アンモク語は、主にアンモク共和国において話される言語。アンモク人の実に100%が母語話者となっており、アンモク憲法では同国の公用語と位置づけられている。言語系統については、太平洋諸語と同系統ではないかとする説もあるが、証明には至っていない。
文法
徒党詞
徒党詞は、述語と名詞句とを隔てるための単語である。より厳密には、名詞句と結びついて「徒党部」を形成し、それら名詞句を項とする述語に対して分立させる。「徒党詞」という命名は、このような統語的作用を、同年代の友人数名で閉鎖的な集団を形成し、保護者や教師と距離を置こうとするギャング・エイジの少年らに見立てたものである。
言語類型論上は助動詞に分類され、英語の can 、will などのように、単に名詞句や動詞句と対立する成分として解釈される。
徒党詞は、その屈折によって法と時制を標示する。以下は徒党詞 'geide' の屈折である。
直説法 | 仮定法 | 命令法 | 疑問法 | 釈迦に説法 | |
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現在時制 | geide | geidei | geisa | geides | (なし) |
過去時制 | geidein | geiden | geidest | geines | (なし) |
未来時制 | geideit | geidem | geident | geites | (なし) |
直説法
直説法は、事実をそのまま語るための最も基本的で一般的な法であって、徒党詞の屈折 geide (現在時制) - geidein (過去時制) - geideit (未来時制) によって表される。
直説法の主な用法は、次の通りである。
徒党詞の形 | 法と時制 | 用法 | 例文とグロス |
---|---|---|---|
geide | 直説法現在時制 | 現在における事実、しばしば習慣的反復の事実を表す。 | lasch geide bapka-ki ixrau-ra. exist GANG.IND.PRS dog-SBJ mountain-LOC "山に犬が居る。" |
mafyb freuet geide ja. often run GANG.IND.PRS 1SG.SBJ "私はよく走る。" | |||
現在時点において進行中の事実を表す。 | neut freuet geide ja. now run GANG.IND.PRS 1SG.SBJ "私は今、走っている。" | ||
予定ないし約束された未来の事実(=確定的未来)を表す。 | pisi geide sei-v tixach-li schwa-fiss fra. travel GANG.IND.PRS neiboring-ALL country-ALL tomorrow-TEMP 3SG.SBJ "彼は明日隣国へ赴く。" | ||
時間的制約のない不変の真理や規則を表す。 | oleupf geide cefa-v erwak-mi cifeses-pi. call GANG.IND.PRS iced-ACC water-ACC ice-DAT "凍った水を氷と呼ぶ。" | ||
espfar-te teifasb-ki blauzig geide neko-li. panicked-SBJ migratory.bird-SBJ fall GANG.IND.PRS the.sea-ALL "焦った渡り鳥は海に落ちる(≒急いては事を仕損じる)。"(ことわざ) | |||
mi-weislaut tierens um sfierent anlasre-p geide veizeng-ki ACC-language study and protect active-PL GANG.IND.PRS nation-SBJ "言語は、国家が積極的に研究しかつ保護する。"(アンモク共和国憲法第1草案第12条) | |||
過去の事実を述べるために用いて、表現に臨場感を持たせる(歴史的現在)。 | sandechez-pafrube geide hafgjuyki-ette-∅ niese-fiss ammock-mi. buid-HO.B GANG.IND.PRS Hafgjuyki-PL-SBJ ancient.times-TEMP Ammock-ACC "はるか昔、ハフティクリ兄弟がアンモク共和国をお作りなさった。" | ||
geidein | 直説法過去時制 | 過去における事実、時として習慣的反復の事実を表す。 | schleup weiter geidein prosled-ki midhunges-mi. once represent GANG.IND.PST purple-SBJ desire-ACC "かつて紫が欲望を象徴した。" |
freuet geidein fen-fiss ja. run GANG.IND.PST that.time-TEMP 1SG.SBJ "私はそのとき走っていた。" | |||
