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<br> <ruby>そのこと<rt>・・・・</rt></ruby>に気づいて彼女もつぶやき返す。「これって……嘘だ……」 | <br> <ruby>そのこと<rt>・・・・</rt></ruby>に気づいて彼女もつぶやき返す。「これって……嘘だ……」 | ||
<br> そして彼らは言うのだった。「「私たち、入れ替わってる?」」<ref>ええっ、どこで入れ替わったのでしょうか? もう一度読んで考えてみましょう。</ref> | <br> そして彼らは言うのだった。「「私たち、入れ替わってる?」」<ref>ええっ、どこで入れ替わったのでしょうか? もう一度読んで考えてみましょう。</ref> | ||
==物語(若い論理学者の独りごと)== | |||
全く、この国も落ちこぼれたものだ。だいいちあいつら、頭が悪すぎる。言語とメタ言語の区別もつかないだなんて、困ったものだ。 | |||
ああいや、そのおかげで、猿が考えてもすぐに[[分かんな~い|分かる]]ようなことを1時間か2時間喋るだけで金がもらえるようになったのか。それは大いに感謝せねば。ははっ、最近の収入なんか、もはやほとんど講演だもんね。 | |||
[[ソーイエバ(宗教)|そういえば]]、明日も講演だな。内容のおさらいでもしておくか。ええと、ノート、ノート……あった。 | |||
*テーマ - 「非自己叙述的」 | |||
**非自己叙述的とは - ある言葉が、その言葉自身に背く意味を持つさま。 | |||
***例 | |||
****「接続詞」という言葉について:この言葉そのものは名詞である。よって「接続詞」という言葉は'''非自己叙述的である'''。 | |||
****「かたかな」という言葉について:この言葉そのものはひらがなで書かれている。よって「かたかな」という言葉は'''非自己叙述的である''' | |||
**Q1."Japanese" という言葉は非自己叙述的? - "Japanese" の意味するところは「日本語」であるが、この言葉自身は英語であるため、"Japanese" は'''非自己叙述的な言葉である'''。 | |||
**Q2.「ヘロイン」という言葉は非自己叙述的? - 「ヘロイン」は「ヘロイン」という言葉それ自体について述べることはできないため、「ヘロイン」という言葉は'''どちらでもない'''。 | |||
***このことから、ある言葉が非自己叙述的であるかどうか判断するとき、その言葉は前提として「言葉(言語)について述べる言葉(言語)」でなければならない<ref>すでに例として挙げた "long" も "misspelled" も「動詞」も "hyphnated" も皆、「言語について述べるための言葉」である。</ref>と分かる。ちなみに、「言語について述べる言語」のことを'''メタ言語'''という。 | |||
**Q3.「非自己叙述的」という言葉は非自己叙述的? | |||
***仮定1――「非自己叙述的」という言葉は非自己叙述的である。<br>∴「非自己叙述的」は「非自己叙述的」という言葉に背いている。<br>∴「非自己叙述的」は'''非自己叙述的でない'''。(=仮定と矛盾する結論) | |||
***仮定2――「非自己叙述的」という言葉は非自己叙述的でない。<br>∴「非自己叙述的」は「非自己叙述的」という言葉に背いていない。<br>∴「非自己叙述的」は「非自己叙述的」である。(=またもや仮定と矛盾する結論) | |||
***どうしてこんなことに?――先にも言ったように、ある言葉が非自己叙述的かどうか判断するとき、その言葉は'''メタ言語'''でなければならない。ということは、「非自己叙述的」という言葉は'''メタ言語について述べる言語'''である。もし仮に、「'''メタ言語'''」と「'''メタ言語について述べる言語'''」の性質が異なるとすれば、「『非自己叙述的』という言葉は非自己叙述的であるか」という問いに矛盾が生まれることを説明できる。要は、「『非自己叙述的』という言葉は'''メタ言語'''について述べるために使われるべきなのに、この問いは『非自己叙述的』という言葉を'''メタ言語について述べる言語'''について述べるために使おうとしている」すなわち「言葉の使い方を間違えている」ため、「常に偽」つまり「矛盾」が起こる、ということである。たとえるならば、「現在のフランス国王は74歳である」という文が常に偽となる(「74歳である」と仮定しても「74歳でない」と仮定しても、「現在のフランス国王」という言い方が間違っている<ref>現在のフランスに国王はいない。</ref>ため)ようなものである。 | |||
==脚注== | ==脚注== |
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