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=== 第1章 はじめに ===
=== 第1章 はじめに ===
==== 第0節 用語の定義 ====
==== 第0節 用語の定義 ====
思考を進めるより先に,研究対象をきっちり定義しておくことは,非常に重要である。以下に用語とその定義を掲げる。
思考を進めるより先に,研究対象をきっちり定義しておくことは,非常に重要である。以下に用語とその定義を掲げる。
* 開いた口が塞がらない - 目の前にジャスティン・ビーバーがテレポートしてきたときに驚いて開けるくらいの口,すなわち,出来る限り大きく開けた口の8割程度の大きさに口を開けているさま。
* 開いた口が塞がらない - 目の前にジャスティン・ビーバーがテレポートしてきたときに驚いて開けるくらいの口,すなわち,出来る限り大きく開けた口の8割程度の大きさに口を開けているさま。
* 開いた口が塞がらない語 - 「開いた口が塞がらない状態で発声した日本語」を,その音韻(など)の違いから日本語とは別物だとして扱ったときの言語のこと。
* 開いた口が塞がらない語 - 「開いた口が塞がらない状態で発声した日本語」を,その音韻(など)の違いから日本語とは別物だとして扱ったときの言語のこと。
これらの用語がこのレポートに出てくる場合,それらはすべて上の定義で使われると考えてよい。
これらの用語がこのレポートに出てくる場合,それらはすべて上の定義で使われると考えてよい。
==== 第1節 研究の動機 ====
==== 第1節 研究の動機 ====
ある放課後,すれ違った男性が友人と政治批判をしつつ「責任逃れか。全く,開いた口が塞がらないね」などと言うのが聞こえた。
ある放課後,すれ違った男性が友人と政治批判をしつつ「責任逃れか。全く,開いた口が塞がらないね」などと言うのが聞こえた。
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気にならない方がおかしいというものだ。よって,この機会に検証したいと思った。
気にならない方がおかしいというものだ。よって,この機会に検証したいと思った。
==== 第2節 研究の目的 ====
==== 第2節 研究の目的 ====
この研究は,純然たる科学である音声学のもとに,実際に「開いた口が塞がらない」状況にある人間が,どのように日本語の音韻を表現するのかについて明らかにするものである。具体的には,
この研究は,純然たる科学である音声学のもとに,実際に「開いた口が塞がらない」状況にある人間が,どのように日本語の音韻を表現するのかについて明らかにするものである。具体的には,
* 開いた口が塞がらない状態での,通常の日本語の音韻を表現する発音
* 開いた口が塞がらない状態での,通常の日本語の音韻を表現する発音
* その発音の,国際音声記号(IPA)や通常の日本語の形態を用いた表記
* その発音の,国際音声記号(IPA)や通常の日本語の形態を用いた表記
* 開いた口が塞がらないときの直し方
* 開いた口が塞がらないときの直し方
などを調べていく。
などを調べていく。
==== 第3節 研究の方法 ====
==== 第3節 研究の方法 ====
本節では,研究の原則及び手順を示す。
本節では,研究の原則及び手順を示す。
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*1…むろん,直感を絶対的に信じる姿勢を取るわけではない。検証の過程で予想のとある箇所が別の箇所と矛盾することが判明した場合,解釈をねじ曲げて矛盾を回避することよりも,むしろその箇所を修正することを我々は積極的に考えるだろう。
*1…むろん,直感を絶対的に信じる姿勢を取るわけではない。検証の過程で予想のとある箇所が別の箇所と矛盾することが判明した場合,解釈をねじ曲げて矛盾を回避することよりも,むしろその箇所を修正することを我々は積極的に考えるだろう。
=== 第2章 仮説 ===
=== 第2章 仮説 ===
開いた口が塞がらない語の音韻について,「仮説」を表として以下に掲げる。これは「知人数名で口を開いて発声してまとめた,洗練されていない直感的予想」であって,検証の起点を仮定する目的を持つにすぎず,正確性と統一性は保証されない。したがって,この後の検証によって一部または全部が否定される可能性を持つものである。
開いた口が塞がらない語の音韻について,「仮説」を表として以下に掲げる。これは「知人数名で口を開いて発声してまとめた,洗練されていない直感的予想」であって,検証の起点を仮定する目的を持つにすぎず,正確性と統一性は保証されない。したがって,この後の検証によって一部または全部が否定される可能性を持つものである。
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!あ
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=== 第3章 検証と考察 ===
=== 第3章 検証と考察 ===
==== 第1節 考察の流れ ====
==== 第1節 考察の流れ ====
