――ぱたぱたと街を飛び回り、おいしい木の実を集めて食べる。ひんやりした枝を枕に、すずしい夜風を毛布に眠る。
彼はどこか、鬱屈とした思いを抱いていた。きれいな一対の羽で空をかき分けて走っても、胸の中にはぽっかりとした大きな穴が開いている。そこから伸びた鎖には鈍色の重しが繋がっていて、アスファルトと擦れてぎいぎいと叫んでいる。