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 ウソツさんがニ番目だとすると、『ウソツさんの二つ前の人』が存在しなくなるのであり得ない。五番目だとすると、『ウソツさんの二つ前の人』である世哉おじさんは、やっぱりミルクではなくコーヒーを飲んでいるのであり得ない。ウソツさんが六番目だとしても、さっきと同様にコノイエさんと秋ちゃんの前後関係が成り立たなくなるからあり得ない。
 ウソツさんがニ番目だとすると、『ウソツさんの二つ前の人』が存在しなくなるのであり得ない。五番目だとすると、『ウソツさんの二つ前の人』である世哉おじさんは、やっぱりミルクではなくコーヒーを飲んでいるのであり得ない。ウソツさんが六番目だとしても、さっきと同様にコノイエさんと秋ちゃんの前後関係が成り立たなくなるからあり得ない。


 さて、これで、{{傍点|文章=ママの直前の人が世哉おじさんであるとき}}の全ての場合が成立しないことが分かった。ということで、今度は{{傍点|文章=ママの直前の人がウソツさんであるとき}}を考えましょう。あと、さっきは直後の人が確定していたから考慮しなかったけど、世哉おじさんの帰り際に、パパはコーヒーの粉を片付けている。このことから、{{傍点|文章=世哉おじさんの直後の人はコーヒーを飲んでいない}}ことが分かるわね。粉はコーヒーを淹れるのに毎回必要になるんだから、次もコーヒーを淹れなきゃならないってときに片付けるなんて非合理的よ。パパはそこまでクレイジーな人じゃないわ。
 さて、これで、{{傍点|文章=ママの直前の人が世哉おじさんであるとき}}の全ての場合が成立しないことが分かった。ということで、今度は{{傍点|文章=ママの直前の人がウソツさんであるとき}}だけど……覚えてる? 世哉おじさんとウソツさんの条件はほとんど同じなの。どっちもコーヒーを飲んでるし、どっちも二つ前の人がミルクを飲んでいる。――世哉おじさんの順番としてあり得るものは、この二つによって絞り込まれたわよね。当然、ママの条件は共通。だから、世哉おじさんさんの順番に関しても、ウソツさんの直前、それか一番最後、この二つにまで絞れるわ。すると結局、どちらの場合でもコノイエさんと秋ちゃんの前後関係が成立しなくなる。」
 
 で、ママの直前の人がウソツさんであるときだけど……覚えてる? 世哉おじさんとウソツさんの条件はほとんど同じなの。どっちもコーヒーを飲んでるし、どっちも二つ前の人がミルクを飲んでいる。――世哉おじさんの順番としてあり得るものは、この二つによって絞り込まれたわよね。当然、ママの条件は共通。だから、世哉おじさんさんの順番に関しても、ウソツさんの直前、それか一番最後、この二つにまで絞れるわ。すると結局、どちらの場合でもコノイエさんと秋ちゃんの前後関係が成立しなくなる。それに世哉おじさんがウソツさんの直前である場合に関しては、そもそも世哉おじさんの直後の人はコーヒーを飲んでいないんだから、そこにコーヒーを飲んだウソツさんがいる時点でおかしいのが分かるわね。」


「うむ……ん? でもこれだと……」
「うむ……ん? でもこれだと……」
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卦伊佐は首を傾げた。しかしその佇まいは完全に喧嘩の前に首の骨をパキパキするやべえ奴だったので、みんな普通にビビった。
卦伊佐は首を傾げた。しかしその佇まいは完全に喧嘩の前に首の骨をパキパキするやべえ奴だったので、みんな普通にビビった。


 「そ、そうよ。ママの直前に人がいるとき、全ての場合で矛盾が発生する。ということは必然的に、ママの直前には誰もいなかった……つまり、{{傍点|文章=ママは一番最初の人だった}}ということになる。『直前に出された飲み物がミルクではない』――これは『直前に出された飲み物がコーヒーである』というだけでなく、『直前に出された飲み物が{{傍点|文章=無い}}』」という可能性も含んでいるもの。
「そ、そうよ。ママの直前に人がいるとき、全ての場合で矛盾が発生する。ということは必然的に、ママの直前には誰もいなかった……つまり、{{傍点|文章=ママは一番最初の人だった}}ということになる。『直前に出された飲み物がミルクではない』――これは『直前に出された飲み物がコーヒーである』というだけでなく、『直前に出された飲み物が{{傍点|文章=無い}}』」という可能性も含んでいるもの。
 
 ママが一番最初の人であることから、ママの直後の『コーヒーを飲んだ誰か』がコノイエさんで確定するわ。コーヒーを飲んだ人には、他にも世哉おじさんとウソツさんがいるけど、彼らには『二つ前の人がミルクを飲んでいる』という条件がある。さっきも言ったように、『ニ番目の人の二つ前』なんてあり得ないものね。
 
 コノイエさんの直後は秋ちゃんだから、ドミノ倒しで最初の三人が確定するわね。一番目の人は『ミルクを飲んだママ』、ニ番目の人は『コーヒーを飲んだコノイエさん』、三番目の人は『ミルクを飲んだ秋ちゃん』。で、残っているのは世哉おじさん、ウソツさん、凱兄の三人。こうなると、四番目の人も確定できるわ。四番目の人の二つ前――つまりニ番目の人は、『コーヒーを飲んだコノイエさん』。二つ前の人がミルクを飲んでいる世哉おじさんとウソツさんは四番目の人ではあり得ないから、ここには凱兄が入るわね。
 
 五、六番目の人の二つ前は、それぞれ『ミルクを飲んだ秋ちゃん』と『ミルクを飲んだ凱兄』となる。矛盾はないから、あとは世哉おじさんとウソツさんの順番ね。――さっきは直後の人が確定していたから考慮しなかったけど、世哉おじさんの帰り際に、パパはコーヒーの粉を片付けている。このことから、{{傍点|文章=世哉おじさんの直後の人はコーヒーを飲んでいない}}ことが分かるわね。粉はコーヒーを淹れるのに毎回必要になるんだから、次もコーヒーを淹れなきゃならないってときに片付けるなんて非合理的よ。パパはそこまでクレイジーな人じゃないわ。
 
 とすると、世哉おじさんの直後にウソツさんが来る順番はあり得ない。つまり世哉おじさんは、{{傍点|文章=一番最後の人だと確定する}}わ。『直後に出された飲み物がコーヒーではない』――これは『直後に出された飲み物がミルクである』というだけでなく、『直後に出された飲み物が{{傍点|文章=無い}}』」という可能性も含んでいる。さっきと同じような話よ。
 
 ――だから順番は、最初に言ったように『ママ、コノイエさん、秋ちゃん、凱兄、ウソツさん、世哉おじさん』の並びになるってわけ。」
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