひめいもよそに、小鳥はわれたまどのすきまから中におし入って、目線はたなのはじっこの、ショートケーキのてっぺんの――
「いちごさん!」
「あ、小鳥さんっ!」
「さあ、つかまって!」
 小鳥はつめのあいだに大切にいちごをかかえて、ケーキやさんをあとにしました。空はすっかりほのぐらくなっていて、お月さまとお星さまが白くかがやいています。つめたくふく風が小鳥といちごをくすぐって、ひゅうひゅうと音を立てました。
「あの、小鳥さん……ありがとう!」
「えへへ、どういたしまして!」
 かわいた空気のなか、小鳥はふかく、やわらかく息をはきます。だれかのためにこんなにがんばるだなんて、小鳥には生まれてはじめてのことでした。肩の荷がおりるのとどうじに、カラスとのおいかけっこのつかれがどっと押しよせてきました。
「すごいなあ……空ってこんなにひろかったんだね。雲もあんなにとおくにある。」
「……そうだね。」
 ほほえましい気もちもひるがえって、雲の上へいちごをつれていくというやくそくをおもいだした小鳥は、じぶんのなさけなさが憎らしくなりました。あのときうそをついてしまったことが、いちごとのあいだの全てをだいなしにしているようにおもえました。
 だから小鳥は、いちごにほんとうのことをはなすことにきめました。
「あ、あのさ、雲の上につれていくってはなしなんだけど……。」
 ――でも小鳥には、勇気がありませんでした。
「今日はつかれちゃったから、またこんどでいいかな?」
 もしあれがうそだったとわかったら、いちごはじぶんのことをきらいになってしまうかもしれません。もしそうなってしまったら――その先をそうぞうすることさえ、小鳥にはこわくてとてもできませんでした。
 こんなことなら、うそなんてつかなければよかったのに。
「わかった。じゃあ……明日にしようよ! 早く雲の上にいってみたいな……!」
「……う、うん、そうしようか。じゃあ今日はとりあえず、ぼくのおうちで休もう。」
「やったあ! 小鳥さん、ほんとうにありがとう!」
 小鳥は、じぶんのことがきらいになりました。
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「あっ、小鳥さんだ! 今日はおそかったね!」
「やあ小鳥さん。あれ? ま~たくだものをとってきたの?」
「ほうほう、けっこう大きいね。これは……イチゴ、とかいったかな?」
 小鳥は、しばらくしていちごといっしょに森へかえってきました。リスさん、ウサギさん、ハトさんの顔をみてすこしだけ元気になれたけれど、明日のことをかんがえると気もちはしずむ一方です。
「こ、こら、いちごさんは食べものじゃない! ぼくのともだちだよ!」
「え、そうなの! ごめんごめん、しらなかったよ!」
 森のみんなはびっくりしているようすで、ふだんとかわらず明るくわらっています。……でも小鳥は、なぜだかぞっとしてしまいました。
 いちごさん――「イチゴ」を、……くだものを食べものだとおもうのは、べつにおかしなことではないし、むしろとうぜんのことです。なのに、いちごさんと「食べもの」をむすびつけることばには、なにかとってもいやなかんじがするのです。
 ……あのおかしなカラスのことばをおもいだしたせいでしょうか。
「えっと……ごめんねいちごさん、ここにいるみんなは、ぼくのともだち! ちかくにすんでるんだよ!」
「だいじょうぶ、気にしてないよ。……でも、わたしのからだをかじったりするのはやめてね!」
「あはは、ごめんごめん!」
 いちごは森のみんなとすっかり打ちとけたみたいで、小鳥との出会いや、ケーキやさんからつれ出してもらったことを、とってもたのしそうにおしゃべりしています。よかったよかった。
 ――気づけば空はすっかりまっくらになっていて、ともだちもみんなじぶんのおうちにかえっていったので、小鳥ももうねむることにしました。いちごといっしょに、木のみきのほら穴の中にねころがります。
「小鳥さんは、もうねむっちゃうの?」
「もう夜もおそいからね。……いちごさんはねむらないの?」
「わたしは小鳥さんみたいなどうぶつとちがってうごけないから、ねむるひつようもないの。」
「そうなんだ……だったらよなかはたいくつじゃない?」
「ふふ、いがいとそんなこともないよ。わたしはいつも、雲の上のことをそうぞうするの。きっとそこはとってもきれいで、すっごくたのしいんだろうな、って。」
「……そっか、それならたいくつしないかもね。」
「でしょ? ……でも、明日はついにほんとうに雲の上にいけるんだね。……なんだか夢をみてるみたい!」
「……。」
「小鳥さん、ほんとうにありがとう。会ったばかりのわたしに、こんなに良くしてくれて。」
「……おやすみ。」
「……おやすみなさい、小鳥さん。」
 小鳥は、にげるようにしてねむりにおちました。
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 お日さまもまだのぼらない朝はやく、ふかいゆめからさめた小鳥は、ゆううつに息つく間もなく、ひどいにおいに顔をしかめました。ひんやりとした風といっしょにどこからかながれてきた、甘くてすっぱくて、鼻をつくひどいにおいです。あまりのつよいにおいに、小鳥はおもわずせきこんでしまいました。
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「速報です。元医師の伊織海斗容疑者が、殺人罪で現行犯逮捕されました。男は郊外に所有する一軒家の中に少なくとも男女累計32人以上を誘拐・監禁し、違法な薬物の実験を行っていたところを、通報によって向かった警察に逮捕されたようです。監禁され死亡した被害者の中には、警察の女性潜入捜査官もいたそうです」
 ……でも、あたりをさがすまでもなく、小鳥はそのにおいのもとに気づいてしまいました。
 
