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 「あっ、小鳥さんだ! 空をとんできた!」
 「あっ、小鳥さんだ! 空をとんできた!」


 「こんにちは小鳥さん。わあ、おいしそうな木の実!」
 「やあ小鳥さん。わあ、おいしそうな木の実!」


 「さすが、小鳥くんは木の実をとるのがじょうずだね。」
 「さすが、小鳥くんは木の実をとるのがじょうずだね。」
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 「え!? あ、その、えーっと……」
 「え!? あ、その、えーっと……」


 どうしよう! どうしよう! ほんとうは雲の上にだなんていけないのに! 小鳥はさっきうそをついたじぶんにもんくをいいました。
 どうしよう! どうしよう! ほんとうは雲の上にいくなんてむりなのに! 小鳥はさっきうそをついたじぶんにもんくをいいました。


 「……ご、ごめんね! 会ったばっかりなのにこんなこと聞いちゃって! め、めいわくだったよね! やっぱりこのことはわすれて!」
 「……ご、ごめんね! 会ったばっかりなのにこんなこと聞いちゃって! め、めいわくだったよね! やっぱりこのことはわすれて!」


 いちごはかなしそうにうつむいています。それをみた小鳥はついあせって……!
 いちごはかなしそうにうつむいています。それをみた小鳥は、ついあせって……!


 「わ、分かった! つれていってあげるよ! 雲の上!」
 「わ、わかった! つれていってあげるよ! 雲の上!」
 
 「ほんとに!? やったあ! ありがとう!」
 
 できもしないようなやくそくをしてしまった小鳥は、あとでどうしたらいいのか、とてもしんぱいになりました。けれど、いちごによろこんでもらえたのがうれしくて、ひょっとすると今ならほんとうに雲の上までとべるかもしれないとおもいました。いちごといっしょなら、なにもこわくないような気がしたのです。
 
 ――そのときとつぜん、ばさばさという大きな音がちかづいてきました。
 
 「小鳥くん、どうもこんにちは。」
 
 小鳥がうしろをふりかえると、そこには真っ黒でのっぽのカラスがいました。りっぱなつばさをもっていて、とってもとぶのがはやそうです。だけど小鳥には、どこかぶきみなかんじがしました。
 
 「こ、こんにちは、カラスさん。」
 
 「……小鳥さん、あのカラスさんはおともだち?」
 
 いちごがひそひそ声で聞いてきます。
 
 「ううん、いまはじめてあったとこ……うわあ!」
 
 気づいたら、カラスは小鳥のすぐとなりにきていました。えがおで。
 
 「ねえねえ小鳥くん、おいしそうな小鳥くん、きみを食べていいかい?」
 
 「え?」
 
 あぶない! カラスはいきなり、つばさをふりあげておそってきました!
 
 「うわああ!」
 
 すんでのところで小鳥はこれをかわしましたが、カラスはひきさがりません。なにがなんだかわからないまま、とりあえず小鳥はここからにげることにしました。
 
 「いちごさん! いまはあぶないから、あしたまた会おう!」
 
 「ま、まって!」
 
 しかしいちごは、なにやらあわてているようです。

3年1月27日 (I) 10:26時点における版

 あるところに小鳥がいました。小さなみどり色のつばさと、小ぎれいでふさふさな毛なみをもち、気ままにのうのうとくらしている小鳥です。

 今日はお気にいりの甘あい実をたくさんとれたようで、ごきげんなようすでおうちにもってかえってきました。夕やけ空を風のようにかけぬけて、とっても気もちよさそうです。

 「あっ、小鳥さんだ! 空をとんできた!」

 「やあ小鳥さん。わあ、おいしそうな木の実!」

 「さすが、小鳥くんは木の実をとるのがじょうずだね。」

 小鳥には森のともだちがたくさんいます。いつも元気なりすさんに、食いしんぼうなうさぎさん、とっても頼りになるふくろうさん! 小鳥はみんなに木の実をすこしずつ分けてあげました。みんながおいしそうにたべているのをみて、小鳥はちょっぴりほこらしくなりました。

 「えっへん、ぼくがえらんだ木の実はおいしいでしょう?」

 「うん、とっても!」

 じぶんが食べる分を木のみきのほら穴につめこんだあと、小鳥は日がくれるまであたりをさんぽすることにしました。この森をぬけたすぐそばには、にんげんたちのくらす街があります。そこにはにぎやかな歌やようきな音楽がいつもなりひびいていて、おいしい食べものもそこら中にあふれているのです。小鳥はこの街を、とーっても気にいっていました。