この研究では,音声学の観点から,開いた口が塞がらない状態の日本語の変化,主に発音と表記について考える。音声学とは,人間による音声について研究する学問であり,ここでは音声学の中でも「発音」を主とする分野である調音音声学に基づいていく。
この研究では,音声学の観点から,開いた口が塞がらない状態の日本語の変化,主に発音と表記について考える。音声学とは,人間による音声について研究する学問であり,ここでは音声学の中でも「発音」を主とする分野である調音音声学に基づいていく。
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*2なお,促音・長音については,それぞれ長子音・長母音の一部であり,開いた口が塞がらない状態でもこれらは存在するため,開いた口が塞がらない場合においても何ら変化はない。
*2なお,促音・長音については,それぞれ長子音・長母音の一部であり,開いた口が塞がらない状態でもこれらは存在するため,開いた口が塞がらない場合においても何ら変化はない。
==== 第2節 日本語の母音 ====
==== 第2節 日本語の母音 ====
まず,母音とは「調音位置が存在しない音」のことである。つまり,気流(肺からの息の通り道)を一切妨げずに発する音,ということである。日本語の母音には,「あ」「い」「う」「え」「お」で表される5種類が存在している。
まず,母音とは「調音位置が存在しない音」のことである。つまり,気流(肺からの息の通り道)を一切妨げずに発する音,ということである。日本語の母音には,「あ」「い」「う」「え」「お」で表される5種類が存在している。
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ここで,開いた口が塞がらない状態において,これら3つの弁別要素にどのような影響が自然に現れるのかについて,以下のことが考えられる。
ここで,開いた口が塞がらない状態において,これら3つの弁別要素にどのような影響が自然に現れるのかについて,以下のことが考えられる。
# 唇の形→丸まることのない「'''非円唇'''」に限定される。
# 唇の形→丸まることのない「'''非円唇'''」に限定される。
# 舌の形→開いた口が塞がらない状態でも舌の形は自由であるため,影響はない。
# 舌の形→開いた口が塞がらない状態でも舌の形は自由であるため,影響はない。
# 顎の開閉度→常に広くなり,「'''広母音'''」および「'''狭めの広母音'''」に限定される。
# 顎の開閉度→常に広くなり,「'''広母音'''」および「'''狭めの広母音'''」に限定される。
このことから,開いた口が塞がらない状態における母音は,非円唇かつ広母音および狭めの広母音であるものに限定されるといえるのである。これによって,日本語の母音にどのような影響が現れるのかについて,それぞれ考えていく。
このことから,開いた口が塞がらない状態における母音は,非円唇かつ広母音および狭めの広母音であるものに限定されるといえるのである。これによって,日本語の母音にどのような影響が現れるのかについて,それぞれ考えていく。




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結論として,開いた口が塞がらない状況における日本語の母音は,
結論として,開いた口が塞がらない状況における日本語の母音は,
* [ä, i, ɯ̹, e̞, o̞]ではなく[ä, æ, ɑ, æ, ɑ]と発音される
* [ä, i, ɯ̹, e̞, o̞]ではなく[ä, æ, ɑ, æ, ɑ]と発音される
* 「'''あ/い/う/え/お'''」ではなく「'''あ/え/あ/え/あ'''」として表記される
* 「'''あ/い/う/え/お'''」ではなく「'''あ/え/あ/え/あ'''」として表記される
ということができる。
ということができる。
==== 第3節 日本語の子音 ====
==== 第3節 日本語の子音 ====
まず,子音とは,「調音位置が存在する音」のことである。つまり,母音とは逆に気流をどこかで妨げて発する音,ということである。日本語では子音を単独で表すことはできないが,強いて言うなら「『か』の頭子音」,「『さ』の頭子音」など,約30種類が存在している。
まず,子音とは,「調音位置が存在する音」のことである。つまり,母音とは逆に気流をどこかで妨げて発する音,ということである。日本語では子音を単独で表すことはできないが,強いて言うなら「『か』の頭子音」,「『さ』の頭子音」など,約30種類が存在している。
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ここで,開いた口が塞がらない状態において,これら3つの弁別要素にどのような影響が自然に現れるのかについて,以下のことが考えられる。
ここで,開いた口が塞がらない状態において,これら3つの弁別要素にどのような影響が自然に現れるのかについて,以下のことが考えられる。