「あ、あれ?」
 
 それは今いる木のみきのほら穴の中に、小鳥のすぐそばにありました。しなびた形がどんよりと黒ずんだ赤にいろどられ、ぽつぽつと気もちわるい粉をふくそれは――
 
「い、いちご……さん?」
 
 
 
「ねえ、小鳥さん、わ、わたし、いま……どうなってるの……!」
 
 
 
 いちごは、今にも消えいりそうで、むらがるハエの羽の音にうもれてしまいそうな、しかしするどくつきさすようなこえで、そうつぶやきました。
 
「ど、どうして、こんな……。」
 
「わかんないよ! わたし……ちがう、こんな、こんなの……!」
 
 吐きそうになるのをこらえながら、小鳥はいちごを大切にかかえて、ハトさんの住んでいる木にとんでいきました。ものしりで頼れるハトさんなら、こんなことになってしまったいちごでも、元どおりにできるかもしれないとおもったからです。いちごをつかむ小鳥の爪は、ぶよぶよとしたいちごの不気味な手ざわりに、すこしふるえてしまっていました。
 
「小鳥くんか、こんな朝早くにいったい……うっ、ひどいにおいだ!」
 
 ――いちごは黙りこんで、かなしそうにうつむきます。しかしどうにかなぐさめようにも、小鳥にはいちごと目をあわせることができませんでした。今のいちごのすがたをみていると、気もちわるくなってきて、吐きそうになってしまうからです。そして小鳥は、そんなじぶんにもまた気持ちわるくなってしまいました。
 
「……ハ、ハトさん! あの、いちごさんが、こんなことになってしまって……な、治してあげられる……かな?」
 
「いちごさん……!?」
 
 ハトさんはようやく、小鳥がかかえている汚いものがいちごさんなのだと気づいたようです。
 
「今さっき起きたら、こんなことになってて……。」
 
「これは……そうか……。たしかいちごさんは、ケーキやさんからにげてきたんだよね?」
 
「……うん、あとすこしですてられてしまうところを、ぎりぎりで助けだせたんだ。」
 
「ほうほう、そうか……じゃあきっと『賞味期限切れ』……いや、これは『消費期限切れ』か。そのせいでこうなっているんだろう。」
 
「しょーみきげん? しょーひきげん? ど、どういうこと?」


「……『賞味期限』は『おいしく食べられる期限』、『消費期限』は『安全に食べられる期限』のことだよ。まあつまり、はっきり言ってしまえば……いちごさんはもう腐ってしまっているんだ。」
「これは恐ろしい事件ですねえ。なぜ警察は早くに捜査に踏み込めなかったのか……」


 小鳥には、ハトさんの言っていることのいみがわかりませんでした。いちごさんが腐っている? 食べものでもないのに?
「どうやら、容疑者の男は薬物によって被害者たちを洗脳のような状態にしたうえで監禁していたそうですね。ところが、男が被害者のひとりであるAさんに、近くで探偵事務所を営んでいた男性を電話で誘い出すよう指示した際、密かにAさんがこの事態を警察に通報したことで、事件が発覚したそうです」