現在の事実の確認を表す。 | meipfa lansche geideiin hochda-ki nisch sedma-mi. probably COP GANG.IND.PST today-SBJ date.of eighth-ACC "おそらく、今日は八日だった。" | ||
現在の事柄に対する確言を表す。 | woche-∅ nehbste geidein. this-ABS win GANG.IND.PST "これは勝ったな。" | ||
jef, klove geidein. yes learn GANG.IND.PST "うん、わかったよ。" | |||
pichpa geidein. find GANG.IND.PST "見つけたぞ。" | |||
achtlar, drei geidein schlemi-mi lua. yeah, stop GANG.IND.PST such.a.thing 1PL.SBJ "ええい、(わたしたちはそのようなことを)やめた。" | |||
geideit | 直説法未来時制 | 未来についての事実、予定、推量などを表す。 | lansche geideit schwa-ki nisch kligbies-mi. COP GANG.IND.FUT tomorrow-SBJ date.of ten:seven-ACC "明日は17日だ。" |
pisi geideit sei-v tixach-li schwa-fiss fra. travel GANG.IND.FUT neiboring-ALL country-ALL tomorrow-TEMP 3SG.SBJ "彼は明日隣国へ赴く予定だ。" | |||
raude nohpst geideit haflinch-ki. soon come ''GANG.IND.FUT rescue-SBJ "じきに救助が来るだろう。" | |||
二人称を主語にして、強い命令を表す。 | fulupa geideit seisthent-nja achexti-mi laf. atone GANG.IND.FUT death-INS sin-ACC 2SG.SBJ "死によって罪を償いなさい。" | ||
rebli geideit laupf schxol-mi laupf. leave GANG.IND.FUT here-ACC 2PL.SBJ "(お前たちは)ここから出ていきなさい。" |
仮定法
命令法
命令法は、徒党詞 geide (現在時制) - geidein (過去時制) - geideit (未来時制) という屈折によって示される法であって、文が述べ立てる事象の実現を強く要求する。命令法の文の末尾には、必ず感嘆符 '!' が付される。
疑問法
疑問法は、未知の事実を述べたて、疑問を表明するための法で、徒党詞の屈折 geides (現在時制) - geines (過去時制) - geites (未来時制) によって標示される。
疑問法の文では、末尾に疑問符 '?' を付すのが通例となっている。
一般に、直説法の文に含まれる徒党詞の屈折を疑問法に改めると、元の文の真偽を問うための閉じた疑問文が得られる。
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また、疑問名詞を項にとって、開いた疑問文を作ることもできる。
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"17日はいつだろうか。(=いつが17日だろうか。)" |
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"明日は何日だろうか。" |
釈迦に説法
アンモク語に「釈迦に説法」という法は存在しない。
動詞
アンモク語の動詞は平叙文においてたいてい最初の位置を占める要素であって、主に動作・変化・状態・存在を表す。屈折はせず、時制や法や相などの標示を担うことはないが(それらは徒党詞の役目である)、接辞によって法性(モダリティ)を持つことができる。
文の述語となって、徒党部に格納された名詞句を項として取ることができる。項の取り方は、動作的動詞と非動作的動詞とで若干異なる。
名詞
アンモク語の名詞は、接辞によって格を示され、動詞の項となる。性・数などの区別はない。
格
主格
動作主を表す。 -ki
対格
-mi
具格
-nja
与格
-pi
所格
-ra
向格
-li
時格
-fiss
形容詞
- 名詞の前置修飾
- コピュラ文の述語
副詞
- 動詞の後置修飾
- 形容詞や他の副詞の前置修飾
- 文全体の前置修飾(?) - "Astonishingly, the girl didn't cry." の 'astonishingly' みたいなやつ
- コピュラ文の述語
脚注
注釈
例文
例文のグロス表記はライプツィヒのグロス表記規則に従った。