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=しわくちゃ=
{{基礎情報 生物|生物界=動物|通称=バイクに乗るゴリラ|画像=ゴリラ1.jpg|分類=
 前の人の焼香が終わり、一歩進み出た。目線の先には、ずらりと一列に並ぶ何十枚もの遺影がある。俺が弔いにきた友人の遺影は、右から五番目にあったから、そこを向いて一礼して、香を炉の中に落とした。こういう「集団葬」は、ほんの数年前から普及しはじめた。高齢化に伴って葬儀件数が増加する一方で、社会関係の希薄化というやつなのか、参列者は年々減少し、葬儀の規模は以前と比べてずいぶん縮小していたらしい。葬儀社は、儲からない割には時間と場所を食う大量の仕事によって、パンク寸前の状況に陥っていた。これを解決するために始めたのが、この格安プランの「集団葬」というわけだ。これなら施設を改修する必要もなく、効率的に死者を弔える。これからは社会全体がこういう風になっていくのか、と俺は思った。
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==起==
'''バイクに乗るゴリラ'''は、最強の生物である。


 特に遺族ともつき合いはないし、俺はそのまま帰ることにした。葬儀場を出て、蒸し暑い車のエンジンをかける。今時珍しい車載のテレビを点けると、認知症予防効果があるらしいサプリメントの通販番組が流れていた。最近の番組は、どれもこんな風でつまらない。腕時計を見ると、祥子の診察の時間が迫っていた。病院はそこまで遠くないが、祥子を連れ出すのは一苦労だ。俺は車を走らせて、駐車場を後にした。
==承==
ゴリラという生物をご存じだろうか。ゴリラの尋常でない体躯には鍛え上げられた漆黒の筋肉が詰まっており、そこから繰り出される2トン級のパンチは岩をも簡単に砕いてしまう。怯えたあなたが停戦の握手を求めて手を差し出しても、その手はゴリラの500kgの握力によって原形をとどめないほどに破壊されてしまうだろう。


 俺は死んだ友人のことを思い出していた。彼は新卒で入社した職場での同期だった。大親友というわけではなかったが、そこから転職した後も長い間つき合いがあった。俺とは違ってしっかり者で、要領のいい男だった。しかし、いつからか、俺の方から連絡しても返事が返ってこなくなった。還暦を迎えて数年ほど経った頃だったと思う。そこで関係はあっけなく途切れた。数年経って、ようやく彼の電話番号から着信があったのは、つい先日のことだ。彼は老衰で死んだ、と聞かされた。どうやら、彼のスマートフォンに残されていた友人の連絡先の中から、遺族が俺を見つけてくれたらしい。
なら、走って逃げる? 仮にあなたが日本語を勉強しつつ変なサイトに間違ってアクセスしてしまったウサイン・ボルトであるとしても、それは不可能だ。あなたの100メートル走世界記録は9秒58――平均速度を時速に換算すると、約37.578288100209km/hである。一方あなたを追うゴリラは、余裕で40km/h、最高速では50km/hほどに達する。あなたがトップスピード(約45km/h)で走ろうとも、ゴリラはどこまでも追いかけてくるのだ……。


 彼は認知症だったそうだ。最期は家族のことも分からなかったというから、俺のことなんて当然忘れていたのだろう。遺影に写っていた、俺の知る彼は、もうとっくに居なくなっていたのだろうか。俺は恐ろしくなった。最近は、祥子も俺のことが分からなくなりつつあるのだ。
ゴリラは他にも並外れた能力を持っている。以下がその例である。
{{大喜利|場所=3}}


 車をアパートの脇に停めた。この頃は祥子だけでなく俺も足腰を悪くしはじめているから、部屋を一階に借りたのは幸運だった。鍵を開けて家に入ると、祥子はリビングで折り紙をしているようだった。
#知能が高く、道具を使用したり、仲間と社会的に交流したりすることができる。
#シャトルランを500往復できる。
#自分に自信があり過ぎて、服を着ないでも恥ずかしくない。
#精神力が強く、二度寝しない。
#課題が出されたそばから取り組む。
#ブランコでトリプルアクセルができる。
#買ったアイスをそのまま地面に落としても泣かない。
#セロハンテープの切れ目が一瞬で分かる。
#階段の手すりでポールダンスができる。
#[[Sisters:WikiWikiリファレンス/公序ソング/3#航空性副鼻腔炎|航空性副鼻腔炎]]にならない。
#指の毛一本で腕相撲に勝てる。
#従軍経験がある。
#プラシーボ効果が通用しない。
#子供の頃は消防士になりたかった。
#一度もしゃっくりをしたことがない。
#サビしか知らない曲をカラオケで歌って100点を取ったことがある。
#[[ルービックキューブ]]を目隠しして解ける。
#テレビの番組表を暗記している。