「……! た、食べるとか腐るとか言って、だからいちごさんは食べものじゃなくてぼくのともだちで……!」
「洗脳……それは恐ろしい」


「たしかに、小鳥くんにとっては友達かもしれない。けど、ケーキやさんに来る人間にとっては、いちごさんはただの『イチゴ』なんだ。腐ることだってある。ただの食べものなんだよ。」
「まだ情報が錯綜しているのですが、どうやら男は自身で作製した精神作用に働きかける薬物を日常的に被害者らに投与したうえ、被害者らをいくつかの『グループ』に分けて不気味な『ロールプレイ』を行わせ、その様々な反応を観察していたといいます。そして、一定期間の実験を済ませた後は、新しく開発した薬物の作用を確かめるための実験台として、『パーティ』と偽って『グループ』ごとまとめて殺害していたということです。今回警察にこの事態を通報した被害者の男性は、痛ましいことに亡くなってしまいましたが、おそらくこの最後の実験を予期していたのでしょう。男がなぜ接点のない探偵事務所の男性を、それもわざわざ被害者の一人に、しかも証拠の残る電話で誘い出させようとしたのかは依然不明ですが、ある精神分析家の主張によれば、これは『ロールプレイ』への異常な偏執によるものだといいます。実際、この時に行われていたロールプレイは『殺人事件』だったそうで、猟奇的にも男は『被害者役』の被害者を、やはり実際に殺害していたのだということです」


「そ、そんな、そんなこと……!」
「その探偵事務所の男性はどうなったんですか?」


「ごめんね。ざんねんだけど、いちごさんは治らない。……そろそろ全体がカビにやられてしまうだろう。そうしたら、もう……」
「彼も、警察に通報した後、自分でもその家に向かったらしいのですが、男に薬物で殺されてしまったそうです。容疑者の男は、自身は常にガスマスクをしたうえで、家中に気体状の神経に作用する薬物を散布していたらしく、この男性もその薬物に暴露して倒れていたところを捕まってしまった後、通報した男性と同じ『グループ』に入れられ、この薬物を摂取するように仕向けられたとみられています。このガスによって、最初に突入した警察官の中にも死傷者が出たということです。なぜこのような凶悪犯罪を犯したのか、その動機については、容疑者は未だ口を閉ざしたままです」


 小鳥はじぶんのなかでどくどくという音がおおきくなっていくのをかんじました。いちごさんは治らない? じゃあ、あの約束は――
「これは大事件ですよ。令和最大の猟奇的事件だ。徹底的に、社会全体でこういう犯罪を議論していく必要がある」


「小鳥さん、もう、いいの。……もういいから。」
「容疑者の男は、取調室でもしきりに『死眠剤』という薬物の威力を気にしているようです。おそらく、これが今回公にされた薬物大量殺人事件に用いられた薬物なのでしょう」
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4年3月30日 (I) 17:00時点における最新版

序曲「きみがよ~ん」提出[編集 | ソースを編集]

「きみがよ~ん」案[編集 | ソースを編集]

きみがよ~ん(作詞作曲: キュアラプラプ
Gimme gimme jumpscare
Gimme gimme soundscape
さあ勝てば官軍 死ねば英雄
出陣 why not
故郷いなかの母に 贈ります
槍となって 捧げるよ
この命 お国に

口ずさむ
君が代に
ふと思う
もしかして

この曲の編曲者
ド~イ~ツ~じ~ん~ じゃん
ああこんなの絶対
け~し~か~ら~ん~ わな
もう自爆のやる気も
き~え~う~せ~そ~ だわ
まあ所詮は黄色おうしょく
き~み~が~よ~ぽ~え~

Gimme gimme God yo
Gimme gimme God yo
さあ勝てない戦争 死ねば脱走
出陣 why not
故郷いなかの母は 焼け死んだ
リトルボーイ 新登場
きみがよよ きみがよ~ん


記事「ビタ眠剤」提出[編集 | ソースを編集]

ビタ眠剤[編集 | ソースを編集]

