利用者:デデ二オン/サンドボックス

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   ――――NASAは、”牡羊座ティーガーデンb星”から文明的な信号を受信した。信号の内容は解析できなかったが、規則性、メッセージ性があり、ティーガーデン星bがハビタブルゾーン内に位置していることを踏まえると、ティーガーデン星bに文明が存在していることは間違いなかった。12.5光年離れたこの星に、NASAは「エクソダス」という新たな名前を付け、有人宇宙探査機を送ることを発表。地球の威信を賭けたプロジェクトにより、超広角光圧セイルを持つ最新鋭宇宙探査船「LICS-プレアデス」を建造。5人の宇宙飛行士達が20年掛けてこの星にたどり着くプロジェクトが始動した。


エクソダス計画

ミッションステップ1:小型無人補給機を投入

 小型の補給機を先にエクソダスへのルートに送り込む。この補給機はプレアデス本機よりも遅いスピードで航行するため、プレアデスは途中で補給機を回収できる。なお、この補給機の名前は「アルペジオ」に決定した。

ミッションステップ2:プレアデスをノアで打ち上げ、木星軌道に投入

 土星スイングバイ軌道投入機「ノア」によって土星スイングバイ軌道までプレアデス探査機を運搬。ノアは分離した後土星の大気で燃え尽きる。プレアデスは全長10kmの巨大光圧セイル(太陽帆)を開く。

ミッションステップ2+:(地上作戦)粒子ビーム発射

光圧セイルに送る超高エネルギー粒子ビームを地球から発射する。

ミッションステップ3:スイングバイで太陽系を脱出

 スイングバイ加速によって太陽系を脱出する。牡牛座ティーガーディアンb星「エクソダス」のルートに探査機を調整する。

ミッションステップ4:太陽系外を航行

 太陽系外宇宙を航行、アルペジオ補給サプライ捕獲、そのまま光圧セイルとキセノン型イオンエンジンで加速しながらエクソダスまで航行。予定では20年間航行する。(中の乗組員はコールドスリープしている。)

ミッションステップ5:エクソダスに到着

 エクソダス軌道に乗り、周回して着陸予定地点をマーク。

ミッションステップ6:無人探査ロボットを投入

 探査ロボットを投入し、探査が可能かどうかを見る。可能と判断すれば降下体勢に入る。

ミッションステップ7:着陸予備動作

 着陸するときの設備をチェックする。光圧セイルはここで折りたたむ。

ミッションステップ8:最終チェック、TAV[1]投下

 システムチェックを行い、試験器類をTAVに積み投下する。

ミッションステップ9:Lander射出、降下

着陸船「Lander」を使って着陸。着陸後にカーゴを回収してキャンプを設営する。

ミッションステップ10:探索

生命の痕跡を1ヶ月間探索する。サンプルをTAVに入れる。1ヶ月間、エクソダスに乗組員はとどまる。

ミッションステップ11:上昇

TAVを使用して上昇。サンプルをプレアデス本機に持ち帰る。

ミッションステップ12:帰還

ペイロードに収納しているCRV[2]を起動し、ミッションステップ4と同じようにコールドスリープで20年掛けて地球軌道まで帰還する。尚、帰還機の重量はプレアデスの質量の3%、120t。


事故の全貌

 エクソダス計画の事故は、ミッションステップ9から10にかけてに起きた事故(または事件)であり、エクソダスの文明が何らかの形で影響していた可能性が高いとされている。

 事故に関係すると思われる最初の記録は、”ミッション:デイ7364”ログに書かれている「ミッションステップ9実行時に磁力を使用する計器類が一時的にシャットダウンした」ことである。この事故はプレアデスのメカニカルエンジニア兼生物学者のネヴィル・オードがログに概要を書き込んだのち、事故原因の考察を行っている。この考察時点では、船の位置を計算するコンピュータのジャイロコンパスに異常が起きたのだろうとしていたが、3分もすると計器は復活したと書かれている事から、実際にジャイロコンパスは調べていなかったと思われる。

 尚、後日エクソダスを探索していたネヴィルは、バイタルサイン[3] ログから消失 [4]する3時間前に「デイ7364は間違いだった」という書き込みを残している。これは、ジャイロコンパスの異常が計器のシャットダウンに繋がったのではないことに気づいた事を現していると考えられる。  

ミッションステップ9での音声ログ(自動書き起こし)

       以下はミッションステップ9でのスペーススーツ・コンピュータによる自動書き起こしに訂正を加えたもの。   


  ナビゲーター「「LICS-プレアデス」ミッションステップ9を開始。エクスプローションランダーC1を展開中――展開完了」

  ナビゲーター「システム最終チェック:診断結果――オールグリーン。 セパレーション可能時刻まで30秒、、ジャスト。乗組員、着陸許可を」

  「システムエンジニア」「ゴー」

  「パイロット」「ゴー」

  「ガイダンス」「ゴー」

  「キャプテン」「ゴー」

  ナビゲーター「軌道演算完了。セパレーションテストクリア。着陸許可オーケイ。カウント」

  「10,9,8,7,main engine start 」

  「加速によるGに注意」

  「4,3,2,1」

  ナビゲーター「セパレーション、グッドラック。」


        72秒間、会話なし。大気圏突入時の音と近似する音が発生(現時点より1分間)


            通信開始音に近似する音

  「こちらランダー、着陸。」

  「こちらプレアデス、着陸を確認。コングラチュレーション。システムチェック後、船外活動許可を出す」

  「こちらプレアデス。システムチェック完了。船外活動を許可する。速やかにキャンプを設営すること。」

  「こちらパイロット。船外に出た。一面、赤黒い岩だけだ。生命が存在する気配はない。だが、大気は地球より少ないレベルで存在するようだ。」

  (クルーにのみ向けた通信:周波数262Mhz)

  「キャプテン。貨物カーゴが見当たりません。何処を捜索すれば?」

  「貨物カーゴはマップに寄ればここから200m東にあるはずだ。事前に下ろした探査ロボットもそこにあるらしい。全員で取りに行くぞ。」

  「ヤー」

 

    ここから事件に関係する通信までスキップ



 ミッション・デイ11(探索開始より271時間、GPSよりエクソダス・ベースキャンプにいると思われる)

 「11日目の探索を行う。今回は探索範囲を移動させ、これまでの地質学的調査から文明の痕跡を探す生物学的調査に移行する。ミッションの最重要ポイントだ。気を抜くな。」

 「ヤー」

 「こちらガイダンス、フライト・スペーツスーツのヘルメットディスプレイが点きません」

 「任せて、自分とガイダンスはキャンプに残って応急修理をする。直ったら探索範囲まで急いで行くから、先に行って」

 「ヤー。探索開始」

 「えっあっ、ん?」

 「パイロット、どうした」

 「バイタルサインインジケータが、全部フラットになってる」

  1. Take-Off vessel(離陸機)の事。
  2. Crew Return Vessel(帰還機)の事。
  3. 生体反応の事。ログには心拍数や血圧、体温、呼吸数などの記録が自動的に残るようになっており、心拍数などが基準値を下回り一定時間が経つと「死亡」と判断される。
  4. 普通バイタルサインは生存や心肺停止、危険状態、死亡などを常に示すものであり、サインが消失と言うことは宇宙服を脱いだことと同義である。よって、普通はあり得ないことである。