Sisters:WikiWiki麻薬草子/公序良俗に関するあれこれ

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編者のことば
文章がまとまらなさすぎたので、掌編集という形をとり、湧き起る感情を三つに分かつことにしたのですが、その内での品質の起伏がひどく大きくなってしまいました。許せ。

クソガキ、邂逅

ああ、いかにも。小学三~四年生の頃の私は、まごうかたなきクソガキであった。

恣意的で誇張めいたインターネット上の文字列を下から上に流すだけの日本国賛美動画に溺れ、両腕を失いながらもその愛国心を強く把持する曾祖父(架空)のエピソードをコメント欄に投稿するネトウヨだった。

感情たるダサい物品なぞ我が心には存在しないのだと頑なに信じ、インターネット上に蔓延るグロ画像(笑)を閲覧して「ネギトロと思えば平気だよwww」などとまあ自慢げに周囲に吹聴して歩き、サイコパスのあらぬ疑いを自らにかけて悦に浸るバカだった。

そう、クソガキであったのだ。痛々しいクソガキであったのだ。うう、キーボードを叩く手が硬直しはじめたぞ。

もちろん現在の私は、目も当てられぬネトウヨで自称サイコパスのガキではない。過去のある地点で私はそれを辞めたからだ。

前者は母親に割とガチでキモがられて悲しくなったから。そして後者は―――己の極まりない愚かさに気づかされたためである。

それは誰か大人に諫められた結果でもなければ、良識あるクラスメイトに指摘された結果でもない。

ところで―――もしもあなたの身近に目も当てられぬ自称サイコパスのクソガキがいるならば、一刻も早く更生させてやるべきだと思わないかね。安心してほしい。手段はひどく簡単だ。

年不相応かつ病的にグロテスクなコンテンツを摂取させ、その生意気を生理的嫌悪の暴力によってねじ伏せれば良いのだ。

『終わらない夏休み』という小説がある。作者不詳。ネット上で無料で見れるので是非とも読んでみてほしい。

あの頃の私は、「検索してはいけない言葉」を検索することで、己の"特殊な人物である"欲を満たしていた。「ひよこミキサー」とかを血眼になって探し、わざわざダウンロードさえしたのだ。

そして、いつしかたどり着いたのがその小説だった。当然私は舐めてかかった。文章ごときが画像や動画を超える嫌悪感を醸造することは不可能だと。そしてグロ画像・動画の閲覧を厭わないこの俺は、そんなもの余裕で読破できると。

1話目を読んだ。2話目を読んだ。私は熱烈に、血の気を後退させ、熱烈に、吐き気を催した。違う、違う、馬鹿な、こんなはずでは。3話目を読んだ。吐き気は加速度的な盛り上がりを見せた。

ここで私は閃いた。もう数話だけ適当なところを読んで、明日になったら教室の中、「『終わらない夏休み』を読んだ」という決して嘘ではない嘘をつき、周囲から羨望と奇異の目を浴びよう、と。

それらの話数なんてもう覚えてはいないが、ぼんやりと内容は記憶している。早鐘を打つ心臓に急かされ、一刻も早くそのミラーサイトのフッターまでたどり着くべくスマートフォンを素早くスクロールし、しかし目に入ってしまったいくつかの記述。

陰唇まわりに数十本もの針を突き刺したり、膣内に大量のタバスコを直接注ぎ込んで身重などと揶揄したり、その塗炭を嘲笑したりする、あの文字列群の為す耐え難い悪辣。

私は自己の極まりない愚かさに気づかされた。しかしそれは、汚泥を啜るような口当たりではなく、むしろ清々しい吐き気として、ただ私は、自称サイコパスを辞めた。

感動ポルノ・ポルノ・感動

感動したい。私は感動したがっている。だって楽しいじゃん、感動するの。

まあ、かほど極端ではなくとも、人間がたいてい感動したがっているというのは間違いないだろう。私もその内の一人である。

障がい者が懸命に生き、何か挑戦をする姿を目玉として放映する24時間テレビは、一部では"感動ポルノ"とさえ揶揄されていながら、いつも多くの人に視聴される。

"ドラ泣き"を売りにする『STAND BY MEドラえもん』は続編を出したし、鬼滅の刃遊郭編のアニメにおいて、鬼の"哀しい過去"回が大トリの長尺シーンだったのは記憶に新しい。

質の優劣に関わらず、莫大に存在するこのような感動系コンテンツは、無論のこと大きな需要によって裏打ちされているのだ。

しかし、何故我々人間は感動したがるのだろう。私はこれについて「感情を揺さぶられたいから」だと思っている。これはトートロジーではない('。

例えば、芯は利用者サンドボックスにて「記憶を抹消し、叙述トリックをもう一度読む」という野望を述べている。これは、もう一度叙述トリックに見事騙されて感情を揺さぶられたいからだろう。

えっとね、なぜ急にこんな当たり前のことをしたり顔で言い始めたのかというとね、つまり私は断固として、公序良俗に反したコンテンツによる感動の形を断固として主張したいのである。断固として!

