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2年12月24日 (ゐ) 17:47時点におけるNotorious (トーク | 投稿記録)による版

8月13日20時39分 城島毅士

管制室にいる全員がヘリから送られてくる映像を固唾を呑んで見守っていた。陸上自衛隊第15旅団副旅団長・城島毅士もその一人だった。

およそ15分前、那覇市中心部に突如、それは現れた。周りのありとあらゆる物を引き寄せ、鎧としてまとった巨人。おおまかには人の形をしているが、首がないために、より不気味さが増している。そして、巨人は破壊行動を続けていた。ビルを殴ったり車を放り投げたり、まるで子供が積み木で遊ぶかのように。

この誰も予想だにしなかった有事に、我々は対応せねばならない。作戦対象となる巨人は、「アルファ」というコードネームが付けられていた。空自がいち早くヘリを派遣し、それが撮影した映像を見て、初めて敵の姿を目にしたのである。

「コブラワン、現着。アルファを確認、北200、高度150」
「コブラツー、同じく現着。南210、高度150」
「本部了解」

通信の様子が聞こえてくる。陸自の方も、出動準備を整えていた。

画面の中の巨人は、相変わらずビルに体当たりしていた。コンクリートの破片がバラバラと散らばり、地上の入り口からは、ビルの中にいた人々が蜘蛛の子を散らすように逃げていく。あの質量にぶつかられれば、いつビルが崩落してもおかしくないだろう。

「コブラワン、コブラツー、20ミリ機関砲の使用を許可する。標的、アルファ」
「了解。20ミリ機関砲用意。標的、アルファ」

部屋が一気にざわついた。自衛隊開設以来、生きた──おそらくアルファは生物だと思っているが──敵の排除のために攻撃がなされるのは、初めてのことだ。ヘリの操縦室内の緊張が、こちらにも痛いほど伝わってくる。