# 発声の状態→開いた口が塞がらない状態でも声門に影響はないため,影響はない。
# 発声の状態→開いた口が塞がらない状態でも声門に影響はないため,影響はない。
# 調音位置→開いた口が塞がらない状態においては,両唇を近づけての発音や,歯茎や硬口蓋などの一部の調音位置に舌を近づけての発音が自然なものではなくなるため,後舌面(舌の奥の方)での「'''舌背音'''」(「'''軟口蓋音'''」と「'''口蓋垂音'''」),そして「'''咽喉音'''」(「'''声門音'''」や「'''咽頭音'''」など)に限定される。
# 調音位置→開いた口が塞がらない状態においては,両唇を近づけての発音や,歯茎や硬口蓋などの一部の調音位置に舌を近づけての発音が自然なものではなくなるため,後舌面(舌の奥の方)での「'''舌背音'''」(「'''軟口蓋音'''」と「'''口蓋垂音'''」),そして「'''咽喉音'''」(「'''声門音'''」や「'''咽頭音'''」など)に限定される。
# 調音方法→特に影響はないが,「'''破裂音'''」に関しては,開いた口が塞がらない状態において声門の閉鎖に比較的時間がかかるため,その分の気流が同じ調音位置から「'''摩擦音'''」なって現れる。このため,破裂音は破擦化し,つまり「'''破擦音'''」となる。
# 調音方法→特に影響はないが,「'''破裂音'''」に関しては,開いた口が塞がらない状態において声門の閉鎖に比較的時間がかかるため,その分の気流が同じ調音位置から「'''摩擦音'''」なって現れる。このため,破裂音は破擦化し,つまり「'''破擦音'''」となる。
このことから,開いた口が塞がらない状態における子音は,後舌面での舌背音と咽喉音に限定され,破裂音は破擦音となるといえるのである。これによって,日本語の子音にどのような影響が現れるのかについて,それぞれ考えていく。
このことから,開いた口が塞がらない状態における子音は,後舌面での舌背音と咽喉音に限定され,破裂音は破擦音となるといえるのである。これによって,日本語の子音にどのような影響が現れるのかについて,それぞれ考えていく。
===== 第1項 両唇音・舌頂音・硬口蓋音 =====
===== 第1項 両唇音・舌頂音・硬口蓋音 =====
両唇音,舌頂音,硬口蓋音とは,簡潔に言えばそれぞれ「両方の唇を使って調音する音」,「舌の先端付近を歯茎などその付近に近づけて調音する音」,「舌の前の方の面を硬口蓋に近づけて調音する音」である。なお,日本語の舌頂音には「歯茎音」,「そり舌音」,「歯茎硬口蓋音」の3種類が存在する。
両唇音,舌頂音,硬口蓋音とは,簡潔に言えばそれぞれ「両方の唇を使って調音する音」,「舌の先端付近を歯茎などその付近に近づけて調音する音」,「舌の前の方の面を硬口蓋に近づけて調音する音」である。なお,日本語の舌頂音には「歯茎音」,「そり舌音」,「歯茎硬口蓋音」の3種類が存在する。
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では,これに基づき,それぞれの子音が開いた口が塞がらない状態においてどのような母音になるのかについて考えていく。
では,これに基づき,それぞれの子音が開いた口が塞がらない状態においてどのような母音になるのかについて考えていく。
* '''両唇音''' 日本語の両唇音には以下の5つが存在する。
* '''両唇音''' 日本語の両唇音には以下の5つが存在する。
# '''両唇鼻音'''([m])→「ま/み/む/め/も」や両唇音の直前の「ん」に用いられる。
# '''両唇鼻音'''([m])→「ま/み/む/め/も」や両唇音の直前の「ん」に用いられる。
# '''無声両唇破裂音'''([p])→「ぱ/ぴ/ぷ/ぺ/ぽ」に用いられる。
# '''無声両唇破裂音'''([p])→「ぱ/ぴ/ぷ/ぺ/ぽ」に用いられる。
305行目: 281行目:
# '''無声両唇摩擦音'''([ɸ])→「ふ」に用いられる。
# '''無声両唇摩擦音'''([ɸ])→「ふ」に用いられる。
# '''両唇接近音'''([β̞])→「わ」に用いられる。(稀に「を」にも用いられるが,本来は [o̞] である。)
# '''両唇接近音'''([β̞])→「わ」に用いられる。(稀に「を」にも用いられるが,本来は [o̞] である。)
舌の形についてだが,両唇音の発音に舌の形は関係していないため,それは直後の母音と同じ形になることがいえる。このため,これら5つの子音は直後の母音と同じ形の母音となる。なお,母音は元来有声であるが,もともとの子音の「無声か有声か」という発声の状態の別を考慮して,「無声母音」と「有声母音」に分けられるといえる。さらに,1のような「鼻音」とは,つまり「鼻から発する子音」ということであり,この性質は調音位置を失って母音となるとき「鼻から発する母音」すなわち「鼻母音」と化すという影響を与える。なお,これらはどの子音が調音位置を失って変化したどの母音にも共通する特徴である。
舌の形についてだが,両唇音の発音に舌の形は関係していないため,それは直後の母音と同じ形になることがいえる。このため,これら5つの子音は直後の母音と同じ形の母音となる。なお,母音は元来有声であるが,もともとの子音の「無声か有声か」という発声の状態の別を考慮して,「無声母音」と「有声母音」に分けられるといえる。さらに,1のような「鼻音」とは,つまり「鼻から発する子音」ということであり,この性質は調音位置を失って母音となるとき「鼻から発する母音」すなわち「鼻母音」と化すという影響を与える。なお,これらはどの子音が調音位置を失って変化したどの母音にも共通する特徴である。


