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平成18年、都立あきる野第二高校の家庭科部が、新入部員歓迎会でいまさらを作って振る舞った。その結果、その年の新入部員は全員謎の退部を果たし、更に向こう2年新入部員が現れず、家庭科部は廃部となった。<ref>なお、「普通にそんな料理を新歓に出したからじゃね?」とか言ってる田吾作もいる。</ref>
平成18年、都立あきる野第二高校の家庭科部が、新入部員歓迎会でいまさらを作って振る舞った。その結果、その年の新入部員は全員謎の退部を果たし、更に向こう2年新入部員が現れず、家庭科部は廃部となった。<ref>なお、「普通にそんな料理を新歓に出したからじゃね?」とか言ってる田吾作もいる。</ref>


平成30年、人気YouTuber「コイコイ」が、動画の企画としていまさらを実食した。その結果、口に謎のまきびしが詰まって粘膜がズタズタになってひどく出血した。<ref>なお、「普通に入ってるからじゃね?」とか言ってる脳足りんもいる。</ref>
平成30年、人気カップルYouTuber「コイコイ」が、動画の企画としていまさらを実食した。その結果、口に謎のまきびしが詰まって粘膜がズタズタになってひどく出血した。<ref>なお、「普通に入ってるからじゃね?」とか言ってる脳足りんもいる。</ref>


令和2年、ある老夫婦がレストランでいまさらを注文し、それを食べた。その結果、食べ切らないうちに猛烈な腹痛に襲われ、救急車で搬送されたが、翌日息を引き取った。<ref>なお、「普通にトマトが入ってたからじゃね?」とか言ってるトマト嫌いもいる。</ref>
令和2年、ある老夫婦がレストランでいまさらを注文し、それを食べた。その結果、食べ切らないうちに猛烈な腹痛に襲われ、救急車で搬送されたが、翌日息を引き取った。<ref>なお、「普通にトマトが入ってたからじゃね?」とか言ってるトマト嫌いもいる。</ref>
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===材料の調達===
===調達===
3月2日当日、服毒自殺最大の障害・品瀬琢内を遠ざけるため、志仁田は一計を案じた。早朝、志仁田は品瀬に一通のメールを送った。そのメールには一枚の写真が添付されており、それはコルコバードの丘をバックに、丸々と肥えたフグを両手で掲げ持ち笑う、セーター姿の志仁田の写真であった。それを見た品瀬は15秒後にはタクシーを捕まえて空港へと急がせていた。しかし、その写真は、この前その辺のスタジオで撮った志仁田の写真にネットで拾ってきたリオの画像を合成したものだった。隕石騒動のとき品瀬を騙した経験から、志仁田は品瀬を遠ざける完璧な方法を思いついていたのだ。経由地のダラスからとんぼ返りしても、日本に帰ってくるまで二日近くかかる。今日の自殺は、品瀬のいないところで邪魔されることなく果たせるのだ。品瀬の乗った飛行機が羽田を発ったのを確認してから、志仁田はいまさらの制作に取り掛かった。志仁田は最大の障壁をさっさと除くことに成功したのである。
3月2日当日、服毒自殺最大の障害・品瀬琢内を遠ざけるため、志仁田は一計を案じた。早朝、志仁田は品瀬に一通のメールを送った。そのメールには一枚の写真が添付されており、それはコルコバードの丘をバックに、丸々と肥えたフグを両手で掲げ持ち笑う、セーター姿の志仁田の写真であった。それを見た品瀬は15秒後にはタクシーを捕まえて空港へと急がせていた。しかし、その写真は、この前その辺のスタジオで撮った志仁田の写真にネットで拾ってきたリオの画像を合成したものだった。隕石騒動のとき品瀬を騙した経験から、志仁田は品瀬を遠ざける完璧な方法を思いついていたのだ。経由地のダラスからとんぼ返りしても、日本に帰ってくるまで二日近くかかる。今日の自殺は、品瀬のいないところで邪魔されることなく果たせるのだ。品瀬の乗った飛行機が羽田を発ったのを確認してから、志仁田はいまさらの制作に取り掛かった。志仁田は最大の障壁をさっさと除くことに成功したのである。


