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 '''幼馴染み'''
 '''幼馴染み'''


「あー、えっと、喧嘩中だった?」
<br> 「あー、えっと、喧嘩中だった?」
 うるうるとした目で首を傾げる彼女の名前は辻村瞳。僕の…幼馴染みと言うのだろう。クラスは祐介と同じ1年C組。バレー部期待の新人で、1年生ながらレギュラー入りしているスポーツマン、いや、スポーツウーマンか。
 <br> うるうるとした目で首を傾げる彼女の名前は辻村瞳。僕の…幼馴染みと言うのだろう。クラスは祐介と同じ1年C組。バレー部期待の新人で、1年生ながらレギュラー入りしているスポーツマン、いや、スポーツウーマンか。
「大丈夫だよ。そんなんじゃないさ。」
<br> 「大丈夫だよ。そんなんじゃないさ。」
 僕はグッと気持ちを押し込めて答える。すると、
 <br> 僕はグッと気持ちを押し込めて答える。すると、
「そうだそうだ。」
<br> 「そうだそうだ。」
と祐介も横から言ってくる。うるさい。
<br> と祐介も横から言ってくる。うるさい。
「ああ、それなら良かった。」
<br> 「ああ、それなら良かった。」
 瞳はまるでアニメの登場人物のようなリアクションで安心した後、スッとシリアスな表情になり、どうやってここ来たかを尋ねる間もなく本題に入った。多分、さっきの出来事をB組の生徒の誰かにでも聞いて、僕らが映研の部室にいると思ったのだろう。
 <br> 瞳はまるでアニメの登場人物のようなリアクションで安心した後、スッとシリアスな表情になり、どうやってここ来たかを尋ねる間もなく本題に入った。多分、さっきの出来事をB組の生徒の誰かにでも聞いて、僕らが映研の部室にいると思ったのだろう。
「ところでコータ。私ちょっと今日気になることがあって…」
<br> 「ところでコータ。私ちょっと今日気になることがあって…」
 またこれだ。実は瞳と僕は家が隣同士で、何か話したいことがあればいつでも帰れば話せるはずなのだ。しかし、それでも学校にいる間に瞳が僕を訪ねてくると言うことは、何か気になる“謎”を見つけてしまったからに違いない。
 <br> またこれだ。実は瞳と僕は家が隣同士で、何か話したいことがあればいつでも帰れば話せるはずなのだ。しかし、それでも学校にいる間に瞳が僕を訪ねてくると言うことは、何か気になる“謎”を見つけてしまったからに違いない。
 小学生の頃、瞳のふとした疑問を解いてあげてから、謎を発見すると僕に聞きに来るというルーティンがすっかり出来上がってしまっていたのだ。困るんだよ、下手に期待されると。今までは何とか運で解決できてはいたものの、今回もそうできるとは限らない。
 <br> 小学生の頃、瞳のふとした疑問を解いてあげてから、謎を発見すると僕に聞きに来るというルーティンがすっかり出来上がってしまっていたのだ。困るんだよ、下手に期待されると。今までは何とか運で解決できてはいたものの、今回もそうできるとは限らない。
「ところで、部活はどうしたんだよ」
<br> 「ところで、部活はどうしたんだよ」
 僕は話の腰を折って、どうにか有耶無耶にできないか、苦し紛れに質問をしてみる。
 <br> 僕は話の腰を折って、どうにか有耶無耶にできないか、苦し紛れに質問をしてみる。
「そう、そうなの。部活のことなんだけど…」
<br> 「そう、そうなの。部活のことなんだけど…」
 …おっと、やってしまったようだ。祐介が隣で紅茶を少し吹き出した。笑ってるんじゃねぇぞ。
 <br> …おっと、やってしまったようだ。祐介が隣で紅茶を少し吹き出した。笑ってるんじゃねぇぞ。
「いつもは部活に来る由紀がね、今日はなんか態度がおかしくて、ちょっと体調悪いのかわからないけど、もう帰っちゃんたんだ。」
<br> 「いつもは部活に来る由紀がね、今日はなんか態度がおかしくて、ちょっと体調悪いのかわからないけど、もう帰っちゃんたんだ。」
 ふむ。瞳はいつも通りよくわからない。
 <br> ふむ。瞳はいつも通りよくわからない。
「そんな事、由紀さんの友達に聞いてみればいいんじゃないかい?」
<br> 「そんな事、由紀さんの友達に聞いてみればいいんじゃないかい?」
「由紀はそんなに友達作るタイプじゃなくて、1番の親友は私なのよ。」
<br> 「由紀はそんなに友達作るタイプじゃなくて、1番の親友は私なのよ。」
 胸を逸せて誇らしげにそう言う彼女を、僕はとりあえずパイプ椅子に座らせた。
 <br> 胸を逸せて誇らしげにそう言う彼女を、僕はとりあえずパイプ椅子に座らせた。
 しょうがない…逃げられないなら、じっくり聴いてやろうじゃないか。
 <br> しょうがない…逃げられないなら、じっくり聴いてやろうじゃないか。


 <br> '''エルサの真実'''
 <br> '''エルサの真実'''
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