「ただいま、祥子。じゃあ、さっき言った通り、病院に行こうか」
==転==
このように非常に高いスペックを誇るゴリラだが、車とかに乗れば逃げられる。


「あなたねえ、この前、病院は行ったばかりでしょ! 今日はもう疲れたから嫌よ!」
また、ゴリラは基本的に温厚で臆病な性格をしており、群れや家族に危険が迫って初めてその実力を発揮するため、基本的に何もしていない人間に対して害をなすことは無い。


 祥子は俺を睨んでそれだけ言うと、再び折り鶴を作り始めた。
そう、ゴリラは最強の生物として君臨することなんて、最初から望んでいなかったのだ……。
{{vh|vh=10}}[[ファイル:ゴリラ1.jpg|サムネイル|中央|ブロロロ……(こちらに気づいていない)]]
{{vh|vh=30}}[[ファイル:ゴリラ2.jpg|サムネイル|中央|キキィーーッ!(気づかれた!)]]


 妻の祥子は、中度の認知症だ。この折り紙も、二年前に認知症と診断された時に、指先を動かすことで認知症の進行を抑えられるというかかりつけ医のアドバイスで始めたもので、彼女はすっかりこれを気に入ったらしく、今では家中に折り鶴が飾られている。しかし、認知症の進行は着実に進んでいて、最近は一人でトイレに行くことも難しくなってきた。
==転==
<big>'''しかし、バイクに乗るゴリラは別である。'''</big>


「すまんすまん。でも、お医者さんが今回はすぐ終わるって言ってたから、さっと行って済ませてこよう。今日行かないと、お医者さんも心配するし」
速度制限の標識に従うゴリラがどこにいる? ゴリラが乗るバイクは優に時速200kmを超える。バイクに乗るゴリラは、狙った獲物をどこまでも追い続けるのだ。ゴリラは持ち前の器用さで精密なハンドリングを行い、隙あらばただでさえ2トンあるパンチを加速させてお見舞いしてくる――地平線にゴリラを見つけたが最期、あなたは気づけば道路の染みとなっているだろう。


 買い物や何か他の用事で俺が外出しないといけない時、今までは近くに住む娘夫婦に様子を見てもらっていたが、この前ついに祥子は自分の娘のことが分からなくなってしまった。俺以外の人が家に入ってくるとひどく取り乱してしまうのが大変で、ひどいときには物を投げつけたり、爪で引っかいたりもするから、最近は娘夫婦も介護に消極的になっている。本人も含めて家族で相談して、半年前には介護施設へ入居申請を出したが、どこも定員がいっぱいで、祥子はいわゆる「待機高齢者」の列に並んでいる状態だ。このまま祥子が俺のことさえ忘れてしまったら、俺はどうしたらいいのだろう。
バイクに乗るゴリラは、孤独だ。家族を置いて、群れから飛び出て、ゴリラはバイクという唯一の相棒と共にどこまでも走る。その力は最早誰かを守るためのものではない。敵を打ちのめすために研ぎ澄まされた、獰猛な刃なのだ。バイクに乗るゴリラは、ただ、「君臨」だけを望んでいる……。


「はいはい、分かりましたよ。そこまで言うなら」
<big>'''そう、バイクに乗るゴリラは、最強の生物なのである!!!!!'''</big>


 数十分の説得の末、祥子は不貞腐れたように、ゆっくりと立ち上がった。テーブルに置かれている制作途中の折り鶴は、二年前と比べて形が歪んでいるのが嫌でも意識される出来栄えだった。
==転==
戦いを求めて今日もバイクに乗るゴリラは、ある日一枚のビラを発見した。そこにはなんと、「古今東西最強生物デスマッチ」の情報があるではないか。


{{転換}}
その力を証明するため、バイクに乗るゴリラは単身アマゾンの奥地へと向かった。人知れず、タイヤをオフロードタイヤに替えて……。


「治験薬?」
===第一ラウンド===
<div style="display:flex"><big><div style="color:red; margin-right:1em">'''バイクに乗るゴリラ VS ティラノサウルス</div></big>{{テンプレート:動き|対象物={{テンプレート:動き|対象物=<big><span style="color:red">'''FIGHT!!!</span></big>|動き=swingcol|posi=static}}|動き=swingrow|posi=static}}</div>