 はなうたまじりに街に入ろうとした小鳥は、ひんやりとした風といっしょにながれてきたものに心をうばわれました。甘くてこうばしい、ふわふわしたいいにおいです! そのおいしそうなにおいにつられ、しばらくそのままさまよって、小鳥はついににおいのもとまでたどりつきました。そこは、街のはずれにあるケーキやさんでした。

 かちゃかちゃぐつぐつ音がして、えんとつからはもくもくとけむりが立ちのぼっています。小鳥がおみせのなかをのぞいてみると、そこにはもちろんたくさんのケーキ! どれもおいしそうで、みているだけでおなかがへってきてしまいます。

 「こんにちは、小鳥さん。」

 「う、うわあ!?」

 とつぜんこえをかけられて小鳥はびっくり! まどガラスごしにはなしかけてきたのは、たなのはじっこにあるショートケーキ、その上にいるいちごでした。なめらかな形がさえた真っ赤にいろどられ、まわりのホイップクリームはまるでドレスのよう。小鳥はなんだかどきどきしながらへんじをしました。

 「こ、こんにちは、いちごさん!」

 いちごは小鳥のほうをみて、やさしくほほえみました。小鳥は恥ずかしくなって、とっさに目をそらしてしまいます。

 「ねえ、あなたは空を飛べるの?」

 「う、うん、飛べるよ! それも、とーってもはやくね!」

 「わあ、すごい! じゃあ、雲の上にもいったことがあるの?」

 「雲の……うえ……」

 小鳥はたしかに空をじゆうにとべます。けれど、雲の上にいったことはありませんでした。そんなにたかいところまでとぼうとしたら、つかれてへとへとになってしまうし、なにより小鳥はこわがりやさんだったからです。じめんがみえなくなるほど上にいってしまったら、もうかえってこられなくなるんじゃないかと、どうしてもそうおもってしまうのです。

 でも、そんなこといったらかっこわるい気がして、小鳥はうそをつきました。

 「もちろん! ……雲の上ではおひさまもぽかぽかで、すっごく気もちよかったよ!」

 これを聞いたいちごは、ぱあっとえがおになりました。でも小鳥は、なぜだかちょっぴり目をそらしたくなってしまいました。もじもじしながら、いちごはこう続けます。

 「……わ、わたしね、じつは、いつか雲の上にいくのが夢なの。だから、その……よければわたしをつれていってくれないかな……なんて。」

 「え!? あ、その、えーっと……」

 どうしよう! どうしよう! ほんとうは雲の上にいくなんてむりなのに! 小鳥はさっきうそをついたじぶんにもんくをいいました。

 「……ご、ごめんね! 会ったばっかりなのにこんなこと聞いちゃって! め、めいわくだったよね! やっぱりこのことはわすれて!」

 いちごはかなしそうにうつむいています。それをみた小鳥は、ついあせって……!

 「わ、わかった! つれていってあげるよ! 雲の上!」

 「ほんとに!? やったあ! ありがとう!」

 できもしないようなやくそくをしてしまった小鳥は、あとでどうしたらいいのか、とてもしんぱいになりました。けれど、いちごによろこんでもらえたのがうれしくて、ひょっとすると今ならほんとうに雲の上までとべるかもしれないとおもいました。いちごといっしょなら、なにもこわくないような気がしたのです。

 ――そのときとつぜん、ばさばさという大きな音がちかづいてきました。

 「小鳥くん、どうもこんにちは。」

 小鳥がうしろをふりかえると、そこには真っ黒でのっぽのカラスがいました。りっぱなつばさをもっていて、とってもとぶのがはやそうです。だけど小鳥には、どこかぶきみなかんじがしました。

 「こ、こんにちは、カラスさん。」

 「……小鳥さん、あのカラスさんはおともだち?」

 いちごがひそひそ声で聞いてきます。

 「ううん、いまはじめてあったとこ……うわあ!」

 気づいたら、カラスは小鳥のすぐとなりにきていました。えがおで。

 「ねえねえ小鳥くん、おいしそうな小鳥くん、きみを食べていいかい?」

 「え?」

 あぶない! カラスはいきなり、つばさをふりあげておそってきました!

 「うわああ!」

 すんでのところで小鳥はこれをかわしましたが、カラスはひきさがりません。なにがなんだかわからないまま、とりあえず小鳥はここからにげることにしました。

 「いちごさん! いまはあぶないから、あしたまた会おう!」

 「ま、まって!」

 しかしいちごは、なにやらあわてているようです。