「利用者:Notorious/サンドボックス/消滅の悪魔」の版間の差分

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むうう
(ぬああ)
(むうう)
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「もしもし、あたしメリーさん」
「もしもし、あたしメリーさん」
 たちまちさっきの電話の記憶がよみがえった。先ほどと同じ、高くて幼い女の子の声。
 たちまちさっきの電話の記憶がよみがえった。先ほどと同じ、高くて幼い女の子の声。
「今、あなたの家の最寄り駅にいるの」
「今、あなたの最寄り駅にいるの」
「ちょっ、あの、どなたで……」
「ちょっ、あの、どなたで……」
 あっけなく通話は切れ、ツーツーという音だけが残された。わたしは沈黙した画面を呆然と眺めることしかできなかった。この電話は一体なんなのか。何か嫌な予感がして、わたしは手のひらの汗をスカートで拭った。家へ向かう足が自然と速まる。
 あっけなく通話は切れ、ツーツーという音だけが残された。わたしは沈黙した画面を呆然と眺めることしかできなかった。この電話は一体なんなのか。何か嫌な予感がして、わたしは手のひらの汗をスカートで拭った。家へ向かう足が自然と速まる。
 アパートの階段を駆け足で上がる。一気に三階まで上がり、玄関の前に
 アパートの階段を駆け足で上る。一気に三階まで上がり、玄関の前に立った。こぼれてきた髪を払って、スカートのポケットに手を入れ、鍵を取り出す。
 突然、着信音が鳴り響いた。ビクッとして、鍵を取り落としてしまった。薄暗いアパートの廊下で、ひとり立ちすくむ。スマホは依然鳴っていたが、わたしは無視することに決めた。なぜか、この電話には出ない方がいい気がしたのだ。ポケットの中でスマホは放置して、わたしはかがんで鍵を拾い上げた。
「もしもし、あたしメリーさん」
 思わず悲鳴が漏れた。ポケットの中からあの声が聞こえてくる。どうして? 触ってないのに……。
「今、あなたの家の近くの大通りにいるの」
 だんだん近づいてる? そう思ったときには、スマホは噓のように沈黙していた。その時、不意に思い出した。メリーさんという名前。わたしが小さかった頃、お母さんに買ってもらったフランス人形。その子の名前が、メリーさんだった。でも、しばらくしたら飽きて、捨ててしまったのだ。まさか電話の相手は……。
 わたしは鍵を持つ手が震えていることに気づいた。なにか嫌な感じがして、はっと振り向いたが、夜の闇が広がっているだけだった。早く家に入ろう。わたしは鍵をさそうとしたが、指が震えてうまく入らない。焦りばかりが募っていく。
 ようやく鍵が回り、わたしは勢いよくドアを開けた。真っ暗な室内に飛び込み、電気をつける。見慣れたわたしの家だ。ドアを閉めて鍵をかけチェーンもかけると、わたしはようやくほっとした。いつの間にか心臓がバクバクしている。わたしはマスクをはぎ取ってゴミ箱につっこむと、大きく息を吸った。そしてスマホを取り出すと、電源をオフにしてしまう。これで、変ないたずら電話もかかってこない。そう考えると、なんだか気分が軽くなった。さっきまで怯えていたのがバカみたいだ。さて、お風呂に入ってさっさと寝てしまおう──
 プルルルルル
 一瞬で背筋が凍った。おそるおそるスマホに視線を向けると、「非通知」の三文字が何事もなかったかのように表示されている。
 おかしい。ありえない。確かにさっき電源を切ったのに……。ふっと着信音が途絶え、女の子の声が流れはじめた。どこか歪んだような、奇妙な声が言う。
「もしもし、あたしメリーさん」
 わたしは思わずスマホを放り投げた。リビングの壁にぶつかって固い音を立てたけど、それでも声は流れ続ける。
「今、あなたの家の前の角にいるの」
 そしてプツリと電話は切れた。後には、床にへたりこんだわたしだけが残された。体に力が入らない。
 何かが来る。もうすぐそこまで来ている。すぐにここまでやってきて……そしてどうなるのだ?
 いや、そんなことより、助けを呼ばないと。何か恐ろしいことが起こっているのは間違いないのだ。警察を呼ぼう。誰か大人に来てもらわないと。
 でも、わたしの家には固定電話はない。わたしは立ち上がって、床に転がっているスマホを拾い上げた。気味が悪いが、仕方ない。わたしは急いで電話アプリを立ち上げ、110番を素早くタップした。数回呼び出し音が鳴り、通話がつながった。わたしはほっとして語りかけた。
「もしもし、警察ですか? 実は変な電話がかかってきてて……」
「もしもし、あたしメリーさん」
 わたしは悲鳴を上げた。取り落としたスマホから、メリーさんの声が流れる。
「今、あなたの家の前にいるの」
 通話が途絶え、
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