「ええ、そうです。治験といっても、安全性や効果はほぼ完全に認められていて、半年後には新薬として正式に承認されることになっていますから、そこはご心配なく」
さあ始まりました「'''古今東西最強生物デスマッチ'''」! 第一ラウンドの対戦相手はあの「'''暴君竜'''」ティラノサウルスだ! 絶滅という形で歴史の闇に姿を消したあの白亜の王者が、一夜限りの復活を遂げてバイクに乗るゴリラに襲い掛かります。ティラノサウルスの体長は脅威の13メートル、一方ゴリラの体長は人間と変わりありません。バイクに乗っているおかげで50cmくらい背伸びできるとはいえ、バイクに乗るゴリラはこの体格差の暴力をどう覆すのでしょうか?


 かかりつけの病院で、普段通りに問診や検査をした後、担当の先生は俺だけを部屋に呼んで、治験薬の提案をしてきた。
先に仕掛けたのはティラノサウルスだ! 一本30cmにも及ぶ鋭く巨大な牙でゴリラを噛み砕こうと、冷酷な瞳でバイクに乗るゴリラを見据えて接近しています! 同じ恐竜の骨をも砕くと言われるティラノサウルスの咬合力をもろに食らってはひとたまりもありません。バイクに乗るゴリラは得意のハンドルさばきで旋回して退避し、それをティラノサウルスが追っています。このままでは互いに有効打に欠けるようですが……おっと、バイクに乗るゴリラがティラノサウルスに向き直り、まっすぐ激突しようとしています! あれは逃走ではなく助走距離の確保だったのか! しかし、このままではあの恐ろしい牙でいっぱいの口に飛び込んでしまうぞ!?
<div style=" overflow: hidden; width:100%">{{vh|vh=10}}
{{テンプレート:動き|対象物={{テンプレート:動き|対象物=[[ファイル:ゴリラ1.jpg|サムネイル|中央|ブオォン!]]|動き=wheelie|posi=static}}|動き=runby|posi=static}}
{{vh|vh=10}}</div>
'''ウィリーだああ!!!''' そして、ティラノサウルスの上下に開いた大あごを縦に押さえつけるように着地しました! ゴリラはティラノサウルスの牙を掴んで姿勢を保っているようです。車輪がティラノサウルスの表皮を巻き込むように回転し、恐竜の王者もたまらず悲鳴をあげます! しかし、ティラノサウルスの短い前腕ではバイクに乗るゴリラには届きません。おっとティラノサウルス、頭を激しく動かして振り払おうとしますが……'''ゴリラパンチがここで決まったあ!''' ティラノサウルスの牙が数本粉砕されました! 相当なダメージだ! おっとティラノサウルス、衝撃で脳震盪を起こしたか……ああっ、倒れました!


「認知症の患者さんが混乱してしまうのを避けるために、祥子さんにはちょっと退席してもらいましたが、気を悪くしないでください。後で旦那さんからこの提案のことを話してもらって、それで祥子さんが嫌と言うならもちろんそれで結構ですが、一旦はこちらで詳しい説明をしないといけませんから」
'''古代を支配した怪物も、バイクに乗るゴリラの策によって繰り出される、狙いすまされたパンチには地に臥すしかなかった!!! 勝者!!! バイクに乗るゴリラあああ!!!'''


「はあ……。それで、一体どんな薬なんですか?」
===第二ラウンド===
<div style="display:flex"><big><div style="color:red; margin-right:1em">'''バイクに乗るゴリラ VS ヒトの群れ(米軍)</div></big>{{テンプレート:動き|対象物={{テンプレート:動き|対象物=<big><span style="color:red">'''FIGHT!!!</span></big>|動き=swingcol|posi=static}}|動き=swingrow|posi=static}}</div>