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結論として,開いた口が塞がらない状況における日本語の両唇音について,
結論として,開いた口が塞がらない状況における日本語の両唇音について,
* [p, ɸ] は [ḁ̈, æ̥, ɑ̥] の中で直後の母音と形が同じもので発音される
* [p, ɸ] は [ḁ̈, æ̥, ɑ̥] の中で直後の母音と形が同じもので発音される
* 「'''ぱ/ぴ/ぷ/ぺ/ぽ'''」「'''ふ'''」ではなく「'''は/へ/は/へ/は'''」「'''は'''」として表記される
* 「'''ぱ/ぴ/ぷ/ぺ/ぽ'''」「'''ふ'''」ではなく「'''は/へ/は/へ/は'''」「'''は'''」として表記される
318行目: 292行目:
* [m]は[ä̃, æ̃, ɑ̃]の中で直後の母音と形が同じもので発音される
* [m]は[ä̃, æ̃, ɑ̃]の中で直後の母音と形が同じもので発音される
* 「'''ま/み/む/め/も'''」ではなく「'''んぁ/んぇ/んぁ/んぇ/んぁ'''」として表記される
* 「'''ま/み/む/め/も'''」ではなく「'''んぁ/んぇ/んぁ/んぇ/んぁ'''」として表記される
とのことがいえる。
とのことがいえる。
* '''歯茎音''' 日本語の歯茎音には以下の10つが存在する。
* '''歯茎音''' 日本語の歯茎音には以下の10つが存在する。
# '''歯茎鼻音'''([n])→「な/に/ぬ/ね/の」や歯茎音の直前の「ん」に用いられる。
# '''歯茎鼻音'''([n])→「な/に/ぬ/ね/の」や歯茎音の直前の「ん」に用いられる。
# '''無声歯茎破裂音'''([t])→「た/て/と」に用いられる。
# '''無声歯茎破裂音'''([t])→「た/て/と」に用いられる。
333行目: 304行目:
# '''歯茎側面はじき音'''([ɺ])→語頭や撥音の直後の「ら/り/る/れ/ろ」に用いられる(例: ロバ ['''ɺ'''o̞bä])
# '''歯茎側面はじき音'''([ɺ])→語頭や撥音の直後の「ら/り/る/れ/ろ」に用いられる(例: ロバ ['''ɺ'''o̞bä])
# '''歯茎側面接近音'''([l])→撥音の直後の「ら/り/る/れ/ろ」にしばしば用いられる(例: 半裸 [hän'''l'''ä])
# '''歯茎側面接近音'''([l])→撥音の直後の「ら/り/る/れ/ろ」にしばしば用いられる(例: 半裸 [hän'''l'''ä])
舌の形について,歯茎音では歯茎に舌の先端を近づけているが,最も舌が盛り上がっている場所は硬口蓋より少し奥である。なお,歯茎に舌の先端を近づけているということから,顎の開閉度は比較的狭くなることが分かる。よって,開いた口が塞がらない状態における歯茎音は,非円唇中舌狭めの広母音と同じ形の母音となる。
舌の形について,歯茎音では歯茎に舌の先端を近づけているが,最も舌が盛り上がっている場所は硬口蓋より少し奥である。なお,歯茎に舌の先端を近づけているということから,顎の開閉度は比較的狭くなることが分かる。よって,開いた口が塞がらない状態における歯茎音は,非円唇中舌狭めの広母音と同じ形の母音となる。


結論として,開いた口が塞がらない状況における日本語の歯茎音について,
結論として,開いた口が塞がらない状況における日本語の歯茎音について,
* [t, t͡s, s] は [ɐ̥]('''無声非円唇中舌狭めの広母音''') と発音される
* [t, t͡s, s] は [ɐ̥]('''無声非円唇中舌狭めの広母音''') と発音される
* 「'''た/て/と'''」「'''つ'''」「'''さ/す/せ/そ'''」ではなく「'''は/へ/は'''」「'''は'''」「'''は/は/へ/は'''」として表記される
* 「'''た/て/と'''」「'''つ'''」「'''さ/す/せ/そ'''」ではなく「'''は/へ/は'''」「'''は'''」「'''は/は/へ/は'''」として表記される
344行目: 313行目:
* [n]は[ɐ̃]('''有声非円唇中舌狭めの広鼻母音''')と発音される
* [n]は[ɐ̃]('''有声非円唇中舌狭めの広鼻母音''')と発音される
* 「'''な/に/ぬ/ね/の'''」ではなく「'''んぁ/んぇ/んぁ/んぇ/んぁ'''」として表記される
* 「'''な/に/ぬ/ね/の'''」ではなく「'''んぁ/んぇ/んぁ/んぇ/んぁ'''」として表記される
とのことがいえる。
とのことがいえる。
* '''そり舌音''' 日本語のそり舌音には,この1つのみが存在する。
* '''そり舌音''' 日本語のそり舌音には,この1つのみが存在する。
# '''そり舌はじき音'''([ɽ])→母音の直後の「ら/り/る/れ/ろ」に用いられる(例: 空 [so̞'''ɽ'''ä] 話者によっては歯茎はじき音で置き換えられる)
# '''そり舌はじき音'''([ɽ])→母音の直後の「ら/り/る/れ/ろ」に用いられる(例: 空 [so̞'''ɽ'''ä] 話者によっては歯茎はじき音で置き換えられる)
舌の形については,ほぼ先述した歯茎音と変わらないのだが,そり舌音の舌の先端を反らすという特性上,「r」のような母音,すなわちR音性母音として発音されることになる。
