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 えーと、じゃあまず、{{傍点|文章=ママの前に四人、後に一人のとき}}。――ところで、世哉おじさんとウソツさんは、どっちもパパがマグカップを拭いていたのを見ている。このことから、{{傍点|文章=二人のそれぞれ二つ前に出された飲み物はミルクだと分かる}}わ。『使った食器は流しに一つだけ残しておき、増え次第すぐに洗って交換する』。パパの変なトコの一つね。
 えーと、じゃあまず、{{傍点|文章=ママの前に四人、後に一人のとき}}。――ところで、世哉おじさんとウソツさんは、どっちもパパがマグカップを拭いていたのを見ている。このことから、{{傍点|文章=二人のそれぞれ二つ前に出された飲み物はミルクだと分かる}}わ。『使った食器は流しに一つだけ残しておき、増え次第すぐに洗って交換する』。パパの変なトコの一つね。


 ママの次の人の飲み物がコーヒーであること、ママの直前に来た世哉おじさんの二つ前の人の飲み物がミルクであること、そしてミルクとコーヒーは三回ずつ出されていることから、このとき、一番目の人は『ミルクかコーヒーを飲んだ誰か』、ニ番目の人は『ミルクを飲んだ誰か』、三番目の人は『ミルクかコーヒーを飲んだ誰か』、四番目の人は『コーヒーを飲んだ世哉おじさん』、五番目の人は『ミルクを飲んだママ』、そして六番目の人は『コーヒーを飲んだ誰か』だとわかる。ウソツさんはコーヒーを飲んだんだから、この中でウソツさんであり得る人は、一、三、六番目の人になるわね。
 ママの次に出される飲み物がコーヒーであること、ママの直前に来た世哉おじさんの、二つ前に出された飲み物がミルクであること、そしてミルクとコーヒーは三回ずつ出されていることから、このとき、一番目の人は『ミルクかコーヒーを飲んだ誰か』、ニ番目の人は『ミルクを飲んだ誰か』、三番目の人は『ミルクかコーヒーを飲んだ誰か』、四番目の人は『コーヒーを飲んだ世哉おじさん』、五番目の人は『ミルクを飲んだママ』、そして六番目の人は『コーヒーを飲んだ誰か』だとわかる。ウソツさんはコーヒーを飲んだんだから、この中でウソツさんであり得る人は、一、三、六番目の人になるわね。


 じゃあまず、ウソツさんが一番目だとしましょう。あれ? でもウソツさんが一番最初の人なら、『ウソツさんの二つ前の人』が存在しなくなっちゃうわ。よってこの可能性はなくなる。次に、ウソツさんが六番目だとするわ。ここで、『ウソツさんの二つ前の人』である世哉おじさんは、『ミルクを飲んだ人』であるはずなのに、実際はコーヒーを飲んでいる。これもおかしいからあり得ない。
 じゃあまず、ウソツさんが一番目だとしましょう。あれ? でもウソツさんが一番最初の人なら、『ウソツさんの二つ前の人』が存在しなくなっちゃうわ。よってこの可能性はなくなる。次に、ウソツさんが六番目だとするわ。ここで、『ウソツさんの二つ前の人』である世哉おじさんは、『ミルクを飲んだ人』であるはずなのに、実際はコーヒーを飲んでいる。これもおかしいからあり得ない。
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 ウソツさんがニ番目だとすると、『ウソツさんの二つ前の人』が存在しなくなるのであり得ない。五番目だとすると、『ウソツさんの二つ前の人』である世哉おじさんは、やっぱりミルクではなくコーヒーを飲んでいるのであり得ない。ウソツさんが六番目だとしても、さっきと同様にコノイエさんと秋ちゃんの前後関係が成り立たなくなるからあり得ない。
 ウソツさんがニ番目だとすると、『ウソツさんの二つ前の人』が存在しなくなるのであり得ない。五番目だとすると、『ウソツさんの二つ前の人』である世哉おじさんは、やっぱりミルクではなくコーヒーを飲んでいるのであり得ない。ウソツさんが六番目だとしても、さっきと同様にコノイエさんと秋ちゃんの前後関係が成り立たなくなるからあり得ない。


 さて、これで、{{傍点|文章=ママの直前の人が世哉おじさんであるとき}}の全ての場合が成立しないことが分かった。ということで、今度は{{傍点|文章=ママの直前の人がウソツさんであるとき}}を考えるわよ。さっきは直後の人が確定していたから考慮しなかったけど、世哉おじさんの帰り際に、パパはコーヒーの粉を片付けている。このことから、世哉おじさんの直後の人はコーヒーを飲んでいないことが分かるわね。粉はコーヒーを淹れるのに毎回必要になるんだから、次もコーヒーを淹れなきゃならないってときに片付けるなんて非合理的よ。パパはそこまでクレイジーな人じゃないわ。
 さて、これで、{{傍点|文章=ママの直前の人が世哉おじさんであるとき}}の全ての場合が成立しないことが分かった。ということで、今度は{{傍点|文章=ママの直前の人がウソツさんであるとき}}を考えましょう。あと、さっきは直後の人が確定していたから考慮しなかったけど、世哉おじさんの帰り際に、パパはコーヒーの粉を片付けている。このことから、{{傍点|文章=世哉おじさんの直後の人はコーヒーを飲んでいない}}ことが分かるわね。粉はコーヒーを淹れるのに毎回必要になるんだから、次もコーヒーを淹れなきゃならないってときに片付けるなんて非合理的よ。パパはそこまでクレイジーな人じゃないわ。


 とはいえ、世哉おじさんもウソツさんも、二つ前の人がミルクを飲んでいるということは共通している。このことから、ママの直前の人がウソツさんであるときでも、ママの前後の人の組み合わせはさっきと同様に、前に四人、後に一人のときと、前に三人、後に二人のときの二通りに限定されるわ。」
 で、ママの直前の人がウソツさんであるときだけど……覚えてる? 世哉おじさんとウソツさんの条件はほとんど同じなの。どっちもコーヒーを飲んでるし、どっちも二つ前の人がミルクを飲んでいる。――世哉おじさんの順番としてあり得るものは、この二つによって絞り込まれたわよね。当然、ママの条件は共通。だから、世哉おじさんさんの順番に関しても、ウソツさんの直前、それか一番最後、この二つにまで絞れるわ。すると結局、どちらの場合でもコノイエさんと秋ちゃんの前後関係が成立しなくなる。それに世哉おじさんがウソツさんの直前である場合に関しては、そもそも世哉おじさんの直後の人はコーヒーを飲んでいないんだから、そこにコーヒーを飲んだウソツさんがいる時点でおかしいのが分かるわね。」
 
「うむ……ん? でもこれだと……」
 
卦伊佐は首を傾げた。しかしその佇まいは完全に喧嘩の前に首の骨をパキパキするやべえ奴だったので、みんな普通にビビった。
 
 「そ、そうよ。ママの直前に人がいるとき、全ての場合で矛盾が発生する。ということは必然的に、ママの直前には誰もいなかった……つまり、{{傍点|文章=ママは一番最初の人だった}}ということになる。『直前に出された飲み物がミルクではない』――これは『直前に出された飲み物がコーヒーである』というだけでなく、『直前に出された飲み物が{{傍点|文章=無い}}』」という可能性も含んでいるもの。
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