「簡単に言うと、ある種の精神安定剤のようなものです。認知症の患者さんが全国で増えていく中で、認知症を原因とする患者さんの妄想や暴言、暴力などによる介護にかかる負担が問題になっています。これらの症状をこのお薬で和らげることで、介護をする人はもちろん、介護を受ける人も負担を減らすことができます」
「'''古今東西最強生物デスマッチ'''」はまだまだ続く! 第二ラウンドの対戦相手はあの「'''万物の霊長'''」ヒト、それも最新鋭の兵器で武装した群れだ! ホモ・サピエンスは個体レベルではただの貧弱で禿げ上がった猿に過ぎませんが、言語とイノベーションによって高度な社会を実現させ、歴史上類を見ない規模で地球の全てを支配した実績を誇る、有無を言わさぬ「最強生物」の優勝候補です。ゴリラが乗るバイクも、もともとはヒトが発明したものだといいます。集団で真価を発揮する彼らの知略と技術を相手に、バイクに乗るゴリラはどのような打開策を見いだしてくれるのでしょうか!


 手渡された資料には、さまざまな介護現場からの好評の声が書かれていた。「利用者様が進んで介助を受け入れてくださるようになりました」「父が昔のようにすっかり温厚になりました」「これからの家族生活に希望が持てるようになりました」……。
122歳の経験がものをいうか…さてどのような死闘を繰り広げるのでしょう…!ちなみに今回は筋トレするクマムシを見失わないようにGPSをつけています!!!


「祥子さんは、娘さんなどに攻撃的になってしまうことがあると仰っていましたが、この薬を服用すれば、そういったことも収まる可能性が高いです。そうしたら家族での介護も上手くいくようになるでしょうし、ぜひ検討してみてください」
おっと!?筋トレするクマムシは何もしていないのにヒトが倒れたぞ!?!?というか筋トレするクマムシはどこに消えたんだ!?!?!?


 毎月処方される薬に加えて、この治験薬の錠剤を一週間分貰って、俺と祥子は家に帰った。本当にこの薬で言われた通りのことが起こるのだろうか。浮足立つ気持ちを抑えて、俺は祥子にこのことを話した。貰ったパンフレットを見て、祥子は泣いていた。
なんと!ヒトは老衰で死亡したようです!これはもしや…'''ヒトの生命力を吸収してしまったのかああああ!?!?'''


「ごめんなさいねえ、いつも、迷惑だよねえ」
'''なんという生き様!筋トレするクマムシの中の筋トレするクマムシ!!!!!!!またしても戦わずして勝利をもぎ取りましたあああああああああ!!!!!!'''


 しまった、と思った。確かに、祥子にしてみれば、この提案はまるで彼女を責めるもののように感じられるだろう。介護のために来た娘夫婦のことが分からなくとも、自分の感情や行動が制御できていないという自覚はあるのかもしれない。しかし、それは決して彼女のせいではない。これはあくまで、認知症患者の症状の一つなのだ。
===最終ラウンド===


 祥子は優しい人だった。遅くに産まれた一人娘を溺愛し、ただの一度も手を上げたことはなかった。娘夫婦が結婚を報告しに来た時、彼女は本当にうれしそうに娘の手を取った。時の流れはあまりにも残酷だ。俺は祥子の手を固く握りしめて、祥子が悪いわけじゃない、と繰り返しなだめた。気づけば俺も涙声になっていた。
さあ遂に迎えた最終ラウンドで立ちふさがる相手は…


 二人で話し合って、薬はやはり飲むことにした。俺や娘夫婦が悲しむことで最も悲しむのは、祥子自身なのだ。俺は最初、少しだけ、祥子をあたかも押さえつけるようなつもりでいた部分があったかもしれない。そう思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。そして、それと同じくらい、これからも皆で頑張ろう、と思った。どんなに辛いことがあっても、家族で乗り越えていこう。そう思った。


{{転換}}
誕生日 5月31日?…


 それから徐々に、祥子は大人しくなっていった。暴力行為がなくなったことに娘は安心したようで、再び介護のために家を訪れてくれるようになったし、去年産まれたばかりの孫も連れて家族で来てくれることも増えた。「あの薬があって本当に良かった」と、娘は言った。


 ただ、俺には一つ気になることがあった。祥子がほとんど言葉を喋らなくなったのだ。実際、認知症の末期には、会話がほとんどできなくなるというのは知っていたが、それにしては祥子はあまりにも急だった。薬を服用しはじめてからたった数日で、ほとんど幼児のような言葉しか喋れないようになったのだ。それに、本当に認知症の末期ならあるはずの、無気力や無表情といった症状は見られない。祥子は今まで通りに折り紙を折り、笑顔で孫と遊んでさえいる。
身長 138センチ…