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まず、志仁田は場所を確保した。電車に乗って東京まで出ていき、少し歩いていると広い河川敷を見つけたので、ここなら調理もしやすいだろうと思い、志仁田はそこを拠点に定めた。近くを通りがかった歩行者に聞いてみると、その大きい川は隅田川だという。志仁田はそこで行われる花火大会のことを思い出し、爆死も悪くないなと思ったが、いまさらに集中せねばとすぐに思い直した。
まず、志仁田は場所を確保した。電車に乗って東京まで出ていき、少し歩いていると広い河川敷を見つけたので、ここなら調理もしやすいだろうと思い、志仁田はそこを拠点に定めた。近くを通りがかった歩行者に聞いてみると、その大きい川は隅田川だという。志仁田はそこで行われる花火大会のことを思い出し、爆死も悪くないなと思ったが、いまさらに集中せねばとすぐに思い直した。


すぐ近くのなんか人が多くいる広場に行くと、志仁田はそこにいた人々になぜかめちゃめちゃ歓待された。志仁田が大きな机と皿を借りたい旨を話すと、なぜかめちゃめちゃ快く貸してくれ、あまつさえ手伝いを申し出てくれもした。志仁田はありがたく河川敷に机と皿を用意してもらい、いまさらの材料集めをお願いした。人々の歓迎ぶりには、先の小惑星事変の際、超人的な強靭さで次々と隕石を砕き割っていく少女の姿が世界中で広く伝えられたという背景があったのだが、そのときの志仁田には知る由もない。
せせらぎや散歩に訪れる人々の心地良い喧騒が優しく響いており、そこはとても気分が良かった。時刻は正午に近づいていたので、志仁田は弁当を土手に座って食べた。朝は対品瀬工作などで忙しかったが、いつも自分でお弁当を作って学校に行っていたから、ちゃっちゃと弁当を一つ用意する程度のことは志仁田にとって朝飯前だった。夕食はいまさらにするので、これが最後の昼餐になると思うと、冷めた唐揚げもいつもより美味しく感じるのであった。


朝10時、13人の人々が志仁田から買い物を仰せつかった。志仁田が適当に順番に指を差していき、買うものを割り当てていった。志仁田自身ももちろん買い出しに行くので、総勢14名が手分けしていまさらの材料を買いに出かけた。今日中にいまさらを作り終えるために、午後二時にはこの河川敷に帰ってくることを確認し、14人は散開した。人々は「サラダを作る」とだけ説明を受けていて、中には到底サラダの具材とは思えないものを買いに行かされる人も少なくなかったが、そこは地球を救った英雄、何か深いわけがあるのだろうと思い、誇らしげに自らの任務に就いた。
腹ごしらえのあと、すぐ近くのなんか人が多くいる広場に行くと、志仁田はそこにいた人々になぜかめちゃめちゃ歓待された。志仁田が大きな机と皿を借りたい旨を話すと、なぜかめちゃめちゃ快く貸してくれ、あまつさえ手伝いを申し出てくれもした。志仁田はありがたく河川敷に机と皿を用意してもらい、いまさらの材料集めをお願いした。人々の歓迎ぶりには、先の小惑星事変の際、超人的な強靭さで次々と隕石を砕き割っていく少女の姿が世界中で広く伝えられたという背景があったのだが、そのときの志仁田には知る由もない。
 
午後1時、13人の人々が志仁田から買い物を仰せつかった。志仁田が適当に順番に指を差していき、買うものを割り当てていった。志仁田自身ももちろん買い出しに行くので、総勢14名が手分けしていまさらの材料を買いに出かけた。今日中にいまさらを作り終えるために、午後5時にはこの河川敷に帰ってくることを確認し、14人は散開した。人々は「サラダを作る」とだけ説明を受けていて、中には到底サラダの具材とは思えないものを買いに行かされる人も少なくなかったが、そこは地球を救った英雄、何か深いわけがあるのだろうと思い、誇らしげに自らの任務に就いた。


