利用者:Notorious/サンドボックス/消滅の悪魔

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1年8月3日 (I) 11:07時点におけるNotorious (トーク | 投稿記録)による版 (比尾山大噴火#前置き)

記事名「比尾山大噴火」

儂は消滅の悪魔じゃ。この世には悪魔が多く存在する。人を襲うもの、人と共存するもの、人を利用するもの、さまざまじゃ。そして悪魔は、それぞれある物事と対応している。儂の場合は「消滅」じゃ。「林檎」、「狐」、「呪い」、「銃」…。ありとあらゆるものに対応しておる。なぜなら、悪魔は人の恐怖から生まれるからじゃ。
林檎の悪魔は、人間の林檎に対する恐怖から生まれ、力を得る。狐の悪魔は狐への恐怖から、といった具合にな。そして、人間の恐怖が大きいものほど、悪魔の力は強くなる。林檎に恐怖する人間は少ないだろう。だが、銃を恐れる人間は多い。だから、林檎の悪魔は弱く、銃の悪魔は強いのじゃ。銃の悪魔を引き合いに出すのは少し極端だったかもしれんの。なにせ奴は数十秒で何万人もの人を殺せるのだからな…。
だが、悪魔の力の源は、何も人間の恐怖だけではない。他の悪魔からの恐怖もそうじゃ。強い悪魔は弱い悪魔を統べ、力を増していく。その過程で悪魔同士の争いも起こる。そして、ある最悪の事態になったとき、あやつが現れる。あやつは他の悪魔に強烈に恐れられ、巨大な力を持つ悪魔じゃ。その理由は、強いからだけではない。その特殊な性質、あやつに喰われた悪魔は、その根源となる存在ごと消えてしまうことゆえじゃ。
例えば、林檎の悪魔があやつに喰われれば、「林檎」というものはこの世から完全に消え、無かったことにされるのじゃ。当然、人や悪魔の記憶からも消え失せる。一部の例外を除いてな。
一つは、彼女だ。強大な力を持つ彼女は、あやつに喰われてしまった悪魔たちの、あやつと戦う姿を覚えている。しかし、この世から消えた物事までは、彼女といえど覚えていない。それを覚えているものを、儂は一人だけ知っている。何を隠そう、儂自身じゃ。
儂は、「消滅」から力を得ている。この「消滅」は、あやつに喰われた悪魔のこの世からの消滅のことじゃ。悪魔のあやつへの恐怖はあやつの力となるが、あやつの起こす消滅への恐怖は、儂の力となる。つまり儂は、悪魔の恐怖から生まれた悪魔というわけじゃ。
消滅への恐怖は、自らが消滅しかけているとき、最も強くなる。当然のことじゃ。お主がのうのうと昼寝しているときと、大型トラックに今にも轢かれそうになっているとき、どちらが大型トラックへの恐怖が大きいかは自明じゃ。何が言いたいかというと、儂の力となる恐怖は、あやつに喰われそうになった悪魔のものがほとんどだということじゃ。そして、「あやつに喰われそうになった悪魔」は「あやつに喰われた悪魔」と同義じゃ。あやつに勝ったものを儂は寡聞にして知らん。
そしてその恐怖が力として儂に流れ込むとき、その悪魔の記憶や情報も儂に入ってくる。勘のいい者は儂が何を言わんとしているかもうわかっただろう。つまり、儂はあやつに喰われてこの世から消えた物事を、唯一覚えている者なのじゃ。
前置きが長くなったのう。では、儂しか覚えとらん、かつて莫大な恐怖を集めた物事の話を始めようか。まずは、比尾山大噴火じゃ。