 リビングのテーブルに座っている俺の視線の先には、今日も来てくれた娘夫婦と孫が、祥子と遊んでいるのが見えた。祥子は目を細め、孫の頭を撫でている。症状の出方には個人差もあるそうだし、治験薬の副作用を疑うのは、やはり考えすぎだろうか。孫は立ち上がって、祥子の周りを歩きはじめたが、少しバランスを崩してよろけ、壁にもたれかかった。その時、壁にセロテープで留められた、祥子の作った黄色い折り鶴が、ぐしゃぐしゃに潰れてしまったのが見えた。すると祥子は、目を丸くして悲鳴をあげ、激しく泣き叫びはじめてしまった。


 おかしい、と思った。あの治験薬を服用しはじめてから、今まではなかった症状が、明らかに、急激に増えている。本当に認知症の進行時期が偶然重なっただけなのか? 固まっている俺をよそに、娘夫婦は慌てて祥子をなだめようとしたが、今度は孫の方まで泣きはじめてしまった。「仲直り」という言葉が聞こえた。さながら二人の幼児の喧嘩を収めるように、娘夫婦は孫と祥子をあやしはじめた。祥子の背中を撫でているのが見えた。
体重 増減なし…


「やめろ!」


 頭が真っ白になって、気づくと口から言葉が出ていた。
<ruby>歴史<rt>[[WikiWiki:コンテスト/嘆きの壁|嘆き]]</rt></ruby>の<ruby>闇<rt>[[WikiWiki:コンテスト/嘆きの壁|壁]]</rt></ruby>に葬り去られた存在…


「祥子は子供じゃないんだぞ! 謝れ!」


 娘夫婦は呆然として俺を見ていた。その表情の奥には、ある種の納得と、覚悟を感じさせるようなものがあった。心臓の音が一つ、大きく跳ねた。呼吸が荒くなる。
その名も…!!!!!


「ごめんなさい、そんなつもりじゃなくて……」
[[ファイル:ハン・ドレッド(ウマ娘).jpg|サムネイル|中央]]
<p style="text-align:center"><span style="background:linear-gradient(180deg, #fae917, #f86ea8) ; -webkit-background-clip:text ; -webkit-text-fill-color: transparent ; -webkit-text-stroke:0.2vw #e0446a ; font-size:7vw">ハン・</span><span style="background:linear-gradient(180deg, #fbd8c4, #ef4584) ; -webkit-background-clip: text ; -webkit-text-fill-color: transparent ; -webkit-text-stroke:0.2vw #e0446a ; font-size:7vw">ドレッド</span></p>
{| class="wikitable" style="margin:0 auto ; background:linear-gradient(90deg, #987ab7, #efc8d0)"
| style="width:75vw ; border-top:1px solid #ffffff ; border-right:1px solid #ffffff ; border-left:1px solid #ffffff ; border-bottom:1px solid #ffffff" |
|}<p style="text-align:center"><span style="background:linear-gradient(180deg, #fdfdfe, #f9e7f4) ; -webkit-background-clip: text ; -webkit-text-fill-color: transparent ; -webkit-text-stroke:0.075vw #c280b0 ; font-size:3vw">プリジィーカービィー</span>
</p>


「もういい。帰ってくれ」


 そう言うと、すごすごとリビングを出ていく娘夫婦を尻目に、俺は震える手であの治験薬について調べはじめた。辿り着いたのは、この治験薬の承認に反対する団体のホームページだった。俺は夢中でサイトを読み漁る。どうやら、あの治験薬が作用する仕組みは、医者が言っていた通り精神安定剤と同様のもので、脳の感情に関する部位の働きを抑制するところにあるらしい。ただ、その抑制の程度は、ほとんど破壊とさえいえる代物であるという。
<big><span style="color:#ff0000">'''筋トレするクマムシ VS ハン・ドレッド</span>(<span class="plainlinks">[https://ja.wikiwiki.ga/index.php?title=%E5%88%A9%E7%94%A8%E8%80%85:%E3%82%B1%E3%83%84%E3%82%A2%E3%82%B4%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%AD/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%9C%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9/1&oldid=4825 ケツアゴコロロ]</span>案) <span style="color:#ff0000">FIGHT!!!'''</span></big>