志仁田は野菜を買いに[[八百屋]]に向かった。華の都・東京に商店は少ないのではないかと思っていたが、近隣住民に聞いた道を辿ると、あっさりと八百屋に行き当たり、さすがは東京だべ……と出身地でもない東北訛りを心中で披露してしまう志仁田であった。かくして八百屋に到着した志仁田は、難なくレタス・キャベツ・白菜・小松菜・ブロッコリー・トマト・きゅうりをゲットした。隕石騒動のあと、志仁田は偉い人になぜかめちゃめちゃ感謝されて、無敵クレジットカードみたいなカードをいっぱい貰ったので、購入資金には困らなかった。なお、おつかいに行ってくれている人々にも、そのカードを渡している。大体の野菜を調達した志仁田だったが、ただ一つ、八百屋には水菜がなかった。旬はそう外れていないのになあ困ったなあと思いながら、志仁田は別の八百屋を探して歩いていった。
志仁田は野菜を買いに[[八百屋]]に向かった。華の都・東京に商店は少ないのではないかと思っていたが、近隣住民に聞いた道を辿ると、あっさりと八百屋に行き当たり、さすがは東京だべ……と出身地でもない東北訛りを心中で披露してしまう志仁田であった。かくして八百屋に到着した志仁田は、難なくレタス・キャベツ・白菜・小松菜・ブロッコリー・トマト・きゅうりをゲットした。隕石騒動のあと、志仁田は偉い人になぜかめちゃめちゃ感謝されて、無敵クレジットカードみたいなカードをいっぱい貰ったので、購入資金には困らなかった。なお、おつかいに行ってくれている人々にも、そのカードを渡している。大体の野菜を調達した志仁田だったが、ただ一つ、八百屋には水菜がなかった。旬はそう外れていないのになあ困ったなあと思いながら、志仁田は別の八百屋を探して歩いていった。
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ひじきの妖精はトリカブトを入手するために、山へと向かっていた。どうせなら己のひじきパワーで新鮮なひじきをあの人間に食べさせてあげたかったが、あの人間がそこに集まった人々に適当に買うものを割り振ったので、仕方がない。妖精はいつもは羽の生えた蝶々のような姿をしている。しかし今は人間の女の姿に化け、人の世に顕れていた。ひじきの妖精はもちろん海出身だったが、それゆえに山に強い憧れを抱いており、よく山に遊びに行っていた。その際、あのトリカブトとかいう植物を見たことがあり、妖精はそこへと向かっていた。ふと人通りが絶えたところで妖精はポンと姿を変化させ、せわしなく羽ばたいて山へと飛んでいった。
ひじきの妖精はトリカブトを入手するために、山へと向かっていた。どうせなら己のひじきパワーで新鮮なひじきをあの人間に食べさせてあげたかったが、あの人間がそこに集まった人々に適当に買うものを割り振ったので、仕方がない。妖精はいつもは羽の生えた蝶々のような姿をしている。しかし今は人間の女の姿に化け、人の世に顕れていた。ひじきの妖精はもちろん海出身だったが、それゆえに山に強い憧れを抱いており、よく山に遊びに行っていた。その際、あのトリカブトとかいう植物を見たことがあり、妖精はそこへと向かっていた。ふと人通りが絶えたところで妖精はポンと姿を変化させ、せわしなく羽ばたいて山へと飛んでいった。