「ここか……事件が起きているのは。警察ももうすぐ来るだろうが……少し様子を見ておくか」


*        *        *

*        *        *


「……で、男の他殺体からは睡眠薬が検出されたと」

「そうだ、探偵さん。医師の私が言うからには間違いないよ」

「まあ、何というか、明らかにこのビンが怪しいよな……ラベルは貼られていないようだが……ん?」

「被害者の死体が気になりますか? このお客様は、今日のパーティーの為に当館にやって来たのです。死んでしまって残念です。不潔ですし、お片付けした方がよろしいでしょうか?」

「あー、ここのメイド長か。いや、その必要はない。それより、これ……ダイイングメッセージじゃないか?」

「確かに、文字にも見えるなア。えーとどれどれ、『ビタ眠剤』……? なるほど! 犯人は、ビタ眠剤という者なのかア!」

「ちょっとアナタ、しっかりしなさいよ。こんな素っ頓狂な声出して、館の、館の主人としてぇ、恥ずかしいわもう恥ずかしくないの? アッハハ」

「そうだぞ親父。このパーティーの参加者にそんな名前の奴いない。ほら見ろ、これが今館にいる全員のリスト。赤ペンは俺の書き込みだ」

パーティーの流れ
本番 被害者 館の主人 館の妻 御曹司(自分) メイド長 医者 不法侵入YouTuber 女スパイ伊織さんは、こいつには何をしてもいいって言っていたけど、だれ? 岸田総理 天草四郎時貞
☆事件発生後追加→探偵(伊織さんが、電話で誘い出すように言っていたごめんなさい)

さらに後でる?→警察(電話した!来るまでぜったいばれないようにする!)

「えー、つまり、おそらく他殺体から検出された睡眠薬というのは、この『ビタ眠剤』とやらのことなんだろう。そしてこれは十中八九……この、謎のビンの中の錠剤だろうな」

「いや、それにはさらなる検討を重ねる必要があると思われるが……」

「Jesus! What the hell boy, I just wanna have a golden CHRISTIAN HEART you know?」

「飲んでみるか……飲んでみたらこれが睡眠薬かどうかわかるしな。最良の方法にちがいない」

「テラワロスwwwwwwwwwwwwこいつなんと、謎のボロアパートに今潜入してカメラ回していっているのですが、見るからの怪しげっぽい錠剤を呑み込んでますwwwwwこれは期待できるぞwwwwwww」

「ま゙ってえ゙ぇ……ぜっ゙っ゙だい、のん゙じゃ、だ、め゙、ぇ゙」

「おいッ! 女スパイ! うるさいぞオ! 今何時だと思ってるんだア!」

「ちょっとアナタ、アナタたら、アナタったら本当にもう、伊織さんも呆れてるじゃないのよお、アッハハ」

「母さん、でも、伊織さんの表情はガスマスクで覆われていて見えないよ。親父も、女の人を蹴るのはやめたほうがいいよ」

「あら、ホント、すみませんねうっちの、ウチュ、ウチの子ったらおべっかでホントにアッハハハ」


*        *        *


「んん……どうなってる? 『ビタ眠剤』を飲んで、い、意識が飛んでいた……ここは? 夢? 夢か? 雪山?」

「そうだ、探偵さん。医師の私が言うからには間違いないよ」

「雪山? 確かにここは寒いですね。暖房をお付けいたしましょうか? ストーブをお付けいたしましょうか? 電子レンジは流石に耐えられませんよね? オーブンもありますけど耐えられませんよね?」

「アアおっかねえおっかねえ、寒いよもう手足なんかイモ焼けしそうだなア」

「アナタ、いもうあ、ヒ、芋焼けじゃなくてしも焼けでへ、でし、でしょうがアハハハ」

「親父、確かに雪山ってのは寒いところだな」

「FUCKING COLD!!!」

「あのう、日本国民の皆さん。今、この雪に閉ざされた館のドアを、誰かがノックしているように聞こえたのですが、それにつきましてはどのように検討していくか、会議を開くべきです」

「チャンネル登録よろしくお願いします!グッドボタンと、チャンネル登録!通知ON!今回の、病、狂った医者の噂の真相とは……お楽しみいただけます!グッドボタンと、チャンネル登録!通知ON!」

