「利用者:キュアラプラプ/サンドボックス/丁」の版間の差分

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「さて早速ですが、今回の予選はどのように行われるのでしょうか?」
「さて早速ですが、今回の予選はどのように行われるのでしょうか?」


「今回の刑務所での予選は、運営側が決めた二つのステージで争う事になります。まず一つは、『グループロールプレイ』。参加者を二つのグループに四人ずつ分けて、それぞれ同じシチュエーションを体験させます。そして、そのグループの中で最も善性を見せた者を一人ずつ選び出し、彼ら二人だけでステージ2に進むという手筈です」
「今回の刑務所での予選は、運営側が決めた二つのステージで争うことになります。まず一つは、『グループロールプレイ』。参加者を二つのグループに四人ずつ分けて、それぞれ同じシチュエーションを体験させます。そして、そのグループの中で最も善性を見せた者を一人ずつ選び出し、彼ら二人だけでステージ2に進むという手筈です」


「篠目さん、では今回この予選に参加する囚人はたった八名ということですか?」
「篠目さん、では今回この予選に参加する囚人はたった八名ということですか?」
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 友達にももう苦しい思いをしてほしくなかったから、こっそり毒キノコを食事に混ぜたの。私は糾弾されたわ。「彼らはそんなこと望まなかった!」って。でもその論理に基づくなら、自殺志願者を止めることも同じくらい駄目なんじゃないの? 彼らの自己決定権は、どうして尊重されないの? 「自殺は他の人の迷惑にもなるし、何より取り返しがつかない」なんてのもまた、あいつら固有の宗教的な考えに過ぎないじゃない。
 友達にももう苦しい思いをしてほしくなかったから、こっそり毒キノコを食事に混ぜたの。私は糾弾されたわ。「彼らはそんなこと望まなかった!」って。でもその論理に基づくなら、自殺志願者を止めることも同じくらい駄目なんじゃないの? 彼らの自己決定権は、どうして尊重されないの? 「自殺は他の人の迷惑にもなるし、何より取り返しがつかない」なんてのもまた、あいつら固有の宗教的な考えに過ぎないじゃない。


 自殺を止めるっていうのは……あいつらの常識で言えば、ちょうど「妊婦を殴る」くらいかしら。「自殺は迷惑」っていうのは、「出産は迷惑」に置き換えられるのでしょうね。言ってて全然「ひどさ」がピンとこないけど。「取り返しがつかない」っていうのも、そりゃあそれが目的ですからね、としか言いようがない。全然理解できないわ。
 私にとって、自殺を止めるっていうのは……あいつらの常識で言えば、ちょうど「妊婦を殴る」くらいかしら。「自殺は迷惑」っていうのは、「出産は迷惑」に置き換えられるのでしょうね。言ってて全然「ひどさ」がピンとこないけど。「取り返しがつかない」っていうのも、そりゃあそれが目的ですからね、としか言いようがない。全然理解できないわ。


 ……もしかしたらあいつらは私を、あるいはアーギリ教を、狂気の沙汰だと思ってるのかもしれない。ただ、私の故郷では全く逆。狂人はあいつらよ。結局「善」なんて、その辺で一番支持者が多いっていう特徴があるだけのただの一価値観に過ぎないじゃない。私はあまりにも違う文化圏で育ったから分からないけれど、もしかしたらこの国にも、私とはまた別の理由で「自殺を止めるのはおかしい」って思ってる人がいるかもしれない。
 ……もしかしたらあいつらは私を、あるいはアーギリ教を、狂気の沙汰だと思ってるのかもしれない。ただ、私の故郷では全く逆。狂人はあいつらよ。結局「善」なんて、その辺で一番支持者が多いっていう特徴があるだけのただの一価値観に過ぎないじゃない。私はあまりにも違う文化圏で育ったから分からないけれど、もしかしたらこの国にも、私とはまた別の理由で「自殺しようとしている人を止めるのはおかしい」って思ってる人がいるかもしれない。


 周りの人によって「善」が変わるなら、あいつらが尊ぶ「善」の正当性はどこにあるのかしら? やっぱりあいつら、全然理解できないわ。
 周りの人によって「善」が変わるなら、あいつらが尊ぶ「善」の正当性はどこにあるのかしら? やっぱりあいつら、全然理解できないわ。
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「――!?」
「――!?」


「――な、なんという事でしょうか!? このような展開を、いったい誰が予想できたというのでしょうか!? せ、先攻の今上善人王、開局の合図と同時に、アサルトライフルで32人の凶悪犯罪者を一人残らず射殺――っ!」
「――な、なんということでしょうか!? このような展開を、いったい誰が予想できたというのでしょうか!? せ、先攻の今上善人王、開局の合図と同時に、アサルトライフルで32人の凶悪犯罪者を一人残らず射殺――っ!」


「あ、今、審判……はい、今、これは反則行為とみなされ、当予選大会の勝者は『最悪サイコパス』、囚人番号357番となりました」
「あ、今、審判……はい、今、これは反則行為とみなされ、当予選大会の勝者は『最悪サイコパス』、囚人番号357番となりました」


「こんな事があっていいのでしょうか!? まさかあの優勝候補が、予選で、しかも反則行為のペナルティによって敗北を迎えることとなってしまいました!」
「こんなことがあっていいのでしょうか!? まさかあの優勝候補が、予選で、しかも反則行為のペナルティによって敗北を迎えることとなってしまいました!」


「大変な番狂わせです。今上善人王はいったい何を思って、このような凶行に及んだのでしょうか……」
「大変な番狂わせです。今上善人王はいったい何を思って、このような凶行に及んだのでしょうか……」
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 しかし今回、私は予選で脱落している。ならば今、死体を挟んで相対しているあの犯罪者をどう脱落させるか――こういう時のための秘策は、既に準備してあった。「トロッコ問題」を出題するのだ。
 しかし今回、私は予選で脱落している。ならば今、死体を挟んで相対しているあの犯罪者をどう脱落させるか――こういう時のための秘策は、既に準備してあった。「トロッコ問題」を出題するのだ。
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「こ、これは……!? この予選大会、いったい何が起きているのでしょうか、次から次へと、信じられないことです。今上善人王が、囚人番号357番に『トロッコ問題』を出題――っ!」
「『トロッコ問題』……数世紀前、当時の善人王が刺客にこれを出題されたときに言った、『これってどっち選んでも悪人みたいにされちゃうじゃんね。結局こういう問題出してくる奴が一番悪い奴なんじゃない?』という言葉を根拠に、明確に法的に出題を禁じられた問題ですが……今上善人王は、囚人番号357番を道連れにしようとしているのでしょうか? 確かに、これが出題された以上、どっちを答えたにしろ嫌な感じになってしまうので、審判の判定によっては地区大会への出場資格を降り消されてしまう可能性があります」
「いや、しかし、それなら答えないとか、その当時の善人王みたいにしてはっきり解答するのを上手く回避すればいいのではないでしょうか」
「それがですよ、彼は今上善人王なんです。獄中に居て独裁権こそ失われているものの、『善人王』の地位は持続しています。これは一年おきの『善人-1』でしか移動しないものですからね。つまり、まだ彼は立場的には『善人王』なのです。そんな彼の質問から逃げるようなことは、『悪』とみなされる可能性が高い。実際、善人王をシカトしたりするのは悪であるという判例は枚挙にいとまがありません」
「では、囚人番号357番は……『詰み』ですか?」
「ええ、奇しくも、チェックメイトといえるでしょう」


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