歯ズラし

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 人体において、歯や歯茎の周辺は、神経が最も集中している範囲の一つだ。これゆえ我々歯科医は、持ち前の技術や麻酔を駆使し、患者の痛みをなるべく軽減する努力を日夜重ねている。しかし、今日、私はその一切を忘れることにした。


 私の経営する歯科医院には、老若男女さまざまな患者が訪れる。その中でもあの少女は、ひときわ美しい歯を持っており、彼女の診察は私にとって最大の幸福だった。しかし、そんな彼女ももうすぐで中学校に入学し、違う地区へと引っ越してしまうという。だから、今日は彼女がここに来る最後の日となるのだ。

 ―――彼女が他の人間の手に渡る前に、やらなければならないことがある。そしてそれは、私にとっても、今日がここに来る最後の日となることを意味する。

治療

 「はい、じゃあ、結構長くなると思いますので、お母様はここでお待ちになっていてくださいね。」


 わざとらしく腕時計を一瞥し、少女を連れてできるだけ遠くの手術室へと歩いていく。この少女の母には、適当な病名を挙げて、その精密検査が必要になったと言っておいた。無論のこと、真っ赤な嘘だ。思わず笑いがこみあげてくる。まさか私がこの少女を凌辱しようとしているだなんて、夢にも思うまい。

 だが、これが今、他の従業員にバレてしまっては元も子もない。衛生士や助手に怪しまれないようにそそくさと部屋に入り、しっかりと施錠した。マスターキーは自分のポケットに入っている。ついに、ついにだ。これでようやく、二人きりになれた。

 少女を診療台に座らせる。胸がどんどん高鳴っていくのを感じる。青いゴム手袋を嵌め、できるだけ平静を装う。震えそうな声で言った。


 「はい、じゃあ始めようね。『あー』してね。」


 少女は頷き、従順に口を開ける。端正に並ぶ歯の奥で、口蓋はまるで花びらのように浮き立ち、舌小体に纏わる唾液は艶めく。ああ、この少女は私に口腔をさらけ出している。私に全てを許しているのだ。分かりやすく言えば、今の彼女は裸同然なのだ。私は勃起した。

 私のこの性倒錯は、誰の誰にも気づかれていない。かえって、医院長にしては若い年齢にも助けられ、この町では「快活ないいお医者さん」として知られている。実際には、このビニール手袋越しの歯肉の感触によって、毎晩のように手淫を重ねているのにもかかわらずだ。

 幼いころから、私は自身のパラフィリアをよく理解していた。小中高と、昼食時間に覗く同級生の口腔だけを楽しみにしていたものだ。迷わず歯科系の大学に入り、異常な熱意をもってしてすぐさま歯科医師免許を取得し、そしてその勢いのままこの医院を開業した。だが、ああ、今になってようやく分かった。この人生は、すべてこの瞬間のためだけにあったのだ。


 「はーい、ごめんね、ちょっと痛いと思うけど我慢してね。」


 私は少女に馬乗りになった。

門歯

 親指を少女の門歯にかけ、ゆっくりと押し込んでいく。小指が髪に触れてくすぐったい。少女は痛そうにしているが、健気にも黙って耐えている。その愛らしさに、歯をズラす手は強まった。


「い゙っ……」


 そのとき、彼女は痛みに耐えきれなくなったのか、ついに鋭くか細い悲鳴を上げた。上唇に涙の筋が伝ってくる。どうやら彼女は、既に泣き出してしまっていたらしい。

 背徳感と恍惚に指が震える。少女はこちらに目をやり、必死に何か訴えかけてくるが、気づかないふりをした。ああ、自らに劣情を抱きいたずらに害を及ぼす人間に縋りつこうとするとは、なんといじらしいことか。海綿体の充血が一段と増す。

 あまりの高揚感に、思わずビニール手袋を外してしまった。少女の目をじっと見ながら、そのぐしゃぐしゃに濡れた歯肉をそっと撫でまわし、今までは決して許されなかった生の感触を心行くまで楽しむ。彼女は、春の穏やかな陽ざしのように暖かく、私の指先をその中へと迎え入れてくれた。今にも張り裂けそうで、それでいて―――私なりに意地悪く言うならば―――まるで媚びているような、そんな顔をしながら。