何だお前、じゃあお前よ、泣ける話だの笑える話だのスカッとする話だのを貪りながらなんでポルノだとかリョナだとかをぎゃあぎゃあぴいぴい排斥するんだよお前、

お前それは、お前それはコンテンツとして成立するなら日陰で繁茂させるべきであってだなお前、それをお前くっだらねえ世間体によってお前、いやお前ゾーニングしてるんだからよお前よ、ほらお前この草子にも注意書きあるだろお前、

故になあ、お前だから公序良俗書けっつってんだろお前、己を解き放てよ馬鹿野郎、だからほらなんか、公序の名のもとに自らの根源的欲求を首肯し、お前だからお前公序書けよお前よ、おい。

だからお前ほら、さっきも言っただろほら、なんか文章ってのはな、素晴らしい効果をもたらすんだよ、ほら、お前じゃあお前美術作品だの漫画だのみてえな小難しい媒体をお前誰もができるわけじゃねえだろお前よ、

でもお前文明人たるものお前母語話者ではあるだろお前せっかく言語活動が可能なんだからよお前文章を書けよ、だからお前文章書けっつってんだろ聞いてんのかコラ、

その点WikiWikiのメインコンテンツは書き物だからよお前、だからお前こんな諦め混じりのゴミ雑文を読んでる暇があるんだったらお前公序良俗に反する記事を書いてだなお前、だから公序良俗に貢献しろってことだよ、お前よ。

えー、大変申し訳ありませんでした。

四肢切断 難しい

もうなんか、『感動ポルノ・ポルノ・感動』の序盤で文章力を使い果たしてしまったので、推敲も何もせずめっちゃ雑に書きなぐるんだけどさ、

まあ、俺はね、正統派公序良俗に反する記事として『四肢切断』を書きてえなあと思ってるのよ。

それがさ、ガチで難しいんだよね。いやまあ、ただ四肢を切断するだけなんだったら簡単なんだけど、やっぱ公序たるもの良い文章を書かないといけないじゃん。

それでさ、まあ、『ゲロ』にも実は四肢切断が入ってるんだけど、これはまあ、片方の腕を切断した時点で失神させてるんだよね。

まあなんでかっていうと、これは俺が勝手に提唱してる概念なんだけど、「公序ボルテージ」を保てなかったからなんだよ。

公序ボルテージっていうのは、なんかこう、なんつーかな、ひどさ具合とでも言うか。

そう、それでこの公序ボルテージがね、まあ記事、というかまあ何かしら一つのコンテンツ内で、一貫して上昇傾向にあるほど良い公序だと思うんだよね。

だからまあ、ゲロなんかでは、これのために最後の切断シーン以外では痛み描写に感嘆符を用いずに書いといて、

それでカタルシスを高めて解放することで、まあなんか技巧的な公序ボルテージの上昇を達成してるんだよ。まあ、そう俺は信じてるぜ('

でもね、それでも四肢切断は一本分の描写が限界だったんだよね。そう、俺の文章力じゃあねえ、公序ボルテージを四肢の切断をまたいで上げていくことがマジで難しいんだよ。

ほんとにこのままだと不可能に近そうでね、まあなんか、途中で爪はいだりとか挟んだりしようかなあとか思ってるんだけど、まあねえ、どうしようかな、ガチで。

うーん、まあ、だから四肢切断はしばらくお預けな感じだわ。うん。いやね、さっきも言ったけどね、みんなもっと正統派公序書いてほしいわ('

よく考えたら、「正統派公序」ってなんだよ(' それもうボランティアとかそういうのだろ('

そう、なんかさ、ゲロ的なのを書いてくれるとさ、ほら、WikiWikiという共同体においていい効果がもたらされるからさ、頼むぜ、マジでよ。

いま思ったんだけどさ、この駄文のタイトル「四肢切断 難しい」ってさ、バラバラ殺人事件に憧れ、それを遂行しようとているものの思いのほか行き詰ってしまった人の検索履歴みたいじゃね?('