利用者:キュアラプラプ/サンドボックス/丁

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 ああ、最悪だ!  息を切らした伊野晃は、自分の学習机の棚を隈なく見るまでもなく、そこに国語の教科書があるわけがないということを思い出した。昨日は国語の教科書を持って帰っていなかったのだ。先ほどまでの焦燥感が反転し、伊野はふつふつと怒りを抱き始めた。15分前、彼は自分の鞄に国語の教科書が入っていないことに気づいた。彼の国語の授業を受け持つ教師は、何かにつけて校庭を走らせる熱血教師の類だったから、忘れ物なんかしたら無論校庭を走らされるのは目に見えている。彼は焦り、走って家に忘れ物を取りに帰ったのだ。そしてその忘れ物が忘れ物なんかじゃなかったものだから、彼は自分の愚かさに呆れていたのだ。  伊野は自室に立てかけられている時計を確認する。7時32分。朝のSHRが始まるまでに残された時間は、あと8分しかない。伊野は再び鞄を背負い、迷わず走り始めた。SHRに遅刻するわけにはいかない。あの熱血教師は、彼の担任でもあったからだ。彼はもう校庭を3周分は走ったような気分だったが、ここで過去のことを嘆いてもしょうがない。彼はドアを開け、風のように走り出した。