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椿を巻き込まぬよう、距離を取ってから力を発動しないと。だが葵を見失いかねないから、早くしなければ。大通りに駆け出た。煌びやかな明かりに包まれ、多くの人や車が行き交っている。 | 椿を巻き込まぬよう、距離を取ってから力を発動しないと。だが葵を見失いかねないから、早くしなければ。大通りに駆け出た。煌びやかな明かりに包まれ、多くの人や車が行き交っている。 | ||
車線の位置からして、葵を連れ去った車は、国道330号線を北に走っているはずだ。巨人の歩幅になれば、追いつける。 | 車線の位置からして、葵を連れ去った車は、国道330号線を北に走っているはずだ。巨人の歩幅になれば、追いつける。 | ||
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見間違いか? いや、確かに、動いている。この時、雅登は初めて巨人の細部を観察した。巨人は長い腕と太い胴、同じくらい太い脚があり、人の頭に当たる部分はない。まるで首を斬られたようだ。車やビルから飛んできたであろう事務用品、看板、タンク……。大量のものがモザイク画のように集まり、20mほどの巨体を形作っている。連結部分が引きちぎれたモノレールの車両2つが両腕の骨となり、それをさらにたくさんのものが覆っている。脚は、主に潰れた車からなる塊だ。ガソリンに火がついたのか、ちらちらと炎が覗いている。胴には電線が巻きつき、青い火花が散っていた。鬼神。そんな言葉が浮かんだ。 | 見間違いか? いや、確かに、動いている。この時、雅登は初めて巨人の細部を観察した。巨人は長い腕と太い胴、同じくらい太い脚があり、人の頭に当たる部分はない。まるで首を斬られたようだ。車やビルから飛んできたであろう事務用品、看板、タンク……。大量のものがモザイク画のように集まり、20mほどの巨体を形作っている。連結部分が引きちぎれたモノレールの車両2つが両腕の骨となり、それをさらにたくさんのものが覆っている。脚は、主に潰れた車からなる塊だ。ガソリンに火がついたのか、ちらちらと炎が覗いている。胴には電線が巻きつき、青い火花が散っていた。鬼神。そんな言葉が浮かんだ。 | ||
そして、その腕がゆっくりと上がってきている。雅登は、ホームにへたり込んだまま、巨人を見つめていた。腕が地面と並行にまで上がったとき、唐突に腕が横に走った。轟音とともに、ビルが砕け、コンクリートの欠片が散る。わずかに遅れてホームが揺れる。そこで、雅登は我に返った。巨人は、破壊行為をしている。ここは、危険だ。慌てて立ち上がると、雅登は断続的に襲ってくる揺れに怯えながら、階段を下りていった。 | |||
{{誓いのスタブ|署名=--[[利用者:Notorious|Notorious]] ([[利用者・トーク:Notorious|トーク]]) 2年11月10日 (I) 21:41 (JST)}} |
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