「利用者:キュアラプラプ/サンドボックス/丁」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
(最後だ!!!!)
編集の要約なし
5行目: 5行目:
 二月二十日午前一時、めっちゃデカい屋敷に悲鳴が響き渡った。
 二月二十日午前一時、めっちゃデカい屋敷に悲鳴が響き渡った。


 八名しかいない屋敷の中で、その主人である資産家<ruby>律家<rt>りつけ</rt></ruby><ruby>几帳男<rt>きちょうめん</rt></ruby>の遺体が発見されたのだ。
 八名しかいない屋敷の中で、その主人である実業家<ruby>律家<rt>りつけ</rt></ruby><ruby>几帳男<rt>きちょうめん</rt></ruby>の遺体が発見されたのだ。


 しかし、こういうミステリー小説にありがちな探偵は――いなかった。奇妙なことに、この屋敷での殺人劇には、事件の解決に乗り出すハッチ帽を被った紳士など終ぞ現れなかったのだ。
 しかし、こういうミステリー小説にありがちな探偵は――いなかった。奇妙なことに、この屋敷での殺人劇には、事件の解決に乗り出すハッチ帽を被った紳士など終ぞ現れなかったのだ。
21行目: 21行目:
「俺ぁ<ruby>有曾津<rt>うそつ</rt></ruby><ruby>王<rt>きんぐ</rt></ruby>。本名はガリレオ・ガリレイだ。俺のことは信用していいぜ」
「俺ぁ<ruby>有曾津<rt>うそつ</rt></ruby><ruby>王<rt>きんぐ</rt></ruby>。本名はガリレオ・ガリレイだ。俺のことは信用していいぜ」


「……あー、もしもし? 聞こえてますか? 電話越しですけど、一応僕も。此井江浩杉です。今一応そっちに向かってるんですけど、三回くらい同じ景色のところを通過してますね。ここは一体どこなんですかね? え、ちょっとこの家広すぎません?」
「……あー、もしもし? 聞こえてますか? 電話越しですけど、一応僕も。此井江浩杉です。今一応そっちに向かってるんですけど……あー、三回くらい同じ景色のところを通過してますね。ここは一体どこなんですかね? え、ちょっとこの家広すぎません?」


 人々が順番に自己紹介をしていく中、突如として放たれた奇声は場の雰囲気を大きく変えた。
 人々が順番に自己紹介をしていく中、突如として放たれた奇声は場の雰囲気を大きく変えた。
97行目: 97行目:
 大理石の白を基調とした書斎には、流し台や食器棚、ドリップ式コーヒーメーカーが据え付けられており、この部屋に初めて入った者にはキッチンだとしか思えない。
 大理石の白を基調とした書斎には、流し台や食器棚、ドリップ式コーヒーメーカーが据え付けられており、この部屋に初めて入った者にはキッチンだとしか思えない。


 ただしこの部屋は、書斎だろうがキッチンだろうが紛う方なき殺人現場だ。部屋の中心にあるテーブルには向かい合わせに椅子が二脚。そして、奥の方の椅子から転げ落ちるようにして倒れていたのが、律家几帳男の遺体だった。激しく抵抗した痕跡が残っており、左胸にはナイフが刺さっている。
 ただしこの部屋は、書斎だろうがキッチンだろうが紛う方なき殺人現場だ。部屋の中心にあるテーブルには向かい合わせに椅子が二脚。そして、奥の方の椅子から転げ落ちるようにして倒れていたのが、律家几帳男の遺体だった。激しく抵抗した痕跡が残っており、左胸にはナイフが刺さっている。直前まで彼が操作していたらしいタブレットには、軍事業界のニュースが表示されていた。


「っ……」
「っ……」
441行目: 441行目:




 ふと、階段の方から足音が聞こえた。
 ふと、階段の方から足音が聞こえた。ノレは咄嗟に、ギロチン台の後ろに身を隠す。


「おいおい、どうして隠れるんだ? このナイチンゲールが来てやったってのに……」
 階段を下り、ギロチン台に目を向けているこの男は――有曾津だ。ノレがそれを訝しむ間もなく、彼は滔々と語り始めた。
「警察が最初にその手の情報筋から得た情報はこうだった――律家几帳男、国内の軍需産業の第一人者である彼の住宅の地下で、秘密裏に大量の爆発物が製造されている。……几帳男は強い権力を持っている。それこそあの『機械・機械生体三原則』を変えてしまえるレベルにだ。真っ向から捜査しようとしたところで、握りつぶされてしまうかもしれない。だから警察は、この律家館に特殊機密捜査員を派遣することを選んだ」
「まさか……」
「そう、その捜査員こそ俺だ。『有曾津王』なんてのはもちろん嘘だよ」
 全くのノーマークだった男の正体に、ノレは唖然とした。また嘘をついているのかもしれないが、こいつと卦伊佐が繋がっていると考えると、全ての辻褄が合ってしまう。世哉があっけなく連れていかれたことも……
「そして詐欺師のフリをしてこの家の内情を捜査するにつれ……驚くべき事実が浮かび上がってきた。爆弾を製造していたのは几帳男ではなく、その妻、律家ノレだったんだ。その動機はつまるところ、几帳男の持つ莫大な富。爆発物への造詣も深い几帳男には、この家全体を破壊する威力を持った爆破装置の脅威もすばらしく理解できるだろう。そう思ったお前は、これをして彼の家と娘ごと人質にしてしまうことで、財産を強請ろうと考えていた……違うか?」
「……胸糞悪い質問ね」
「まあいい、とにかく……」
*ウソツの嘘~卦伊佐と協力・"爆発物取締法"・セヤ保護~
*ウソツの嘘~卦伊佐と協力・"爆発物取締法"・セヤ保護~
*警察の読み違い;身代放棄爆破
*警察の読み違い;身代放棄爆破
*ウソツの嘘2
*ウソツの嘘2
*ラレ;ノレへの"嘘"
*ラレ;ノレへの"嘘"
8,864

回編集

案内メニュー