「利用者:Notorious/サンドボックス/消滅の悪魔」の版間の差分

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さっそく卦伊佐と梅丹による現場の検分がなされることになり、他の面々を中央キャビンにおいて、二人は言伝の客室へと向かった。
さっそく卦伊佐と梅丹による現場の検分がなされることになり、他の面々を中央キャビンにおいて、二人は言伝の客室へと向かった。


'''第二章 '''
'''第二章 言伝の言伝'''
 
卦伊佐は手袋をつけ、言伝の客室の扉を引き開けた。梅丹も同様に、白い手袋をつけている。
卦伊佐は手袋をつけ、言伝の客室の扉を引き開けた。梅丹も同様に、白い手袋をつけている。


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いわく、
いわく、


『ド屑』feat.歌愛ユキ なきそ
ド屑/歌愛ユキ なきそ


と。
と。


'''第三章 快刀乱麻を断つ(使いたいだけ)'''
'''第三章 会議は踊る、案の定進まず'''
 
かぐや号の乗客たちは、再び中央キャビンに集合していた。四角いテーブルを囲み、皆が席についている。そんな中、梅丹は現場検証でわかったことを余さず報告した。皆はそれぞれ、考え込んだり下を向いたり何か呟いていたりする。
 
議論の口火を切ったのは、梅丹だった。
<br>「まず考えないといけないのは、動機ですね。誰か、言伝さんが殺される理由に心当たりはありませんか?」
<br>得られた反応は芳しくなかった。
<br>「そもそもが、たまたま同じ飛行機に乗り合わせただけの関係だからな……。」
<br>「一応少しは話したけど、言伝さんのことを詳しくは知らないわ。」
<br>「でも大丈夫です!」
<br>「飛行機エンジニアらしいネ。」
<br>「そういや、このかぐや号の設計にも関わったらしいです……。」
<br>「Q-130型航空機、ですね。かぐや号もこの型です。僕もそう聞きました。」
 
そこで突然、卦伊佐が叫んだ。
<br>「おい、言伝はQ-130型に詳しかったのか?」
<br>「ええ、そう言ってましたが。」
<br>「これは問題だな……だが、犯人の動機はわかった。」
<br>「えっ、どういうことです?」
<br>卦伊佐は、渋い顔をした。
<br>「実は、このかぐや号には、移植に使われる心臓が積んであるんだ。」
<br>「ええっ⁈」
<br>「Q-130型は、下層に広い貨物室がある。心臓もそこだ。そして、その移植先が問題なんだ。なんと、エライセー次官なのさ。」
<br>エライセー次官といえば、アメリカの超大物政治家だ。しかし、それだけに敵は多い。
<br>「そしてもう一つ。このQ-130型航空機には、大きな弱点がある。23世紀に入って、飛行機の安全性はとても高くなっている。しかし、Q-130型は、内部からの攻撃に弱いことがつい最近明らかになったんだ。」
<br>卦伊佐は、そこで一息おいた。
<br>「外部からの攻撃には、従来通り高い防御性を発揮できる。だが、内部からいくつかの機械を壊しちまえば、Q-130型は簡単に墜ちちまう。」
<br>「じゃあ、あたしたちも危ないってこと?」
<br>「ああ。おそらく犯人の狙いは、エライセー次官の暗殺だ。そのために、移植用の心臓を運ばせない。そうするために、この飛行機を墜落させる。自分ごと、な。しかし、そこで思わぬ障害が現れた。」
<br>「言伝さん、ですか。」
<br>「その通りだ。彼なら、機械を壊しても直してしまうかもしれない。いや、機械を壊そうとしているとき、怪しまれて邪魔されるかもしれない。だから、犯人はまず言伝を殺すことにしたんだ。」<s>なんて無理のある動機なんだ!</s>
 
キャビンに、静寂が降りた。危険に晒されているのは、ここにいる全員なのだ。一刻も早く犯人を突き止めて、この恐ろしい計画を阻止しなければならない。
 
出し抜けに梅丹が叫んだ。
<br>「そうだ、ダイイングメッセージ! これを解けば犯人がわかるはずだ!」
<br>「ダイニング?」
<br>「ダイイングメッセージ。死に際に遺すメッセージのことです。犯人を告発していることが多いんです。」
<br>こうして、一同はダイイングメッセージの検討に移った。
 
梅丹は一同に、問題となる画面を見せた。
<br>「履歴などを調査したんですが、言伝さんが今際の際にタブレットPCをタップして、この曲を再生したのは間違いないです。当時、画面にはいろんな曲のサムネイルが並んでいて、そのうちの一つ、この曲を選んでタップしたんです。」
<br>「ならば、この曲がメッセージってことか……。」
<br>「いや、歌手やアーティスト名の方がメッセージかもしれませんよ。」
<br>「歌詞が問題じゃない?」
<br>「『画面をタップすること』自体がメッセージだとしたら、どうしましょウ。」
<br>「大丈夫です! 全部考えていけば、いつか正解に辿り着けます!」
<br>「言伝は死にかけてたんだ。隣の曲を押そうとしたのに、手先が狂ってこれをタップしちまった、とかなら手の打ちようがないぞ。」
<br>「『犯人はド屑だっ!』って言いたかったんじゃない?」
<br>「なんて非生産的なメッセージなんダ。」
<br>「案外そんな感じだったのかも……。」
<br>「そもそもこの曲何? 聞いたことないわよ!」
<br>「大昔、ボーカロイド草創期の曲ですからねえ。」
<br>「ボーカロイドについての本、お貸ししましょうか……?」
<br>議論は紛糾したが、説得力のある解釈は提示されなかった。
 
少し経って、議論はただの雑談と化していた。
<br>「『かぐや号』って、月に行けそうな名前じゃない?」
<br>「ほんとですネ。」
<br>「今は昔、竹取の翁というものありけり、ってやつね。」
<br>「懐かしい! 学校で覚えさせられましたねえ。」
<br>「今は今じゃないんですか? ありけりって?」
<br>「月のころはさらなり、だっけ?」
<br>「アハハ、それは枕草子ですよお。」
<br>「皿? <ruby>形<rt>なり</rt></ruby>?」
<br>「でも古文なのは同じなので、大丈夫です!」
 
ここまでお読みになった読者の中には、何か違和感を抱いた人もいるかもしれない。そう、梅丹逞は古語を一切理解していないのだ。これは、ただ単に国語の授業を寝て過ごし続けたせいで、古語の存在を知らないからなのである。
 
何てダメなやつなんだ。
 
そうこうしているうちに、あっという間に夕方になった。
 
'''第四章 快刀乱麻を断つ(使いたいだけ)'''




'''第四章 古語を知らない探偵'''
'''第五章 古語を知らない探偵'''
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