 そのサイトは、この治験薬の残忍さを、「ロボトミー」という手術になぞらえて批判していた。この手術は、精神障害への治療法として二十世紀に確立され、世界各地で急速に広まったものらしい。ただし、その手術の内容は、脳のうち感情や人格を司る部分の神経を切除してしまうというものだった。これを受けた患者の人格は変化し、感覚は薄らいだという。「どうしてこんな手術が生まれたのか?」このサイトは読者に投げかける。いわくロボトミーは、考案者がその功績で二つのノーベル賞を受賞し、最も盛んに手術が行われていた時期でさえ、人道的観点からの批判が多くあったという。しかし、この手術が表舞台を去ったのは、これに代わる副作用の少ない薬品が発展してからのことだった。
さあ始まりました「'''筋トレクマムシ・デスマッチ!!!'''」


 「看護が楽になること」――このサイトは、こう結論づけた。ロボトミーが生まれた時代、精神病院は患者で溢れかえっていた。中には暴力的で手に負えない患者も多くいただろう。実際、ロボトミーの先取りとなったある手術は、患者の攻撃性の緩和を目的にしていたという。ロボトミーは、患者から感情と知性を奪うことで、「楽な患者」を実現させていたのだ。俺はここでようやく、このサイトが何を言おうとしているのかを理解しはじめた。さらに読み進めると、話はやはりあの治験薬に戻る。これは新しいロボトミーに他ならない、という記述が、目に飛び込んでくる。
最終ラウンドはあの「'''パクス・モンゴリアの誇り'''」ハン・ドレッド!!!!!


 単に外科手術で人格を破壊するのではない。あの治験薬が引き起こすのは、ここ数年の医学的技術の躍進によって可能になった、服薬による高度な人格の操作なのだという。この薬は服用するごとに認知症患者の本来の人格を変えていき、介護者にとって最も理想的とされる人格を植え替えてしまうのだ。このサイトの考察によれば、それは「幼児の人格」だという。拙い言葉を喋り、いつも笑顔で、愛くるしい。そんな「楽な患者」を、精神病院の医師たちではなく、今度は日本の何千万もの介護者たちが求めているのだ。
「恐怖の大魔王」、果たして再来なるか…さてどのような死闘を繰り広げるのでしょう…!ちなみに今回は筋トレするクマムシを見失わないようにGPSを5つもつけています!!!


 このサイトに書かれていることが正しいのかは分からない。しかし、俺は一刻も早く祥子の担当医と話がしたいと思った。スマートフォンをテーブルの上に置く。いつの間にか長い時間が経っていたようだが、祥子はまだしくしく泣いていた。気づくと俺は車の運転席にいて、病院に向かっていた。
これは…!ハン・ドレッドが筋トレするクマムシを持ち上げたああああああ!!!すごい視力!さすが遊牧民の血だ!!!!!筋トレするクマムシは流石の速さで乾眠状態に!!!!


{{転換}}
ハン・ドレッド…そしてそのまま…投げたああああああああああああああああ!!!!!!!'''飛んでいく!!!筋トレするクマムシが宇宙の果てまで飛んでいく!!!!!!!!!!'''
 
'''しかし筋トレするクマムシは復帰できるはずなのに復帰しない!これはまさか…勝負よりも自身の空を飛ぶ快楽を優先したのかああああああ!?!?またしても戦わずして勝利をもぎ取りましたあああああああああ!!!!!!'''
 
==結==
{{foot|ds=はいくにのるこりら}}

5年7月11日 (ヰ) 23:07時点における最新版

バイクに乗るゴリラ
分類
 界:動物界 Animalia
 門:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
 綱:哺乳綱 Mammalia
 目:霊長目 Primates
 科:ヒト科 Hominidae
 属:ゴリラ属 Gorilla
亜属:ゴリライダー属 Goriderilla
保全状況評価
Data Deficient
生息年代
人新世
分布状況
車道
学名
Goriderilla motorbike
和名
ゴリライダー
バイクに乗るゴリラ
英名
Motorbike-rider Gorilla
進化後
マウンテンバイクに乗るマウンテンゴリラ

編集

バイクに乗るゴリラは、最強の生物である。

編集

ゴリラという生物をご存じだろうか。ゴリラの尋常でない体躯には鍛え上げられた漆黒の筋肉が詰まっており、そこから繰り出される2トン級のパンチは岩をも簡単に砕いてしまう。怯えたあなたが停戦の握手を求めて手を差し出しても、その手はゴリラの500kgの握力によって原形をとどめないほどに破壊されてしまうだろう。

