「Sisters:WikiWikiオンラインノベル/スノータイムリミット」の版間の差分

　うるうるとした目で首を傾げる彼女の名前は辻村瞳。僕の…幼馴染みと言うのだろう。クラスは祐介と同じ1年C組。バレー部期待の新人で、1年生ながらレギュラー入りしているスポーツマン、いや、スポーツウーマンか。

　僕はグッと気持ちを押し込めて答える。すると、

　瞳はまるでアニメの登場人物のようなリアクションで安心した後、スッとシリアスな表情になり、どうやってここ来たかを尋ねる間もなく本題に入った。多分、さっきの出来事をB組の生徒の誰かにでも聞いて、僕らが映研の部室にいると思ったのだろう。

　またこれだ。実は瞳と僕は家が隣同士で、何か話したいことがあればいつでも帰れば話せるはずなのだ。しかし、それでも学校にいる間に瞳が僕を訪ねてくると言うことは、何か気になる“謎”を見つけてしまったからに違いない。

　小学生の頃、瞳のふとした疑問を解いてあげてから、謎を発見すると僕に聞きに来るというルーティンがすっかり出来上がってしまっていたのだ。困るんだよ、下手に期待されると。今までは何とか運で解決できてはいたものの、今回もそうできるとは限らない。

　僕は話の腰を折って、どうにか有耶無耶にできないか、苦し紛れに質問をしてみる。

　…おっと、やってしまったようだ。祐介が隣で紅茶を少し吹き出した。笑ってるんじゃねぇぞ。

　ふむ。瞳はいつも通りよくわからない。

　胸を逸せて誇らしげにそう言う彼女を、僕はとりあえずパイプ椅子に座らせた。

　しょうがない…逃げられないなら、じっくり聴いてやろうじゃないか。