「館シリーズ」の版間の差分

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1年12月30日 (I) 14:24時点における版

(やかた)シリーズとは、綾辻行人による長編推理小説シリーズである。シリーズを通して高い評価を得ており、日本の本格ミステリ界を代表する作品群となっている。

概要

1987年、館シリーズ1作目で綾辻のデビュー作でもある「十角館の殺人」が刊行された。これは高い評価を受け、「新本格」と呼ばれる本格ミステリ復権ムーブメントの嚆矢となった。
その翌年、第2作「水車館の殺人」を発表し、その帯で初めて「新本格」という言葉が用いられた。
1991年に発表された第5作「時計館の殺人」は、第45回日本推理作家協会賞を受賞している。文藝春秋編「東西ミステリーベスト100」では、「十角館の殺人」が国内編8位、「時計館の殺人」が同20位にランクインしている。
6作目「黒猫館の殺人」までは半年〜2年おきに新作が刊行されていたが、第7作「暗黒館の殺人」の発表は前作から12年かかっている。また、現段階での最新作「奇面館の殺人」の発表から現在までは、12年経っている。
館シリーズは、既刊9作であり、次の第10作で完結するとされている。そして、その完結巻の題名は「天竺鼠館の殺人」に決定したと、綾辻は2021年4月1日に中国のSNSアプリ「Twitter」で発表している[1]
シリーズ作品は全て講談社文庫に収録されており、「黒猫館の殺人」までの6作は、全面改稿された「新装改訂版」が出版されている。
2012年9月時点で、売上はシリーズ累計409万部を突破している。

特徴

このシリーズの特徴として、各作品に独特のが登場することが挙げられる。シリーズを通して中村青司という建築家の館が登場する。そしてその多くが物語の、ひいては事件の舞台となる。この中村青司という建築家は、遊び心から「自らが設計した館に、秘密の通路隠し部屋といったギミックを盛り込む」という設定がある。すなわち、本格ミステリ界では普通ご法度とされる「隠しギミック」ありきでの本格ミステリとなっているのだ。
また、伏線の多さも大きな特徴である。ネタバレに繋がるため深くは述べられないが、作品により多少の差異はあれど、おしなべて伏線が多い作品群だと言える。
さらに、クローズドサークルで起こることが多いということも挙げられる。「人形館の殺人」「びっくり館の殺人」の2作以外は、クローズドサークルで事件が起こっている[2]

作品リスト

()内は、その作品が発行された月。なお、第8作「びっくり館の殺人」の初出が、子供向けミステリーの叢書「講談社ミステリーランド」であるのを除けば、シリーズ作品は全て講談社ノベルスが初出である。

  • 十角館の殺人(1987年9月)
  • 水車館の殺人(1988年2月)
  • 迷路館の殺人(1988年9月)
  • 人形館の殺人(1989年4月)
  • 時計館の殺人(1991年9月)
  • 黒猫館の殺人(1992年4月)
  • 暗黒館の殺人(2004年9月)
  • びっくり館の殺人(2006年3月)
  • 奇面館の殺人(2012年1月)

2015年には「十角館の殺人」の英訳版「The Decagon House Murders」が海外で出版されている。
2019年から、清原紘の作画により、「十角館の殺人」のコミックリメイクが「月刊アフタヌーン」にて連載中である。原作からの変更点としては、主要人物江南孝明かわみなみたかあきの名前が江南かわみなみあきらとなり、性別も男性から女性になっていることなどが挙げられる。
館シリーズとは別に、綾辻行人原作、佐々木倫子作画の漫画「月館の殺人」が、2004年から2006年にかけて、「月刊IKKI」にて連載されている。しかし、これは館シリーズとは関連が無い。「月館」も、「つきだて」という地名であり、建造物の名前ではない。
また、綾辻の作品「霧越邸殺人事件」[3]は、幻想的な館、クローズドサークルなど館シリーズとの共通点が多いこと、さらには冒頭に「もう一人の中村青司氏に捧ぐ」という献辞があることから、「館シリーズの番外編」と位置づけられることもある。

脚注

  1. 当該ツイート
  2. ただし、「十角館の殺人」「黒猫館の殺人」のように、探偵役や語り手がクローズドサークルの中にいないものもある
  3. 「東西ミステリーベスト100」では、国内編第82位にランクインしている