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(→進化史) |
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===ボーナスステージ・地球=== | ===ボーナスステージ・地球=== | ||
2027年、アポロ計画以来の有人月面着陸計画である[https://ja.wikipedia.org/wiki/アルテミス計画 アルテミス計画]の大詰めとしてアルテミス3号が打ち上げられ、1972年のアポロ17号による調査以来55年ぶりの月面有人探査が行われると、トンデヒニイルナツノムシの存在は初めて人類に知られるところとなった。この報告は、初めての地球外生命体の発見として地球上にセンセーショナルな反応を巻き起こした。アルテミス3号は詳しい調査のために15匹のトンデヒニイルナツノムシを生きたまま採取して地球に持ち帰ったが、その金属食性が知られていなかったために、船員らはこれらのトンデヒニイルナツノムシを地学的試料を入れるための金属製カプセルの予備の中で保管してしまった。これにより、捕獲されたトンデヒニイルナツノムシの内13匹が地球に帰還するまでの間にカプセルを食い破って脱出し、さらにその内11匹が研究機関の捕捉を完全に逃れて地球環境に入り込んでしまうという重大なインシデントが発生することになる。昼は110℃、夜は- | 2027年、アポロ計画以来の有人月面着陸計画である[https://ja.wikipedia.org/wiki/アルテミス計画 アルテミス計画]の大詰めとしてアルテミス3号が打ち上げられ、1972年のアポロ17号による調査以来55年ぶりの月面有人探査が行われると、トンデヒニイルナツノムシの存在は初めて人類に知られるところとなった。この報告は、初めての地球外生命体の発見として地球上にセンセーショナルな反応を巻き起こした。アルテミス3号は詳しい調査のために15匹のトンデヒニイルナツノムシを生きたまま採取して地球に持ち帰ったが、その金属食性が知られていなかったために、船員らはこれらのトンデヒニイルナツノムシを地学的試料を入れるための金属製カプセルの予備の中で保管してしまった。これにより、捕獲されたトンデヒニイルナツノムシの内13匹が地球に帰還するまでの間にカプセルを食い破って脱出し、さらにその内11匹が研究機関の捕捉を完全に逃れて地球環境に入り込んでしまうという重大なインシデントが発生することになる。昼は110℃、夜は-170℃という月面の過酷な環境に適応していたトンデヒニイルナツノムシは、地球環境に対する侵略的外来種として振る舞い、常軌を逸した速さで広範囲にわたって繁殖していった。NASAの緊急要請を受け入れた世界各国の政府は当初連携してトンデヒニイルナツノムシの駆除にあたったが、トンデヒニイルナツノムシの繁殖スピードには追い付かず、インシデント発生から一週間後、NASAはついにトンデヒニイルナツノムシの地球環境からの完全な除去はもはや絶望的であるとの声明を発表した。 | ||
トンデヒニイルナツノムシは最終的に地球の生態系のほとんどを塗り替え、少なくとも212種の生物種を絶滅させたほか、人類にも未曽有の規模の食害被害をもたらした。トンデヒニイルナツノムシは文明社会の衣食住の供給全てに深刻な打撃を与え、人類を飢餓に陥れ、社会活動を停止させた。また、人間が直接的に危害を加えられる事例も少ないながら報告されている<ref>靄のようなトンデヒニイルナツノムシの群れが人間を完全に覆い、跡形も無く捕食しつくしてしまうという。</ref>。この結果、2044年頃には推計世界人口はトンデヒニイルナツノムシ飛来前の2/5の水準にまで落ち込み、生存した人間もほとんどは定住農耕社会を放棄して移動型狩猟採集社会に加わっているという事態となった。しかし21世紀末、トンデヒニイルナツノムシに対する非常に強力な殺虫剤が実用化され、大量生産が可能になったことで、人類は少しづつトンデヒニイルナツノムシに対して優位に立つようになっていき、遅くとも22世紀中葉には文明社会の再建を果たしたとされる。2167年10月6日、国際連合はトンデヒニイルナツノムシの根絶を宣言し、10月6日を「世界文明の日」とした。社会活動の半世紀に渡る休止により、トンデヒニイルナツノムシ以前の国際的課題であった環境等に関する持続可能性の問題の進行がリセットされたことで、この一世紀において科学技術は急速に発展することになるが、宇宙開発、特に月の話題はしばらくの間禁忌とされた<ref>月面探査活動の中止により、月面に分布するトンデヒニイルナツノムシは豊富な食物を失い絶滅したのではないかという希望的推論があるが、それを確かめようとする者は2245年現在時点でもついぞ現れていない。</ref>。 | |||
==ことわざ== | ==ことわざ== | ||
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