なら、走って逃げる? 仮にあなたが日本語を勉強しつつ変なサイトに間違ってアクセスしてしまったウサイン・ボルトであるとしても、それは不可能だ。あなたの100メートル走世界記録は9秒58――平均速度を時速に換算すると、約37.578288100209km/hである。一方あなたを追うゴリラは、余裕で40km/h、最高速では50km/hほどに達する。あなたがトップスピード(約45km/h)で走ろうとも、ゴリラはどこまでも追いかけてくるのだ……。

ゴリラは他にも並外れた能力を持っている。以下がその例である。

  麻薬の常用者親愛なる編集者の皆様へ
この節は大喜利である。面白いのを思いついたら追加していきなさい。


  1. 知能が高く、道具を使用したり、仲間と社会的に交流したりすることができる。
  2. シャトルランを500往復できる。
  3. 自分に自信があり過ぎて、服を着ないでも恥ずかしくない。
  4. 精神力が強く、二度寝しない。
  5. 課題が出されたそばから取り組む。
  6. ブランコでトリプルアクセルができる。
  7. 買ったアイスをそのまま地面に落としても泣かない。
  8. セロハンテープの切れ目が一瞬で分かる。
  9. 階段の手すりでポールダンスができる。
  10. 航空性副鼻腔炎にならない。
  11. 指の毛一本で腕相撲に勝てる。
  12. 従軍経験がある。
  13. プラシーボ効果が通用しない。
  14. 子供の頃は消防士になりたかった。
  15. 一度もしゃっくりをしたことがない。
  16. サビしか知らない曲をカラオケで歌って100点を取ったことがある。
  17. ルービックキューブを目隠しして解ける。
  18. テレビの番組表を暗記している。

編集

このように非常に高いスペックを誇るゴリラだが、車とかに乗れば逃げられる。

また、ゴリラは基本的に温厚で臆病な性格をしており、群れや家族に危険が迫って初めてその実力を発揮するため、基本的に何もしていない人間に対して害をなすことは無い。

そう、ゴリラは最強の生物として君臨することなんて、最初から望んでいなかったのだ……。

 
ブロロロ……(こちらに気づいていない)
 
キキィーーッ!(気づかれた!)

編集

しかし、バイクに乗るゴリラは別である。

速度制限の標識に従うゴリラがどこにいる? ゴリラが乗るバイクは優に時速200kmを超える。バイクに乗るゴリラは、狙った獲物をどこまでも追い続けるのだ。ゴリラは持ち前の器用さで精密なハンドリングを行い、隙あらばただでさえ2トンあるパンチを加速させてお見舞いしてくる――地平線にゴリラを見つけたが最期、あなたは気づけば道路の染みとなっているだろう。

バイクに乗るゴリラは、孤独だ。家族を置いて、群れから飛び出て、ゴリラはバイクという唯一の相棒と共にどこまでも走る。その力は最早誰かを守るためのものではない。敵を打ちのめすために研ぎ澄まされた、獰猛な刃なのだ。バイクに乗るゴリラは、ただ、「君臨」だけを望んでいる……。

そう、バイクに乗るゴリラは、最強の生物なのである!!!!!

編集

戦いを求めて今日もバイクに乗るゴリラは、ある日一枚のビラを発見した。そこにはなんと、「古今東西最強生物デスマッチ」の情報があるではないか。

その力を証明するため、バイクに乗るゴリラは単身アマゾンの奥地へと向かった。人知れず、タイヤをオフロードタイヤに替えて……。

第一ラウンド編集

バイクに乗るゴリラ VS ティラノサウルス
FIGHT!!!

さあ始まりました「古今東西最強生物デスマッチ」! 第一ラウンドの対戦相手はあの「暴君竜」ティラノサウルスだ! 絶滅という形で歴史の闇に姿を消したあの白亜の王者が、一夜限りの復活を遂げてバイクに乗るゴリラに襲い掛かります。ティラノサウルスの体長は脅威の13メートル、一方ゴリラの体長は人間と変わりありません。バイクに乗っているおかげで50cmくらい背伸びできるとはいえ、バイクに乗るゴリラはこの体格差の暴力をどう覆すのでしょうか?

