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「こっちは妻の威山横<ruby>亜奈秋<rt>あなあき</rt></ruby>。大切なお義兄さんを殺した奴は、ゴリゴリの私刑に処そうと思っているわ」
「こっちは妻の威山横<ruby>亜奈秋<rt>あなあき</rt></ruby>。大切なお義兄さんを殺した奴は、ゴリゴリの私刑に処そうと思っているわ」


「……私は几帳男の妻、律家ノレよ。……とてもお喋りなんかできる気持ちじゃないわ」
「……私は几帳男の妻、律家ノレよ。一応、この家のナースでもあるけど……とてもお喋りなんかできる気持ちじゃないわ」


「俺ぁ<ruby>有曾津<rt>うそつ</rt></ruby><ruby>王<rt>きんぐ</rt></ruby>。本名はガリレオ・ガリレイだ。俺のことは信用していいぜ」
「俺ぁ<ruby>有曾津<rt>うそつ</rt></ruby><ruby>王<rt>きんぐ</rt></ruby>。本名はガリレオ・ガリレイだ。俺のことは信用していいぜ」
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 そう言って、卦伊佐は手早く検分を終わらせた。
 そう言って、卦伊佐は手早く検分を終わらせた。


「死因は外傷による心破裂。被害者はナイフを持った犯人を前に抵抗したものの、心臓を一突き、即死だ。凶器に指紋はついていないから、手袋でも使ったんだろう。死後硬直が始まっているが、まだピークには達していない、死亡したのは十九日の午後、八~十時あたりだろうな。まあ、詳細は鑑識に任せるとしよう」
「死因は外傷による心破裂。被害者はナイフを持った犯人を前に抵抗したものの、心臓を一突き、即死だ。凶器の指紋は拭き取られている。死後硬直が始まっているが、まだピークには達していない、死亡したのは十九日の午後、八~十時あたりだろうな。まあ、詳細は鑑識に任せるとしよう」


「あ、このナイフ……うちのキッチンのだ」
「あ、このナイフ……この書斎のキッチンのだ」


「なるほど、凶器は現地調達か。あー、ところでさっきの話だが、この部屋に来る順番というのは?」
「なるほど、凶器は現地調達。衝動的犯行の線が強いか……あー、ところでさっきの話だが、この部屋に来る順番というのは?」


「ああ、そうね、モポー!」
「ああ、そうね、モポー!」
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 そう言って、卦伊佐は内ポケットから何やら機械を取り出した。
 そう言って、卦伊佐は内ポケットから何やら機械を取り出した。


「嘘の証言を防ぐために、まあ、なんだ、所謂ウソ発見器ってやつを持ってきた。もちろん23世紀の技術によって、大幅に性能は向上しているんだが、残念ながら機械科学捜査倫理法のせいで犯行についての直接の質問に使うことはできない。あと、わざと何かをぼかしたり隠していることも感知できない。あくまでも嘘かどうかを発見するマシーンだからな」
「嘘の証言を防ぐために、まあ、なんだ、所謂ウソ発見器ってやつを持ってきた。もちろん23世紀の技術によって、大幅に性能は向上しているんだが、残念ながら機械科学捜査倫理法のせいで犯行についての直接の質問に使うことはできない。あと、わざと何かをぼかしたり隠していることも感知できない。あくまでも与えられた言葉が嘘かどうかを発見するマシーンだからな」


「おいおい、なんだよ機械なんちゃら法って。『あなたは犯人ですか』って一人一人尋ねていったら済む話じゃないのか?」
「おいおい、なんだよ機械なんちゃら法って。『あなたは犯人ですか』って一人一人尋ねていったら済む話じゃないのか?」
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 食器棚を動かすと、地下階への隠し階段が現れる。ノレは軽い足取りで階段を駆け下り、地下の一室に出た。そこには遠隔操作型のギロチンが備え付けられており、少し離れた場所に通話中のスマホが転がっている。台の上で手足を縛りあげられ、素朴な木の板に首を嵌められていたのは――此井江だった。
 食器棚を動かすと、地下階への隠し階段が現れる。ノレは軽い足取りで階段を駆け下り、地下の一室に出た。そこには遠隔操作型のギロチンが備え付けられており、少し離れた場所に通話中のスマホが転がっている。台の上で手足を縛りあげられ、素朴な木の板に首を嵌められていたのは――此井江だった。


 ラレが通話を解除したのを見て、此井江は喋り始めた。
 ノレが通話を解除したのを見て、此井江は喋り始めた。


「{{傍点|文章=これで}}……解放してくれるんだよな?」
「{{傍点|文章=これで}}……解放してくれるんですよね?」
*コノイエは共犯者だった
 
*ノレは犯人だった
「ええ、そうね……あなたはいい仕事をしてくれた」
――悲鳴!
 
*コノイエ殺さる
 不気味に笑いながら、ノレは続ける。
*ウソツの嘘~卦伊佐と協力・"爆発物取締法"
 
*警察の読み違い;爆破
「{{傍点|文章=あの時}}は……本当にびっくりしたわ。まさか見られてしまうだなんて、迂闊だった。まあ、そもそも衝動的にやっちゃったものだから仕方ないけどね」
 
「……びっくりしたのは僕の方でしょう。道を聞こうとドアを開けた瞬間、{{傍点|文章=あなたが几帳男さんを刺し殺していた}}んだから」
 
 此井江は、ギロチン台の上で仰向けになり、どこか遠くを見つめている。
 
「大声で叫んで逃げようとしたけど、まさかあの犬が……モポでしたっけ? 邪魔してくるとは思いませんでしたよ。よくしつけられてますね。そのまま手足を縛られて、謎の扉から地下に投げ出されて……気づいたら{{傍点|文章=こう}}ですよ。おまけに無事に解放されたければ、口裏を合わせて世哉さんに罪を{{傍点|文章=なすりつける}}手伝いをしろときた。もし電話で助けを呼んだりしたら、ギロチンが遠隔で作動するらしい……{{傍点|文章=まったく想像通り}}、あなたはひどい人だった」
 
「……?」
 
「ハハ、なに、僕は記者ですよ。この家に来たのは、いいネタがあったからに決まってるじゃないですか。いわくこの家の地下で、あなたは――」
 
 此井江の言葉が途切れた。――あえて視覚的に明瞭に説明するならば、ギロチンによって此井江の首が切断された、ということだ。同時に、地上からラレの悲鳴が聞こえてきた。
 
 この屋敷のナース、律家ノレは、途方に暮れた。此井江を殺す羽目になったのは彼女にとって大きな誤算だったからだ。そもそも本来、几帳男を殺すはずでもなかったのだが。……とにかくノレは、自身の運を信じることにした。このままどうにか世哉が逮捕され、自身に追及の目が向けられなかったなら……もちろんその可能性は限りなく低いだろう。ノレは何か巧妙なトリックを仕掛けられるわけでもない。今は卦伊佐とやらが馬鹿だったおかげでたまたまうまく行っているが、捜査が本格的に始まれば疑いの目は必ず自分に伸びてくる。
 
 ――ノレはそう確信していてなお、まだハッピーエンドを信じていた。最早そうする他なかったからだ。几帳男を殺してしまった時点で、彼女の計画は破綻してしまっていたのだから。
 
 
 
 ふと、階段の方から足音が聞こえた。
 
*ウソツの嘘~卦伊佐と協力・"爆発物取締法"・セヤ保護~
*警察の読み違い;身代放棄爆破
*ウソツの嘘2
*ウソツの嘘2
*ラレ;ノレへの"嘘"
*ラレ;ノレへの"嘘"
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