「おいおい、来客がいるんならアよ、俺が出迎えてやらねえと、よっと、つってて」

「アナタいい加減にしらさいよ! ただでさえ物資がすふないのに、あららしい人をいれるわけにはいかないわ! わら、わ、わらひたちが、こおえて死んでしまう!」

「もう少しの、もう少しの辛抱で、きっこ、きっと寒くないから……親父、母さん、もう少しだ」

「ん゙ん゙ううううううう ごぁ゙ あ゙っ」

「伊織さん、女スアイ用のこほ率的な拷問用くはあちらにあったはうですよ。ああ、そうですか。なうほど。すいません、差しえがましい真似を。盲もう的なおお率主義にとらわれておりました。盲もうには灯りをつけたほうがいいかもしれませんえした」

「ああ! ドアが壊あれた! 誰あが侵入してきたぞ!」

「そうあ、探偵さん。医ひの私が言うからには間違いあいよ」


*        *        *


「警察だ! 伊織海斗! 直ちに武器を捨てて投降……うっ!」

「あああああ、はっ、あっ、こあおア、ころあえああえ!」

「あ、アナ、アナタ、ひ織さんはひか、い、二階にいえ、にえ、に、にぎいいい、ぎいぎ、いぎぎい、ぎいい」

「たあ、たす、たあ! あっ、こ、ここ! だああ、あっ、あ!」

「……お゙があざあ ごえん」

「い、いあぎ、あ、お、あおいろ、青白い、おぐ、おお、おおきい、大きい目え、目で、はだ、肌あおぎおくて」


*        *        *

「速報です。元医師の伊織海斗容疑者が、殺人罪で現行犯逮捕されました。男は郊外に所有する一軒家の中に少なくとも男女累計32人以上を誘拐・監禁し、違法な薬物の実験を行っていたところを、通報によって向かった警察に逮捕されたようです。監禁され死亡した被害者の中には、警察の女性潜入捜査官もいたそうです」

「これは恐ろしい事件ですねえ。なぜ警察は早くに捜査に踏み込めなかったのか……」

「どうやら、容疑者の男は薬物によって被害者たちを洗脳のような状態にしたうえで監禁していたそうですね。ところが、男が被害者のひとりであるAさんに、近くで探偵事務所を営んでいた男性を電話で誘い出すよう指示した際、密かにAさんがこの事態を警察に通報したことで、事件が発覚したそうです」

「洗脳……それは恐ろしい」

「まだ情報が錯綜しているのですが、どうやら男は自身で作製した精神作用に働きかける薬物を日常的に被害者らに投与したうえ、被害者らをいくつかの『グループ』に分けて不気味な『ロールプレイ』を行わせ、その様々な反応を観察していたといいます。そして、一定期間の実験を済ませた後は、新しく開発した薬物の作用を確かめるための実験台として、『パーティ』と偽って『グループ』ごとまとめて殺害していたということです。今回警察にこの事態を通報した被害者の男性は、痛ましいことに亡くなってしまいましたが、おそらくこの最後の実験を予期していたのでしょう。男がなぜ接点のない探偵事務所の男性を、それもわざわざ被害者の一人に、しかも証拠の残る電話で誘い出させようとしたのかは依然不明ですが、ある精神分析家の主張によれば、これは『ロールプレイ』への異常な偏執によるものだといいます。実際、この時に行われていたロールプレイは『殺人事件』だったそうで、猟奇的にも男は『被害者役』の被害者を、やはり実際に殺害していたのだということです」

「その探偵事務所の男性はどうなったんですか?」

「彼も、警察に通報した後、自分でもその家に向かったらしいのですが、男に薬物で殺されてしまったそうです。容疑者の男は、自身は常にガスマスクをしたうえで、家中に気体状の神経に作用する薬物を散布していたらしく、この男性もその薬物に暴露して倒れていたところを捕まってしまった後、通報した男性と同じ『グループ』に入れられ、この薬物を摂取するように仕向けられたとみられています。このガスによって、最初に突入した警察官の中にも死傷者が出たということです。なぜこのような凶悪犯罪を犯したのか、その動機については、容疑者は未だ口を閉ざしたままです」

「これは大事件ですよ。令和最大の猟奇的事件だ。徹底的に、社会全体でこういう犯罪を議論していく必要がある」

「容疑者の男は、取調室でもしきりに『死眠剤』という薬物の威力を気にしているようです。おそらく、これが今回公にされた薬物大量殺人事件に用いられた薬物なのでしょう」

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