先に仕掛けたのはティラノサウルスだ! 一本30cmにも及ぶ鋭く巨大な牙でゴリラを噛み砕こうと、冷酷な瞳でバイクに乗るゴリラを見据えて接近しています! 同じ恐竜の骨をも砕くと言われるティラノサウルスの咬合力をもろに食らってはひとたまりもありません。バイクに乗るゴリラは得意のハンドルさばきで旋回して退避し、それをティラノサウルスが追っています。このままでは互いに有効打に欠けるようですが……おっと、バイクに乗るゴリラがティラノサウルスに向き直り、まっすぐ激突しようとしています! あれは逃走ではなく助走距離の確保だったのか! しかし、このままではあの恐ろしい牙でいっぱいの口に飛び込んでしまうぞ!?

 
ブオォン!

ウィリーだああ!!! そして、ティラノサウルスの上下に開いた大あごを縦に押さえつけるように着地しました! ゴリラはティラノサウルスの牙を掴んで姿勢を保っているようです。車輪がティラノサウルスの表皮を巻き込むように回転し、恐竜の王者もたまらず悲鳴をあげます! しかし、ティラノサウルスの短い前腕ではバイクに乗るゴリラには届きません。おっとティラノサウルス、頭を激しく動かして振り払おうとしますが……ゴリラパンチがここで決まったあ! ティラノサウルスの牙が数本粉砕されました! 相当なダメージだ! おっとティラノサウルス、衝撃で脳震盪を起こしたか……ああっ、倒れました!

古代を支配した怪物も、バイクに乗るゴリラの策によって繰り出される、狙いすまされたパンチには地に臥すしかなかった!!! 勝者!!! バイクに乗るゴリラあああ!!!

第二ラウンド編集

バイクに乗るゴリラ VS ヒトの群れ(米軍)
FIGHT!!!

古今東西最強生物デスマッチ」はまだまだ続く! 第二ラウンドの対戦相手はあの「万物の霊長」ヒト、それも最新鋭の兵器で武装した群れだ! ホモ・サピエンスは個体レベルではただの貧弱で禿げ上がった猿に過ぎませんが、言語とイノベーションによって高度な社会を実現させ、歴史上類を見ない規模で地球の全てを支配した実績を誇る、有無を言わさぬ「最強生物」の優勝候補です。ゴリラが乗るバイクも、もともとはヒトが発明したものだといいます。集団で真価を発揮する彼らの知略と技術を相手に、バイクに乗るゴリラはどのような打開策を見いだしてくれるのでしょうか!

122歳の経験がものをいうか…さてどのような死闘を繰り広げるのでしょう…!ちなみに今回は筋トレするクマムシを見失わないようにGPSをつけています!!!

おっと!?筋トレするクマムシは何もしていないのにヒトが倒れたぞ!?!?というか筋トレするクマムシはどこに消えたんだ!?!?!?

なんと!ヒトは老衰で死亡したようです!これはもしや…ヒトの生命力を吸収してしまったのかああああ!?!?

なんという生き様!筋トレするクマムシの中の筋トレするクマムシ!!!!!!!またしても戦わずして勝利をもぎ取りましたあああああああああ!!!!!!

最終ラウンド編集

さあ遂に迎えた最終ラウンドで立ちふさがる相手は…


誕生日 5月31日?…


身長 138センチ…


体重 増減なし…


歴史嘆きに葬り去られた存在…


その名も…!!!!!

ハン・ドレッド

プリジィーカービィー


筋トレするクマムシ VS ハン・ドレッド(ケツアゴコロロ案) FIGHT!!!

さあ始まりました「筋トレクマムシ・デスマッチ!!!

最終ラウンドはあの「パクス・モンゴリアの誇り」ハン・ドレッド!!!!!

「恐怖の大魔王」、果たして再来なるか…さてどのような死闘を繰り広げるのでしょう…!ちなみに今回は筋トレするクマムシを見失わないようにGPSを5つもつけています!!!

これは…!ハン・ドレッドが筋トレするクマムシを持ち上げたああああああ!!!すごい視力!さすが遊牧民の血だ!!!!!筋トレするクマムシは流石の速さで乾眠状態に!!!!

ハン・ドレッド…そしてそのまま…投げたああああああああああああああああ!!!!!!!飛んでいく!!!筋トレするクマムシが宇宙の果てまで飛んでいく!!!!!!!!!!

しかし筋トレするクマムシは復帰できるはずなのに復帰しない!これはまさか…勝負よりも自身の空を飛ぶ快楽を優先したのかああああああ!?!?またしても戦わずして勝利をもぎ取りましたあああああああああ!!!!!!

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