「利用者:キュアラプラプ/サンドボックス/戊」の版間の差分

提供:WikiWiki
ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
編集の要約なし
25行目: 25行目:
 「う、うわあ!?」
 「う、うわあ!?」


 とつぜんこえをかけられて小鳥はびっくり! まどガラスごしにはなしかけてきたのは、たなのはじっこにあるショートケーキ、その上にいるいちごでした。なめらかな形がさえた赤色にいろどられ、まわりのホイップクリームはまるでドレスのよう。小鳥はなんだかどきどきしながらへんじをしました。
 とつぜんこえをかけられて小鳥はびっくり! まどガラスごしにはなしかけてきたのは、たなのはじっこにあるショートケーキ、その上にいるいちごでした。なめらかな形がさえた真っ赤にいろどられ、まわりのホイップクリームはまるでドレスのよう。小鳥はなんだかどきどきしながらへんじをしました。


 「こ、こんにちは、いちごさん!」
 「こ、こんにちは、いちごさん!」
39行目: 39行目:
 「雲の……うえ……」
 「雲の……うえ……」


 小鳥はたしかに空をじゆうにとべます。けれど、雲の上にいったことはありませんでした。そんなにたかいところまでとぼうとしたら、つかれてへとへとになってしまうし、なにより小鳥はこわがりやさんだったからです。じめんがみえなくなるほど上にいってしまったら、もうかえってこられなくなるんじゃないか、どうしてもそうおもってしまうのです。
 小鳥はたしかに空をじゆうにとべます。けれど、雲の上にいったことはありませんでした。そんなにたかいところまでとぼうとしたら、つかれてへとへとになってしまうし、なにより小鳥はこわがりやさんだったからです。じめんがみえなくなるほど上にいってしまったら、もうかえってこられなくなるんじゃないかと、どうしてもそうおもってしまうのです。


 でも、そんなこといったらかっこわるい気がして、小鳥はうそをつきました。
 でも、そんなこといったらかっこわるい気がして、小鳥はうそをつきました。
48行目: 48行目:


 「……わ、わたしね、じつは、いつか雲の上にいくのが夢なの。だから、その……よければわたしをつれていってくれないかな……なんて。」
 「……わ、わたしね、じつは、いつか雲の上にいくのが夢なの。だから、その……よければわたしをつれていってくれないかな……なんて。」
 「え!? あ、その、えーっと……」
 「ご、ごめんね! 会ったばっかりなのにこんなこと聞いちゃって! め、めいわくだったよね! やっぱりこのことはわすれて!」
 そういって、いちごはかなしそうにうつむいてしまいました。
 「わ、分かった! つれていってあげるよ! 雲の上!」
 小鳥はついあせって、こんなできもしないようなことをいってしまいました。

3年1月27日 (I) 01:40時点における版

 あるところに小鳥がいました。小さなみどり色のつばさと、小ぎれいでふさふさな毛なみをもち、気ままにのうのうとくらしている小鳥です。

 今日はお気にいりの甘あい実をたくさんとれたようで、ごきげんなようすでおうちにもってかえってきました。夕やけ空を風のようにかけぬけて、とっても気もちよさそうです。

 「あっ、小鳥さんだ! 空をとんできた!」

 「こんにちは小鳥さん。わあ、おいしそうな木の実!」

 「さすが、小鳥くんは木の実をとるのがじょうずだね。」

 小鳥には森のともだちがたくさんいます。いつも元気なりすさんに、食いしんぼうなうさぎさん、とっても頼りになるふくろうさん! 小鳥はみんなに木の実をすこしずつ分けてあげました。みんながおいしそうにたべているのをみて、小鳥はちょっぴりほこらしくなりました。

 「えっへん、ぼくがえらんだ木の実はおいしいでしょう?」

 「うん、とっても!」

 じぶんが食べる分を木のみきのほら穴につめこんだあと、小鳥は日がくれるまであたりをさんぽすることにしました。この森をぬけたすぐそばには、にんげんたちのくらす街があります。そこにはにぎやかな歌やようきな音楽がいつもなりひびいていて、おいしい食べものもそこら中にあふれているのです。小鳥はこの街を、とーっても気にいっていました。

 はなうたまじりに街に入ろうとした小鳥は、ひんやりとした風といっしょにながれてきたものに心をうばわれました。甘くてこうばしい、ふわふわしたいいにおいです! そのおいしそうなにおいにつられ、しばらくそのままさまよって、小鳥はついににおいのもとまでたどりつきました。そこは、街のはずれにあるケーキやさんでした。

 かちゃかちゃぐつぐつ音がして、えんとつからはもくもくとけむりが立ちのぼっています。小鳥がおみせのなかをのぞいてみると、そこにはもちろんたくさんのケーキ! どれもおいしそうで、みているだけでおなかがへってきてしまいます。

 「こんにちは、小鳥さん。」

 「う、うわあ!?」

 とつぜんこえをかけられて小鳥はびっくり! まどガラスごしにはなしかけてきたのは、たなのはじっこにあるショートケーキ、その上にいるいちごでした。なめらかな形がさえた真っ赤にいろどられ、まわりのホイップクリームはまるでドレスのよう。小鳥はなんだかどきどきしながらへんじをしました。

 「こ、こんにちは、いちごさん!」

 いちごは小鳥のほうをみて、やさしくほほえみました。小鳥は恥ずかしくなって、とっさに目をそらしてしまいます。

 「ねえ、あなたは空を飛べるの?」

 「う、うん、飛べるよ! それも、とーってもはやくね!」

 「わあ、すごい! じゃあ、雲の上にもいったことがあるの?」

 「雲の……うえ……」

 小鳥はたしかに空をじゆうにとべます。けれど、雲の上にいったことはありませんでした。そんなにたかいところまでとぼうとしたら、つかれてへとへとになってしまうし、なにより小鳥はこわがりやさんだったからです。じめんがみえなくなるほど上にいってしまったら、もうかえってこられなくなるんじゃないかと、どうしてもそうおもってしまうのです。

 でも、そんなこといったらかっこわるい気がして、小鳥はうそをつきました。

 「もちろん! ……雲の上ではおひさまもぽかぽかで、すっごく気もちよかったよ!」

 これを聞いたいちごは、ぱあっとえがおになりました。でも小鳥は、なぜだかちょっぴり目をそらしたくなってしまいました。もじもじしながら、いちごはこう続けます。

 「……わ、わたしね、じつは、いつか雲の上にいくのが夢なの。だから、その……よければわたしをつれていってくれないかな……なんて。」

 「え!? あ、その、えーっと……」

 「ご、ごめんね! 会ったばっかりなのにこんなこと聞いちゃって! め、めいわくだったよね! やっぱりこのことはわすれて!」

 そういって、いちごはかなしそうにうつむいてしまいました。

 「わ、分かった! つれていってあげるよ! 雲の上!」

 小鳥はついあせって、こんなできもしないようなことをいってしまいました。