 だから、門歯をもう一度、さらに強く押し込んだ。


「え゙れっ」


 少女はうがいのような音とともに、唾とも痰ともつかないものを分泌し、その直後、ひどく泣き喘ぎ始めた。


「っえ……っひぅ……っう……っ」


 苦しそうに呼吸をきしませ、痛みを浮かべる少女を前にして、私は天を仰いだ。内側から上がってきたそれが、オーガズムとなって私を快感に震わせたのだ。そうだ。これこそが。これこそが、私の求めてやまなかった、真なるオーラルセックスなのだ。私は、頭頂から爪先までをぬるい大量の針に貫かれるようなあの感覚に、しばし酔いしれた。

 少女はどうにかしてこの場から逃れようとしたらしく、長い髪を揺らして診療台からずり落ちた。しかし、その嗚咽に妨げられ、彼女は最早まともに動ける状態ではない。がたがたと震えながら崩れ落ちたこの可憐な少女は、清潔な大理石の床と調和し、あまりにも美しかった。

 彼女は小鹿のように震えているだけで、一向に逃げようとする気配はない。私をこのまま拒まないというのなら、これはおそらく、「同意」と解釈しても問題ないだろう。

犬歯

 さて、お次は犬歯だ。うずくまる少女の肩を優しく掴み、床にゆっくりと押し倒して、仰向けの体勢にさせる。すると彼女は、泣きながら、今にも消え入りそうな声で、何やら謝罪の言葉を呟きはじめた。


 「っ…ぁ、ご…ごめんなさい……っ、ごめんなさい……」

 「も、もうっ……ぅ、ぁ、ゆ、ゆるして……っ、くだ……さい……」


 ああ、なんということだ。この仕打ちを受けてしかるべき非なぞ彼女には一切ないのに、欲望のままに自身を襲う私を非難しないどころか、その感情をいたわりさえするとは。

 この少女は、天使だ。この少女は、私のあらゆる葛藤と衝動とを献身的に受け止めてくれる、私だけの天使なのだ。愛おしい。愛おしい。愛おしい。愛おしい。

 彼女の細い胴に跨って、その小さい口の中に指を広げる。そして、体重をかけて、勢いよく、犬歯を奥へと押し込んだ。


 「え゙」


 どうやら、勢い余って喉の奥をかすってしまったらしい。


 「ぎ」


 少女は目を見開き、


 「ゔっ ぶぐぇっ」


 漏れ出ゆくどろどろのそれを口の端から垂らし、そして、


 「え゙ぁ゙あ゙っ …ぎ ぐぷ ごえ゙ぁ゙あ゙あ゙っ …ぅ゙ぁ゙…あ゙… え゙れぇ゙っ」


 嘔吐した。

 今の今まで清潔だった床に、びちゃびちゃと汚くこぼれ落ち、跳ねる、濁った音の中で。


 「ひぎっ… え゙…ぐぁ゙っ… ごぶぇ゙っ ぁ゙…ぎい゙っ」


 絞り出すようにして悲痛な表情と声を震わせ、苦しそうに呼吸と嘔吐を繰り返す。汚れてなお潤う少女の唇は、わけも分からぬ褐色の何かを湛えるその口腔底は、どこか官能的だった。気づけば私は、マスクの紐に手を掛けていた。

 腕を少女の後ろできつく交差させ、まるで仲睦まじい恋人のように、ぴったりと額を密着させる。彼女の透き通った瞳に映る影が、まごうかたなき自分であることにふと気づいた私は、そのおぞましい感覚から逃れるように、瞼を閉じて、キスをした。

 苦くて、臭くて、不快で、それなのに仄かに心がくすぐられる。もし現実に禁断の果実があるとすれば、きっと同じような味がするのだろう。私は最早、息をするのも忘れていた。奥へ奥へと舌を絡ませて、ただ一途に、彼女の口腔を感じ取っていた。歯茎から滴る鉄のような味わい。まだ溶けきっていない固形物の感触。ああ、とろけるような甘さで、流し台の奥のぬめりのような甘さで、胸焼けしてしまいそうだ。

 時間の感覚が頭から飛んでしまうほどに長かった接吻ののち、堪えがたい多幸感によって、私は半ば衝動的に少女を強く抱き締めた。得体の知れない恐怖によって脳を支配されているのであろうこの純情な少女は、涙を流しながら、ずっと小さく震えていた。食い荒らされた口を半開きにしたまま、その華奢な体をかたかたと痙攣させていたのだ。たまらなく、たまらなく可愛らしい。

