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「なるほど、それならつまり……えーっと、示されるのは、『{{傍点|文章=破壊される前の大陸とは違う大陸}}が実際の存在として成立したことがある』……?」
「なるほど、それならつまり……えーっと、示されるのは、『{{傍点|文章=破壊される前の大陸とは違う大陸}}が実際の存在として成立したことがある』……?」


「そう。その『大陸の音』から得られる形状を毛髪境界の相に落とし込み、『大陸ハゲ』を作ることで、その{{傍点|文章=破壊される前の大陸に似た別の大陸が}}、{{傍点|文章=形而下的に実在を成立させていた}}ことが確定するんだ。言ってしまえば、現実改変とかいうやつかもな。とにかく、ここにおいて、地球にはほぼ同型で同位置を占める二つの大陸が{{傍点|文章=二重に存在していたことになる}}。『大陸が破壊された』という事象は、『重なる二つの大陸の一つが破壊された』という事象に上書きされ、こうして{{傍点|文章=そこには一つの大陸が残される}}……これがYGT財団による大陸の修復の全貌だ。さっき言ったように、二つ目の大陸が担保されるのはその成立だけであるから、一つ目の大陸が破壊され、大陸の『残機』としての役割を果たすまでに破壊されてしまうという可能性もある。しかしその場合でも、YGT財団が同じ大陸修復プロトコルを繰り返すだけだ。……こうして、大陸は続いていく」
「そう。その『大陸の音』から得られる形状を毛髪境界の相に落とし込み、『大陸ハゲ』を作ることで、その{{傍点|文章=破壊される前の大陸に似た別の大陸が}}、{{傍点|文章=形而下的に実在を成立させていた}}ことが確定するんだ。言ってしまえば、現実改変とかいうやつかもな。とにかく、ここにおいて、地球にはほぼ同型で同位置を占める二つの大陸が{{傍点|文章=二重に存在していたことになる}}。『大陸が破壊された』という事象は、『重なる二つの大陸の一つが破壊された』という事象に上書きされ、こうして{{傍点|文章=そこには一つの大陸が残される}}……これがYGT財団による大陸の修復の全貌だ。さっき言ったように、第二の大陸が担保されるのはその成立だけであるから、第一の大陸が破壊され、大陸の『残機』としての役割を果たすまでに破壊されてしまうという可能性もある。しかしその場合でも、YGT財団が同じ大陸修復プロトコルを繰り返すだけだ。……こうして、大陸は続いていく」
 
「げ、現実改変……!? いやいや、全然納得がいきませんよ! さっきも言いましたけど、『{{傍点|文章=○○が実際の存在として成立したことがないならば}}、{{傍点|文章=○○ハゲは存在しない}}』んでしょう? なら、存在しない『第二の大陸』を毛髪境界の相に持つ『大陸ハゲ』なんてものも、存在するはずがないじゃないですか! なのにそれが存在して、挙句の果てにはそれゆえに『第二の大陸』が存在するように世界が改変されるだなんて、信じられませんよ!」
 
「まあ、実際、難解な話ではあるよな。そうだな……じゃあ、例えば、スペースシャトルの中に浮かぶリンゴか何かを想像してみてくれ」
 
「は、はあ」
 
「そして一つ、ルールを設定しよう。『○○が地球にあるならば、○○は地表に対して落下する』……まあ重力のことだ」
 
「それは当然飲み込めますね」
 
「スペースシャトルは宇宙空間を飛んでいる。さて……まず、このとき、リンゴは地表に落下しているか?」
 
「物理はからっきしなので合ってるか分かんないですけど、まあ、無重力状態でしょうね。落下はしません」
 
「よし。厳密なことは良いんだ。それから数日後、スペースシャトルは地球に帰ってきた。もちろん、リンゴも一緒だ。このとき、リンゴはどうなる?」
 
「まあ、ルールに則れば、当然『地表に対して落下する』はずですね」
 
「……実際、この大陸修復理論も、これと同じ構造をしているんだ。『リンゴ』は『第二の大陸』に、『落下』は『形而下的な実在の成立の既遂』に、『地球にいること』は『大陸ハゲが存在すること』に、そしてルール『○○が地球にあるならば、○○は地表に対して落下する』は、同じくルール『○○ハゲが存在するならば、○○は実際の存在として成立したことがある』に対応している。……リンゴが『落ちるようになった』ことの意味も、これなら分かりやすいんじゃないか?」
 
「つまり……重力のルールの対偶は、『○○が地表に対して落下しないならば、○○は地球にない』。しかし、宇宙にある『地表に対して落下しない』リンゴでも、{{傍点|文章=スペースシャトルに乗って地球へ向かうことができる}}。そして地球に到着したリンゴには、当然十分な重力がかかり、『地表に対して落下する』ようになる。なるほど……僕はまず、『毛髪境界の相に○○の形状を与える』ことが『スペースシャトルで○○を持って帰る』という役割まで果たせるという認識が無かったみたいです。『実際の存在として成立したことがないもの』を『毛髪境界の相に落とし込む』ことには、これで納得がいきました。でも……理論的にも感覚的にも、『重力』について一切の知識を持たない者ならば、そのリンゴの{{傍点|文章=見た目上の}}性質の変化を『非合理的な現実改変』だと思うのは、無理もないんじゃないですかね」
 
 
 
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*大陸は壊されづらいので存在成立が存在とほぼ同義になる
*宇宙食は地球で落下する 「落下」と「実在」のシステム的スケールの違いによる混乱
*宇宙食は地球で落下する 「落下」と「実在」のシステム的スケールの違いによる混乱
**「地球にあるならば落下する」「ハゲとしてあるならば実在する」地球に持ってきた宇宙食とハゲに落とし込んだ非実在
**「地球にあるならば落下する」「ハゲとしてあるならば実在する」地球に持ってきた宇宙食とハゲに落とし込んだ非実在
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