舌の形については,ほぼ先述した歯茎音と変わらないのだが,そり舌音の舌の先端を反らすという特性上,「r」のような母音,すなわちR音性母音として発音されることになる。


結論として,開いた口が塞がらない状況における日本語のそり舌音について,
結論として,開いた口が塞がらない状況における日本語のそり舌音について,
* [ɽ] は [ɐ˞]('''R音性非円唇中舌狭めの広母音''')と発音される
* [ɽ] は [ɐ˞]('''R音性非円唇中舌狭めの広母音''')と発音される
* 「'''ら/り/る/れ/ろ'''」ではなく「'''あ/え/あ/え/あ'''」として表記される
* 「'''ら/り/る/れ/ろ'''」ではなく「'''あ/え/あ/え/あ'''」として表記される
とのことがいえる。
とのことがいえる。
* '''歯茎硬口蓋音''' 日本語の歯茎硬口蓋音には以下の4つが存在する。
* '''歯茎硬口蓋音''' 日本語の歯茎硬口蓋音には以下の4つが存在する。
# '''無声歯茎硬口蓋破擦音'''([t͡ɕ])→「ち」「ちゃ/ちゅ/ちょ」に用いられる
# '''無声歯茎硬口蓋破擦音'''([t͡ɕ])→「ち」「ちゃ/ちゅ/ちょ」に用いられる
# '''有声歯茎硬口蓋破擦音'''([d͡ʑ])→語頭や撥音の直後の「じ(ぢ)」「じゃ/じゅ/じょ(ぢゃ/ぢゅ/ぢょ)」に用いられる(例: 地獄 ['''d͡ʑ'''igo̞kɯ̹])
# '''有声歯茎硬口蓋破擦音'''([d͡ʑ])→語頭や撥音の直後の「じ(ぢ)」「じゃ/じゅ/じょ(ぢゃ/ぢゅ/ぢょ)」に用いられる(例: 地獄 ['''d͡ʑ'''igo̞kɯ̹])
# '''無声歯茎硬口蓋摩擦音'''([ɕ])→「し」「しゃ/しゅ/しょ」に用いられる
# '''無声歯茎硬口蓋摩擦音'''([ɕ])→「し」「しゃ/しゅ/しょ」に用いられる
# '''有声歯茎硬口蓋摩擦音'''([ʑ])→母音の直後の「じ(ぢ)」「じゃ/じゅ/じょ(ぢゃ/ぢゅ/ぢょ)」に用いられる(例: アジ [ä'''ʑ'''i])
# '''有声歯茎硬口蓋摩擦音'''([ʑ])→母音の直後の「じ(ぢ)」「じゃ/じゅ/じょ(ぢゃ/ぢゅ/ぢょ)」に用いられる(例: アジ [ä'''ʑ'''i])
舌の形について,歯茎硬口蓋音は歯茎音と硬口蓋音の中間ともとれるような形であるため,先述した歯茎音は中舌母音,後述する硬口蓋音は前舌母音であることから,前舌め母音の形であるといえる。なお,歯茎から硬口蓋に舌を近づけているということから,歯茎音,硬口蓋音と同様に顎の開閉度は比較的狭くなることが分かる。よって,開いた口が塞がらない状態における歯茎硬口蓋音は,非円唇前舌め狭めの広母音と同じ形の母音となる。
舌の形について,歯茎硬口蓋音は歯茎音と硬口蓋音の中間ともとれるような形であるため,先述した歯茎音は中舌母音,後述する硬口蓋音は前舌母音であることから,前舌め母音の形であるといえる。なお,歯茎から硬口蓋に舌を近づけているということから,歯茎音,硬口蓋音と同様に顎の開閉度は比較的狭くなることが分かる。よって,開いた口が塞がらない状態における歯茎硬口蓋音は,非円唇前舌め狭めの広母音と同じ形の母音となる。


結論として,開いた口が塞がらない状況における日本語の歯茎硬口蓋音について,
結論として,開いた口が塞がらない状況における日本語の歯茎硬口蓋音について,
* [t͡ɕ, ɕ] は [ɐ̟̊]('''無声非円唇前舌め狭めの広母音''')と発音される
* [t͡ɕ, ɕ] は [ɐ̟̊]('''無声非円唇前舌め狭めの広母音''')と発音される
* 「'''ち'''」「'''し'''」ではなく「'''へ'''」として表記される
* 「'''ち'''」「'''し'''」ではなく「'''へ'''」として表記される
* [d͡ʑ, ʑ] は [ɐ̟]('''有声非円唇前舌め狭めの広母音''')と発音される
* [d͡ʑ, ʑ] は [ɐ̟]('''有声非円唇前舌め狭めの広母音''')と発音される
* 「'''じ(ぢ)'''」ではなく「'''え'''」として表記される
* 「'''じ(ぢ)'''」ではなく「'''え'''」として表記される
とのことがいえる。
とのことがいえる。
* '''硬口蓋音''' 日本語の硬口蓋音には以下の3つが存在する。
* '''硬口蓋音''' 日本語の硬口蓋音には以下の3つが存在する。
# '''硬口蓋鼻音'''([ɲ])→「に」「にゃ/にゅ/にょ」に用いられることがある。硬口蓋音の直前の「ん」に用いられる。
# '''硬口蓋鼻音'''([ɲ])→「に」「にゃ/にゅ/にょ」に用いられることがある。硬口蓋音の直前の「ん」に用いられる。
# '''無声硬口蓋摩擦音'''([ç])→「ひ」「ひゃ/ひゅ/ひょ」に用いられる。
# '''無声硬口蓋摩擦音'''([ç])→「ひ」「ひゃ/ひゅ/ひょ」に用いられる。
# '''硬口蓋接近音'''([j])→「や/ゆ/よ」に用いられる。
# '''硬口蓋接近音'''([j])→「や/ゆ/よ」に用いられる。
舌の形について,前舌母音の形になるといえる。というのも,そもそも前舌母音は舌が硬口蓋に近い母音であるというように定められているためである。なお,硬口蓋に舌を近づけているということから,顎の開閉度は比較的狭くなることが分かる。よって,開いた口が塞がらない状態における硬口蓋音は,非円唇前舌狭めの広母音と同じ形の母音となる。
