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「で、これがダイイングメッセージってわけか……」
「で、これがダイイングメッセージってわけか……」


 <ruby>藤原朝也<rt>ふじわらあさなり</rt></ruby>は辟易していた。旧友である<ruby>赤田充<rt>あかたみつる</rt></ruby>警部補は、毎日のようにこの探偵事務所を訪れ、捜査線に浮上した無理難題を押し付けてくる。しかし彼の専門は浮気調査だ。赤田はそれを知っていてなお図々しくやってくるのだからタチが悪い。
 <ruby>藤原朝也<rt>ふじわらあさなり</rt></ruby>は辟易していた。旧友である<ruby>赤田充<rt>あかたみつる</rt></ruby>警部補は、毎日のようにこの探偵事務所を訪れ、捜査線に浮上した無理難題を押し付けてくる。しかし彼の専門は、浮気調査なのだ。赤田はそれを知っていてなお図々しくやってくるのだからタチが悪い。


「藤原、俺はお前のシャーロック・ホームズ級推理のおかげでここまで登りつめたんだぜ。この難解なダイイングメッセージ、お前の目にはどう写る?」
「藤原、俺はお前のシャーロック・ホームズ級推理のおかげでここまで登りつめたんだぜ。この難解なダイイングメッセージ、お前の目にはどう写る?」
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「そりゃあ分かってる」
「そりゃあ分かってる」


 確かに藤原は、数々の難事件の解決に貢献してきた。「都心爆破テロ未遂事件」に「孤島連続不審死事件」、「団地立てこもり事件」……しかし藤原自身は、それをまるで実感していない。彼がやってきたことといえば、赤田の口から出た断片的な情報を元に、ありうる可能性を想像して喋っただけだったからだ。
「ならせめて死体の状態とかでもいいから教えてくれよ」
 
「守秘義務があるんだよ守秘義務が。これもバレたら結構どやされるんだぞ」
 
 赤田はいつも断片的な情報しか教えない。曰く、一般人に捜査資料の詳細を語ることは許されないらしいのだ。だから今回藤原に課された謎は、「このダイイングメッセージは一体何なのか」というだけの、雲をつかむような話だった。
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