毒殺魔はミミイカとあん肝を買いに、鮮魚店へと向かっていた。どうせなら常備している毒物ストックからトリカブトをすぐに渡してあげたかったが、あの子がそこに集まった人々に適当に買うものを割り振ったので、仕方がない。毒殺魔は豊洲の方へ出張っていき、やがて青臭さに満ちた魚屋にたどり着いた。そこのおっちゃんに聞くと、ミミイカはないがアオリイカならあると熱弁され、結局押し切られて活きのいいアオリイカを買わされてしまった。それとアンコウも購入し、毒殺魔の習性でついついアカエイとかを探してしまったが、鮮度のいいうちに帰らねばと我に返って駅へと向かった。
毒殺魔はミミイカとあん肝を買いに、鮮魚店へと向かっていた。どうせなら常備している毒物ストックからトリカブトをすぐに渡してあげたかったが、あの子がそこに集まった人々に適当に買うものを割り振ったので、仕方がない。毒殺魔は豊洲の方へ出張っていき、やがて青臭さに満ちた魚屋にたどり着いた。そこのおっちゃんに聞くと、ミミイカはないがアオリイカならあると熱弁され、結局押し切られて活きのいいアオリイカを買わされてしまった。それとアンコウも購入し、毒殺魔の習性でついついアカエイとかを探してしまったが、鮮度のいいうちに帰らねばと我に返って駅へと向かった。しかし、その背後を足音もなくついてくる影に、毒殺魔はまだ気づいていない。


漁師の息子はサンドバッグを入手するために、ジムへと向かっていた。どうせならお父さんの獲ってくるイカやアンコウをあのお姉さんに食べさせてあげたかったが、お姉さんがそこに集まった人々に適当に買うものを割り振ったので、仕方がない。彼は、近くのスポーツジム跡へと足を向けた。そこにはかつては使われていたトレーニング器具が放置されており、たまに友達と遊んだりしていた。そこに黒くて彼くらいの大きさがあるサンドバッグが落ちていた。彼はそれを持っていこうとしたが、存外にそれは重くてなかなか運べない。彼は気合いを入れてサンドバッグの端を持ち上げ、引きずり始めた。筋力が鍛えられているのか、だんだん運ぶのが楽になっていくのに手応えを感じながら、彼は河川敷へと少しずつ少しずつ戻っていった。
漁師の息子はサンドバッグを入手するために、ジムへと向かっていた。どうせならお父さんの獲ってくるイカやアンコウをあのお姉さんに食べさせてあげたかったが、お姉さんがそこに集まった人々に適当に買うものを割り振ったので、仕方がない。彼は、近くのスポーツジム跡へと足を向けた。そこにはかつては使われていたトレーニング器具が放置されており、たまに友達と遊んだりしていた。そこに黒くて彼くらいの大きさがあるサンドバッグが落ちていた。彼はそれを持っていこうとしたが、存外にそれは重くてなかなか運べない。彼は気合いを入れてサンドバッグの端を持ち上げ、引きずり始めた。筋力が鍛えられているのか、だんだん運ぶのが楽になっていくのに手応えを感じながら、彼は河川敷へと少しずつ少しずつ戻っていった。
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公立中学校に通う男子は、そこらへんを足速に歩き回っていた。どうせなら今も持っている自学帳をあのお姉さんにあげたかったが、お姉さんがそこに集まった人々に適当に買うものを割り振ったので、仕方がない。その日は休日だったが、口うるさい親にせっつかれ、図書館へと勉強しに出かけたのだ。スマホは親に預けさせられ、勉強用具と最低限の貴重品だけを入れた肩掛けバッグを持ち、しかしなんとも気が向かないので川辺をぶらぶらしていたところで、世界を救った有名人に会ったのだ。だが、買い物もせずせかせかと歩いては人と肩をぶつけてしまい小声で謝ることを繰り返しているのには、わけがあった。三階フロアは手に入らないが、でも仕方ない。時間を適当に潰して戻ろう。このカードさえ返せば大丈夫だよな。だって……
公立中学校に通う男子は、そこらへんを足速に歩き回っていた。どうせなら今も持っている自学帳をあのお姉さんにあげたかったが、お姉さんがそこに集まった人々に適当に買うものを割り振ったので、仕方がない。その日は休日だったが、口うるさい親にせっつかれ、図書館へと勉強しに出かけたのだ。スマホは親に預けさせられ、勉強用具と最低限の貴重品だけを入れた肩掛けバッグを持ち、しかしなんとも気が向かないので川辺をぶらぶらしていたところで、世界を救った有名人に会ったのだ。だが、買い物もせずせかせかと歩いては人と肩をぶつけてしまい小声で謝ることを繰り返しているのには、わけがあった。三階フロアは手に入らないが、でも仕方ない。時間を適当に潰して戻ろう。このカードさえ返せば大丈夫だよな。だって……