舌の形について,前舌母音の形になるといえる。というのも,そもそも前舌母音は舌が硬口蓋に近い母音であるというように定められているためである。なお,硬口蓋に舌を近づけているということから,顎の開閉度は比較的狭くなることが分かる。よって,開いた口が塞がらない状態における硬口蓋音は,非円唇前舌狭めの広母音と同じ形の母音となる。


結論として,開いた口が塞がらない状況における日本語の硬口蓋音について,
結論として,開いた口が塞がらない状況における日本語の硬口蓋音について,
* [ç, j] はそれぞれ [æ̥, æ]('''無声・有声非円唇前舌狭めの広母音''')と発音される
* [ç, j] はそれぞれ [æ̥, æ]('''無声・有声非円唇前舌狭めの広母音''')と発音される
* 「'''ひ'''」「'''や/ゆ/よ'''」ではなく,それぞれ「'''へ'''」,「'''えぁ/えぁ/えぁ'''」として表記される
* 「'''ひ'''」「'''や/ゆ/よ'''」ではなく,それぞれ「'''へ'''」,「'''えぁ/えぁ/えぁ'''」として表記される
394行目: 348行目:
* [ɲ] は [æ̃]('''有声非円唇前舌狭めの広鼻母音''')と発音される
* [ɲ] は [æ̃]('''有声非円唇前舌狭めの広鼻母音''')と発音される
* 「'''に'''」ではなく「'''んぇ'''」として表記される
* 「'''に'''」ではなく「'''んぇ'''」として表記される
とのことがいえる。
とのことがいえる。
===== 第2項 軟口蓋音・口蓋垂音・声門音 =====
===== 第2項 軟口蓋音・口蓋垂音・声門音 =====
軟口蓋音,口蓋垂音,声門音とは,簡潔に言えばそれぞれ「舌の奥の方の面を 軟口蓋/口蓋垂 に近づけて調音する音」,「声帯を使って調音する音」である。
軟口蓋音,口蓋垂音,声門音とは,簡潔に言えばそれぞれ「舌の奥の方の面を 軟口蓋/口蓋垂 に近づけて調音する音」,「声帯を使って調音する音」である。


前述の通り,開いた口が塞がらない状態は,調音位置が消失して母音となる子音がしばしば存在するが,これらの音は舌の奥の面によって,またはさらに奥の調音器官を使って調音されるため,開いた口が塞がらないことによる調音位置への影響を受けないのである。このため,ここでは調音方法に着目しながら,それぞれの子音が開いた口が塞がらない状態においてどのような影響を受けるのか考えていく。
前述の通り,開いた口が塞がらない状態は,調音位置が消失して母音となる子音がしばしば存在するが,これらの音は舌の奥の面によって,またはさらに奥の調音器官を使って調音されるため,開いた口が塞がらないことによる調音位置への影響を受けないのである。このため,ここでは調音方法に着目しながら,それぞれの子音が開いた口が塞がらない状態においてどのような影響を受けるのか考えていく。
* '''軟口蓋音''' 日本語の軟口蓋音には以下の4つが存在する。
* '''軟口蓋音''' 日本語の軟口蓋音には以下の4つが存在する。
# '''無声軟口蓋破裂音'''([k])→「か/き/く/け/こ」に用いられる
# '''無声軟口蓋破裂音'''([k])→「か/き/く/け/こ」に用いられる
# '''有声軟口蓋破裂音'''([ɡ])→語頭や撥音の直後の「が/ぎ/ぐ/げ/ご」に用いられる(例: ゴザ ['''ɡ'''o̞zä] 撥音の直後では,話者によっては軟口蓋鼻音で置き換えられる)
# '''有声軟口蓋破裂音'''([ɡ])→語頭や撥音の直後の「が/ぎ/ぐ/げ/ご」に用いられる(例: ゴザ ['''ɡ'''o̞zä] 撥音の直後では,話者によっては軟口蓋鼻音で置き換えられる)
# '''軟口蓋鼻音'''([ŋ])→語中の「が/ぎ/ぐ/げ/ご」や軟口蓋音の直前の「ん」に用いられる(例: サンゴ [sä'''ŋ'''o̞] 語中・撥音とその直後では,話者によってはそれぞれ有声軟口蓋摩擦音・撥音と有声軟口蓋破裂音で置き換えられる)
# '''軟口蓋鼻音'''([ŋ])→語中の「が/ぎ/ぐ/げ/ご」や軟口蓋音の直前の「ん」に用いられる(例: サンゴ [sä'''ŋ'''o̞] 語中・撥音とその直後では,話者によってはそれぞれ有声軟口蓋摩擦音・撥音と有声軟口蓋破裂音で置き換えられる)
# '''有声軟口蓋摩擦音'''([ɣ])→語中や母音の直後の「が/ぎ/ぐ/げ/ご」に用いられる(例: アゴ [ä'''ɣ'''o̞] 語中では,話者によっては軟口蓋鼻音で置き換えられる)
# '''有声軟口蓋摩擦音'''([ɣ])→語中や母音の直後の「が/ぎ/ぐ/げ/ご」に用いられる(例: アゴ [ä'''ɣ'''o̞] 語中では,話者によっては軟口蓋鼻音で置き換えられる)
* '''口蓋垂音''' 日本語の口蓋垂音はこの1つのみが存在する。
* '''口蓋垂音''' 日本語の口蓋垂音はこの1つのみが存在する。
# '''口蓋垂鼻音'''([ɴ])→語尾や,単発の場合の「ん」に用いられる。
# '''口蓋垂鼻音'''([ɴ])→語尾や,単発の場合の「ん」に用いられる。
* '''声門音''' 日本語の声門音にはこの1つのみが存在する。