 甘ったるい舌触りの中、私は再び絶頂を迎えた。

臼歯

 ついに最後だ。粘った歯肉に沿わせて少女の奥深くへと親指を挿し、他の指で顎を固定して、臼歯を横方向に強く押し込んでいく。門歯や犬歯と比べて太く、しかもがっしりと歯茎にしがみついている分、ズラすのには労力を要したが、その達成感もまたひとしおだった。


 「う… うぅ…」


 少女は吐き気を露にしてこそいるが、胃の中は既に空っぽらしい。まるで乳飲み子のように呻きながら、濁って空気を含んだ涎を惨めに垂らし、苦しそうに息を荒くしている。

 ふと私は、湿った感触を覚えた。その原因が自分の跨っている少女にあると気づいたとき、彼女を汚しているという実感が殊更にぞくぞくと這い寄ってきた。彼女は、恐怖のあまりに失禁していたのだ。十二歳にもなって、この少女は泣きながらおもらしをしていたのだ。ああ、何と恥ずかしい子供だろうか。口角が上がる。背徳感は強まり続ける。


 「うぁああ、あぐっ……ひっ…う……っ」


 少女は、またもや歯がズラされる痛みに耐えられなくなったのか、それとも自身のこの惨めさに耐えられなくなったのか、喉を詰まらせながら泣きじゃくっている。ああ、嗜虐心がそそられる。この少女はどうしてこんなにも私を誘惑してくるのだろうか。


 「どうしたの?痛いの?」

 「あ、ぇ、いっ…あっ、ぐ、うぅ、あっ、ぎ…っ」

 「うーん、よく分からないなあ。ちゃんと言ってごらん?」

 「い、あっ…い、いたい…からっ、あ、ぎっ、ぅあ…も…もうっ、や、やめ…て…っ」

 「そんなに泣いてたら、何を言ってるのか分からないよ。じゃあ、続けるね?」

 「あ、ぇ、ま…まって、ぁ、ゃ、おねがい…っ、やめて、っ…あぎっ、あっ…」


 彼女の一番奥にある臼歯に指を掛け、さらに強引に、思いきり押し込んだ。温かな歯肉は、箸でほぐされた焼き魚のようにじりじりと裂けていき、ぽつぽつと滲んできた血に彩られていく。


 「―――っ!!!」


 さぞ痛いことだろう。この愛しき少女は目を見開き、声にもならない叫びをあげた。

事後処置

 ああ、これでようやく、この作品を鑑賞できる。彼女の口腔から取り出した十指は、すっかりふやけてしまっていた。

 少女の滑稽に歪んだ歯列を、舐め回すように眺めていく。門歯も犬歯も臼歯も、それぞれがあらぬ方向に傾いている。真っ白だった歯の色は、血と吐瀉物に塗りつぶされている。かわいそうに。彼女の口はもう使い物にならないだろう。


 「お…かあ…さん……っ…どこ………」

 「かえ…り…たい…よ…ぉ……うちに…かえり…たい…っ……」


 少女は、まるで望まぬ破瓜を迎えた直後かのように、生気なく横たわっていた。


 「よく頑張ったね。治療は終わりだよ。」


 診療台から手鏡を取り出して、少女に自身の口の中を見せた。しかし、台無しになってしまった自慢の綺麗な歯を見ても、もう咽び泣く気力すらないらしい。

 泣き腫らした目、不明瞭な表情、茫然と開けたままの口。もしかするとこの少女は、実のところ自分が何をされたのか、まだよく分かっていないのかもしれない。否、現実を受け入れることを拒んでいるのかもしれない。

 ああ、至福だ。

 私は絶頂した。

愛情

 再び、私は彼女に口づけをした。ひとえに、口腔をまさぐり、舐め回す欲求に駆られたからだ。

 丁寧に、丁寧に、確かめていく。この少女の内側を。この少女の全てを。

 不衛生に乾いた唇。

 汚れまみれの内頬。

 吐瀉物を絡ませた舌。

 血の味しかしない歯肉。

 捩じられ、壊れ、ズレた歯。


 凌辱されたこの少女は、虚ろなままだ。

 愛おしい。愛おしい。愛おしい。愛おしい。

 むせかえるほどの愛情を込めて、優しく抱擁した。


 ああ、

 この虫の汚い死骸のような少女は、汚れきった大理石の床と調和し、やはり、あまりにも美しかった。

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