マンション王はYSー11を買いに、スーパーへと向かっていた。どうせなら自分が所有するマンションの三階フロアを少女風ちゃんに提供したかったが、そうはいかなかったので仕方がない。それにしてもYSなんとかってなんなんだろう。知らないがとりあえずスーパーに来たんだからどうにかなるだろう。早速レジの爺さんに聞いてみると「それはとっくのとうに生産終了しとるよ」と言われてしまった。生産終了しているならどうしようもない。中古品を手に入れられるだろうか、いや限られた時間では厳しいか、などと考えるマンション王の前に、一つの値札があるのに気づいた。それを見た瞬間、マンション王は確信した。なんとかかんとかは生産終了したが、後継商品が発売されていたのだ!
マンション王はYSー11を買いに、コンビニへと向かっていた。どうせなら自分が所有するマンションの三階フロアを少女風ちゃんに提供したかったが、そうはいかなかったので仕方がない。それにしてもYSなんとかってなんなんだろう。知らないがとりあえずコンビニに来たんだからどうにかなるだろう。自覚はないが、マンション王は不動産収入だけで生きてきたため、市井のことに疎かった。ともかく、早速レジの爺さんに聞いてみると「それはとっくのとうに生産終了しとるよ」と言われてしまった。生産終了しているならどうしようもない。中古品を手に入れられるだろうか、いや限られた時間では厳しいか、などと考えるマンション王の前に、一つの値札があるのに気づいた。それを見た瞬間、マンション王は確信した。なんとかかんとかは生産終了したが、後継商品が発売されていたのだ! これを買っていこう! 
 
飛行機大好き少女はゴマドレッシングを買いに、スーパーへと向かっていた。どうせならパパにねだって買ってもらった[https://ja.wikipedia.org/wiki/YS-11 YS-11]の模型をあのお姉ちゃんに貸してあげたかったが、お姉ちゃんがそこに集まった人々に適当に買うものを割り振ったので、仕方がない。だいぶ綺麗になった道を自転車で走り、駐輪場で愛車を停める。足元に気をつけながら入店すると、慣れた足取りでゴマドレをゲットした。少女はおつかいを何度も経験している手練れであるゆえ、なんとセルフレジで会計を済ませ、自転車の籠にゴマドレを入れて河川敷へと戻っていった。おつかいを済ませたら、ママとパパにあのお姉ちゃんが川辺で何かしているよって教えてあげようと思いながら。
 
志仁田は水菜を買うのにめちゃくちゃ手間取った。別の八百屋に行っても売っておらず、そもそも土地鑑がないので店を探すのにも苦労し、ようやくあるスーパーで水菜を購入できたときには、既に日はだいぶ傾いていた。最初に買った野菜の入ったレジ袋を担いで長時間歩き回り、志仁田はもうへとへとだった。どんなに酷暑の日に走り回ってもどんなに極寒の日に薄着で寝ていても、今まで体調不良にならなかった志仁田にとって、こんな経験は初めてだった。しかし、こんな状態は自殺にうってつけのコンディションだとポジティブ思考をして、志仁田は河川敷へと歩を進めた。そして午後五時、志仁田は拠点たる隅田川河川敷に帰還を果たした。他のメンバーは既に帰ってきていて、これにて具材の調達が完了した。
 
===調理===
河川敷には多くの人が見物に来ていた。中にはカメラを構えて何事か話している者もいる。しかし、志仁田は意に介することなく、堤防を下りていった。そこには大きな机と調理用具一式、小型発電機に繋がれた冷蔵庫までもが用意されていた。手伝いを頼んだ人々が事前に準備を進めてくれていたのだ。
 
各人が入手した具材は、冷蔵保存が必要なら冷蔵庫の中に、そうでなければ机に置かれるシステムになっていた。志仁田はそれを確認すると、自らの戦利品を机の上に置いた。そして、家庭科の授業で作ったエプロンを着けると、いまさらの制作に取り掛かった。


==脚注==
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