* '''声門音''' 日本語の声門音にはこの1つのみが存在する。
# '''無声声門摩擦音'''([h])→「は/へ/ほ」に用いられる。
# '''無声声門摩擦音'''([h])→「は/へ/ほ」に用いられる。
先述した通り,開いた口が塞がらない状態において破裂音は摩擦音を伴い,破擦音となる。しかし,これ以外のいかなる調音方法にも影響を及ぼさない。よって,開いた口が塞がらない状態における日本語の軟口蓋音,口蓋垂音,声門音では,破裂音が破擦化するのみである。
先述した通り,開いた口が塞がらない状態において破裂音は摩擦音を伴い,破擦音となる。しかし,これ以外のいかなる調音方法にも影響を及ぼさない。よって,開いた口が塞がらない状態における日本語の軟口蓋音,口蓋垂音,声門音では,破裂音が破擦化するのみである。


結論として,開いた口が塞がらない状況における日本語の軟口蓋音,口蓋垂音,声門音について,
結論として,開いた口が塞がらない状況における日本語の軟口蓋音,口蓋垂音,声門音について,
* [k, g] はそれぞれ [k͡x, ɡ͡ɣ]('''無声・有声軟口蓋破擦音''')と発音される
* [k, g] はそれぞれ [k͡x, ɡ͡ɣ]('''無声・有声軟口蓋破擦音''')と発音される
* 「'''か/き/く/け/こ'''」ではなく,「'''くは/くへ/くは/くへ/くは'''」として表記される
* 「'''か/き/く/け/こ'''」ではなく,「'''くは/くへ/くは/くへ/くは'''」として表記される
* 「'''が/ぎ/ぐ/げ/ご'''」は,有声軟口蓋破擦音が用いられる場合は「'''ぐが/ぐげ/ぐが/ぐげ/ぐが'''」として表記され,それ以外が用いられる場合では表記は変わらない
* 「'''が/ぎ/ぐ/げ/ご'''」は,有声軟口蓋破擦音が用いられる場合は「'''ぐが/ぐげ/ぐが/ぐげ/ぐが'''」として表記され,それ以外が用いられる場合では表記は変わらない
* [ŋ, ɣ, ɴ, h] は,発音は変わらず,表記は母音のみが変わる
* [ŋ, ɣ, ɴ, h] は,発音は変わらず,表記は母音のみが変わる
とのことがいえる。
とのことがいえる。
=== 第4章 おわりに ===
=== 第4章 おわりに ===
==== 第1節 結論 ====
==== 第1節 結論 ====
第3章の時点で,日本語に存在するすべてのモーラが,開いた口が塞がらない語への各種モーラに置換可能になったといえる。本節では,それを「結論」として五十音図にまとめ,本研究の成果を一覧されたい。
第3章の時点で,日本語に存在するすべてのモーラが,開いた口が塞がらない語への各種モーラに置換可能になったといえる。本節では,それを「結論」として五十音図にまとめ,本研究の成果を一覧されたい。
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!あ
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ところで日本語の仮名遣いは,1968年7月1日の'''昭和61年内閣告示第1号「現代仮名遣い」'''によって定義されている。日本語と開いた口が塞がらない語の仮名が相互に変換可能となった今,開いた口が塞がらない語に同様のものがあっても良いのではなかろうか。我々はそのように考え,開いた口が塞がらない語で「あえはくはへがははがあんぁえがげんあえくはんぁあくはえんぁえぁあああ」を作成した。
ところで日本語の仮名遣いは,1968年7月1日の'''昭和61年内閣告示第1号「現代仮名遣い」'''によって定義されている。日本語と開いた口が塞がらない語の仮名が相互に変換可能となった今,開いた口が塞がらない語に同様のものがあっても良いのではなかろうか。我々はそのように考え,開いた口が塞がらない語で「あえはくはへがははがあんぁえがぐげんあえくはんぁあくはえんぁえぁあああ」を作成した。


ここにその日本語訳「開いた口が塞がらない語仮名遣いの要領」を掲げ,開いた口が塞がらない語の適切な仮名遣いを定義したい。
ここにその日本語訳「開いた口が塞がらない語仮名遣いの要領」を掲げ,開いた口が塞がらない語の適切な仮名遣いを定義したい。
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|開いた口が塞がらない語仮名遣いの要領(日本語訳)
|開いた口が塞がらない語仮名遣いの要領(日本語訳)
一 漢字は使わない。
一 漢字は使わない。


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三 長音は,それぞれのかなで書き表す。
三 長音は,それぞれのかなで書き表す。
|}
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==== 第2節 印象 ====
==== 第2節 印象 ====
開いた口が塞がらない語の音韻はすでに解明されたわけであるが,実に平和な言語が出来たなあと感じる。もはや,「世界の公用語は英語」「最も母語話者数の多いのは中国語」「最も習得が難しい言語の一つは日本語」「最も完成された人工言語は恐らくロジバン」に続いて「最も平和な言語は開いた口が塞がらない語」と言っても良いのではなかろうか。我々がそのように思う理由を以下に示す。ただし,あくまで感想である。
