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「うん、とっても!」 | 「うん、とっても!」 | ||
小鳥は、すごくしあわせでした。 | 小鳥は、すごくしあわせでした。 | ||
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「小鳥くん、どうもこんにちは。」 | 「小鳥くん、どうもこんにちは。」 | ||
小鳥がうしろをふりかえると、そこには真っ黒でのっぽのカラスがいました。りっぱなつばさをもっていて、とってもとぶのがはやそうです。かっこいい! | |||
……だけど小鳥には、どこかぶきみなかんじがしました。 | |||
「こ、こんにちは、カラスさん。」 | 「こ、こんにちは、カラスさん。」 | ||
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「……! うん! あ、ありがとう!」 | 「……! うん! あ、ありがとう!」 | ||
小鳥は、いちごのことを好きになっていました。 | 小鳥は、いちごのことを好きになっていました。 | ||
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つばさをはためかせ、小鳥は空にとびあがっていきました。しかし、ケーキやさんがみえなくなっても、カラスはしつこく小鳥をおいかけてきます。それもものすごい速さで! | |||
小鳥はひっしで小回りをきかせてどうにか出しぬこうとしますが、カラスにはつうようしません。夕やけはもうむらさきがかってきていて、お日さまはしずみはじめています。 | |||
「小鳥くんはすばしっこいなあ。もういいからはやく食べさせてよう。」 | 「小鳥くんはすばしっこいなあ。もういいからはやく食べさせてよう。」 | ||
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「……どうしてぼくを食べようとするのさ! 街にはもっとほかにおいしい食べものがあるでしょう!」 | 「……どうしてぼくを食べようとするのさ! 街にはもっとほかにおいしい食べものがあるでしょう!」 | ||
小鳥とカラスはつかずはなれず、ついには街の真ん中にある時計台のてっぺんまできました。空はくらくなってきて、お日さまはもうはんぶんしかありません。早くおみせに戻らないと、いちごはすてられて、ゴミばこに入れられてしまいます。 | |||
……ついさっきいちごと出会ったばっかりなのに、どうしてこんなふうにおもっているのか――じぶんにもわからなかったけれど、小鳥にとってそんなことはぜったいにいやでした。 | |||
小鳥はいつのまにか、森のともだちとおなじくらい、もしかしたらそれいじょうに、いちごのことをだいじにおもっていたのです。 | 小鳥はいつのまにか、森のともだちとおなじくらい、もしかしたらそれいじょうに、いちごのことをだいじにおもっていたのです。 | ||
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七時をつげる時計台のおとが、小鳥をわれにかえらせました。にしの方をみると、あおぐろい雲の下、お日さまはほとんどしずみかかっています。 | |||
小鳥は、かんがえるよりさきに、じめんに向かってすごいスピードでおちはじめました。カラスもやっぱりあとをおって、まっさかさまにおちてきます。 | |||
「どうしたの小鳥くん、そのさきはただのじめんだよ! このままだとぶつかっちゃう!」 | 「どうしたの小鳥くん、そのさきはただのじめんだよ! このままだとぶつかっちゃう!」 | ||
カラスの言うとおり、小鳥はじめんに向かってまっしぐら。あぶない、ぶつかる――! | |||
というところでおっとっと、くるりとからだをひるがえします。しかしのっぽのカラスは小回りがきかず、そのままじまんの大きな羽をじめんに打ちつけてしまいました。これでカラスも、しばらくのあいだはおいかけてこられないでしょう。 | |||
「ぐっ……小鳥くん……ぼくはあきらめないからね! いつかきみのことを食べてあげるから!」 | 「ぐっ……小鳥くん……ぼくはあきらめないからね! いつかきみのことを食べてあげるから!」 | ||
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小鳥は、すぐさまいちごのもとへ向かいました。 | 小鳥は、すぐさまいちごのもとへ向かいました。 | ||
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カラスのことばには耳もかさず、小鳥はあのケーキやさんに向かってぜんそくりょくでかけていきます。お日さまはついに、とおくに見える山の向こうにしずんでしまいました。 | |||
小鳥の中でいやなそうぞうがふくらんでいきます。ちかづいてきたケーキやさんのえんとつからは、もうけむりはのぼっていません。……いちごさん、おねがい、ぶじでいて! | |||
小鳥はなりふりかまわず、今さっきみちでひろった小石をまどガラスになげつけました。大きな音を立てて、とうめいなガラスへんがくずれおちます。おみせのだれかのひめいもよそに、小鳥はわれたまどのすきまから中におし入って、目線はたなのはじっこの、ショートケーキのてっぺんの―― | 小鳥はなりふりかまわず、今さっきみちでひろった小石をまどガラスになげつけました。大きな音を立てて、とうめいなガラスへんがくずれおちます。おみせのだれかのひめいもよそに、小鳥はわれたまどのすきまから中におし入って、目線はたなのはじっこの、ショートケーキのてっぺんの―― |
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