「利用者:キュアラプラプ/サンドボックス/戊」の版間の差分

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「……どうしたの?」
「……どうしたの?」


「さっきわたしのまわりにいたハエ、ちょっとずつわたしをかじっていたの。」
「さっきわたしのまわりにいたハエね、小鳥さんがねむってたあいだに、ずっとわたしをかじっていたの。」


「え……。」
「え……?」


「気もちわるかった。じぶんのりんかくがぐちゃぐちゃにされていくみたいで。」
「気もちわるかった。にげることもさけぶこともできずに、じぶんがぐちゃぐちゃにされていくのをずっとみていた。」


「……。」
「そ、そんな……。」


「わたし、ああやって食べられるのはぜったいにいや。だから、その……よければわたしを……」
「……わたし、あんなふうに食べられて、なくなっちゃうのはぜったいにいや。だから、その……。よ、よければわたしを――」


お日さまがようやくのぼりはじめて、空の下の方がきいろくかがやきはじめました。
お日さまがようやくのぼりはじめて、空の下の方がきいろくかがやきはじめました。しめってゆがんだいちごのすがたが、うすあかりにてらし出されます。






「わたしのことを、食べてくれない?」
「――わたしのことを、食べてくれない?」






「あ、え。」
「……え。」


「小鳥さんになら、いいの。食べられてもいい。だって……わたし、小鳥さんのことが好きだから。」
「小鳥さんになら、いいの。食べられてもいい。だって……わたし、小鳥さんのことが好きだから。」
 さらさらと風がふきました。おきっぱなしになっていたあのお気にいりの甘あい実たちがゆれて、歌をうたっているようにみえました。
 小鳥は、いちごを食べることにしました。


「……わかった。」
「……わかった。」


「……ほんとうに? ほんとうにいいの? ……わたし、腐ったにおいがするし、カビもいっぱいはえてるし、それに……」
「え……ほんとうに? ほんとうにいいの? ……わたし、腐ったひどいにおいがするし、カビもいっぱいはえてるし、それに――」


「ぼくも……ぼくもいちごさんのことが、その……好き……だから。」
「ぼくも……ぼくもいちごさんのことが、その……好き……、だから。」


「そっか……ふふ、よかった。うれしい。」
「そっかあ……ふふ、よかった。うれしい。」


なんやかんや
 あのひどいにおいは、やっぱりどんどんつよくなってきています。だけど小鳥には、ふしぎと気もちわるくはありませんでした。


「……小鳥さん、ごめんね。やくそくをやぶってしまって。」
「……小鳥さん、ごめんね。やくそくをやぶってしまって。」
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「雲の上……つれていく、って言ってくれたのに。わたし、もう……。」
「雲の上……つれていく、って言ってくれたのに。わたし、もう……。」


「……ぼくも、ごめんなさい。……あのとき、うそをついた。」
「あ、あの……ぼくも、ごめんなさい。……あのとき、うそをついた。」


「……。」
「うそ……って?」


「ほんとうはね、雲の上にいったことなんてないんだ。……こわいから。」
「ほんとうはね、雲の上にいったことなんてないんだ。……こわいから。」


「ふふ、こどもみたいなりゆう!」
「……ふふ、こどもみたいなりゆう!」


「はは……」
「はは……。」


「でも、これでおあいこだね。」
「でも、これでおあいこだね。」
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「だって、小鳥さんがわたしをたすけてくれたのはほんとうだもの。」
「だって、小鳥さんがわたしをたすけてくれたのはほんとうだもの。」


「……ありがとう、いちごさん。」
「……ありがとう。」


「わたし、小鳥さんに出会えてよかった。」
「わたし、小鳥さんに出会えてよかったな。」
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