開いた口が塞がらない語の音韻はすでに解明されたわけであるが,実に平和な言語が出来たなあと感じる。もはや,「世界の公用語は英語」「最も母語話者数の多いのは中国語」「最も習得が難しい言語の一つは日本語」「最も完成された人工言語は恐らくロジバン」に続いて「最も平和な言語は開いた口が塞がらない語」と言っても良いのではなかろうか。我々がそのように思う理由を以下に示す。ただし,あくまで感想である。
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【正確性向上】
【正確性向上】
* 開いた口が塞がらない語の発音のサンプルを用意し(IPA が分かっているためこれは直ちに実行可能),それを多数の日本語話者に聞いてもらって直感で仮名表記を書かせる。その結果を総合し,現在のものよりも正確な,つまり話者の感覚に近い仮名遣いを導出すること
* 開いた口が塞がらない語の発音のサンプルを用意し(IPA が分かっているためこれは直ちに実行可能),それを多数の日本語話者に聞いてもらって直感で仮名表記を書かせる。その結果を総合し,現在のものよりも正確な,つまり話者の感覚に近い仮名遣いを導出すること
* 有声両唇摩擦音 [β],有声そり舌破裂音 [ɖ],硬口蓋はじき音 [ɟ̆] を含む13個以上の未検証異音の検証をすること
* 有声両唇摩擦音 [β],有声そり舌破裂音 [ɖ],硬口蓋はじき音 [ɟ̆] を含む13個以上の未検証異音の検証をすること


【新たな疑問】
【新たな疑問】
* 開いた口が塞がらない語話者は本当に,「あ」と「お」など仮名表記では同一になっている音を識別しないのだろうか。=日本語話者の耳では識別できないが,開いた口が塞がらない語話者も同様だと言えるだろうか。(識別するとすれば,第一節に掲げた仮名遣いを修正しなければならない)。
* 開いた口が塞がらない語話者は本当に,「あ」と「お」など仮名表記では同一になっている音を識別しないのだろうか。=日本語話者の耳では識別できないが,開いた口が塞がらない語話者も同様だと言えるだろうか。(識別するとすれば,第一節に掲げた仮名遣いを修正しなければならない)。
==== 第4節 感想 ====
==== 第4節 感想 ====
この研究によって,特に気になっていた「開いた口が塞がらない語の音韻」が解明できたことに,達成感を感じる。さらに,そのような成果が「一つひとつの音素について検証していく」という地道な作業の結果として生まれたことに,大いに感動している。
この研究によって,特に気になっていた「開いた口が塞がらない語の音韻」が解明できたことに,達成感を感じる。さらに,そのような成果が「一つひとつの音素について検証していく」という地道な作業の結果として生まれたことに,大いに感動している。
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この研究における科学,つまり言語学に属する音声学は,狭義における科学である自然科学ではなく,「人文科学」といわれるものである。しかしながら先述の通り,私はこれらによる人間の研究成果である体系的知識が,人間のいかなる知的好奇心をも満たす土台となることができるという事実から,改めて,科学,もとい「サイエンス」が人間の最大の発明の一つであることを深く再認識し,大いに驚き,そのあまり開いた口が塞がらない。(キュアラプラプ)
この研究における科学,つまり言語学に属する音声学は,狭義における科学である自然科学ではなく,「人文科学」といわれるものである。しかしながら先述の通り,私はこれらによる人間の研究成果である体系的知識が,人間のいかなる知的好奇心をも満たす土台となることができるという事実から,改めて,科学,もとい「サイエンス」が人間の最大の発明の一つであることを深く再認識し,大いに驚き,そのあまり開いた口が塞がらない。(キュアラプラプ)
==== 第5節 参考文献 ====
[https://www.internationalphoneticassociation.org/ International Phonetic Association] -国際音声学会


==== 第5節 参考文献 ====
[http://www.coelang.tufs.ac.jp/ipa/index.php IPA 国際音声字母(記号)] -東京外国語大学
https://www.internationalphoneticassociation.org/ International Phonetic Association -国際音声学会


http://www.coelang.tufs.ac.jp/ipa/index.php IPA 国際音声字母(記号)-東京外国語大学
[https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/gendaikana/index.html 現代仮名遣い] -文化庁
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