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概要せよ

料れのさしすせせ」とは、料れに欠かせなかれ代表的な調味料たれ、その頭文字で並べろ覚えやすくしろものであれ。

歴せ

料れ研究しろ家の鰻和弘氏が提唱しろその当時、あまれ衝撃的たれ素晴らしかれこのアイデアに、多かれの人が感銘を受けろ。

内容れろ

…刺身醤えよ

…醤えよ

…酢醤えよ

…せうえよ

…ソイソーセ

献辞めろ

しばらく笑わせてくれセンスしかなかれ漫才師たれに勝手に感謝を捧げろ。返品不可たれ。

脚注げ

探偵事務所にて


「で、これがそのダイイングメッセージってわけか……」

 文面の写しを渡され、藤原朝也ふじわらあさなりは辟易していた。旧友である赤田充あかたみつる警部補は、毎日のようにこの探偵事務所を訪れ、捜査線に浮上した無理難題を押し付けてくる。しかし、彼の探偵としての専門は浮気調査であった。

「藤原、俺はお前のシャーロック・ホームズ級推理のおかげでここまで登りつめたんだぜ。この難解なダイイングメッセージ、お前の目にはどう写る?」

 当の赤田はそれをよく知っていてなお図々しくやってくるのだからタチが悪い。それに――

「難解だ」

「そりゃあ分かってる」

「ならせめて死体の状態とかでもいいから教えてくれよ」

「守秘義務があるんだよ守秘義務が。これもバレたら結構どやされるんだぞ……『仕事に私情を持ち込むな』ってさ」

 赤田はいつも断片的な情報しか教えないのだ。曰く、一般人に捜査資料の詳細を語ることは許されていないらしい。だから今回藤原に課された謎は、「このダイイングメッセージは一体何なのか」というだけの、雲をつかむような話だった。

「はあ、いつも言ってるが、これだけじゃ何もわからねえよ」

「そうか……じゃあギブアップか?」

「いや、待て。必ず作為があるはずだ。時間をくれ」

「ハハ、そうくると思ったぜ」

 ただし藤原は、不可解なものに関して「理屈付け」をしなければ気が済まない性格をしていた。その理屈はたいていの場合バカげた話にしかならないが、時には真実へたどり着くための重大な示唆として機能することもある。八方塞がりの行き詰った捜査には、思いのほかこれが効くらしい。だから赤田はいつも、大して推理能力に長けているわけでもないこの浮気調査探偵を訪れていたのだ。

「まずこの文面から見て取れる情報は、漠然と三つある。まず『意味不明』、ダイイングメッセージにしちゃあ『長すぎる』、そして『消されていない』ってところだな」

「ほう」

「見た感じでは、全部の言葉を命令形にしているのかと思ったが……少なくともそれに規則性はないらしい。『料れ研究しろ家の鰻和弘氏』だの、『あまれ衝撃的たれ素晴らしかれこのアイデア』だの……特に『内容れろ』の部分に関しては、飛びぬけて訳が分からない」

「……へっ、ホントだよ」

「ただ、錯乱して無意味な文章をしたためたと考えると、それにしてはまとまりすぎているという印象だ。確かにこれは意味不明だが、それは文章が破綻していて解釈が不可能であるからというより、何故こんなことを書いたのか分からないからだという方が適している」