「利用者:Notorious/サンドボックス/コンテスト」の版間の差分

<br>　千佳が頷くのを見て、縁側に続く木戸に手をかけた、その時だった。

<br>　ドン！　ガシャン。銃声が、木戸の{{傍点|文章=外}}から響いた。

<br>　開いた木戸の隙間から、そいつの姿が見えた。種岡光。その顔に下卑た笑みを張り付かせて、銃をこちらに向け……。

<br>　強く手を引っ張られ、肆ノ間に転がり込んだ瞬間、銃声が轟き、頭上を弾が突き抜けていく。ビリビリと部屋が揺れ、ガシャリと無機質な音が聞こえた。

<br>　地面を掻くように立ち上がって、倒れるように中央廊下にまろび出る。そのまま向かいの襖を開け、厨房に入ると襖をぴたりと閉ざした。またどこかで銃声が鳴り、弾かれたようにしゃがみ込む。

<br>　種岡から隠れた途端、種岡がどこにいるかわからず、恐怖に襲われる。襖の向こうに、もう立っているのではないか。銃口をこちらに向けて、次の瞬間には撃たれているんじゃないか。いや、もう僕の後ろに……。

<br>　銃声は途絶え、早鐘を打つ自分の心音しか聞こえない。息を殺して部屋中を見渡しながら、僕は悟った。

<br>　これは、狩りだ。動物を追い詰め、一匹ずつ撃ち殺していく。怯えて隠れることしかできない僕は、獲物なのだ。