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宇宙飛行士が聞いた話によると、その生物の文明はある時点の「陸地期」に生まれ、以来長い「海洋期」と短い「陸地期」をくりかえし経験しながら、現在まで絶えることなく続いてきたという。陸地期には、普段は海底で休眠している生物群も一斉に活動を再開し、惑星は一時の繁栄を謳歌する。彼らは神殿を建造し、石板に自身の名前を刻みつけて、その時代に立ち会うことのできた奇跡を称える。もっとも自由によろこびを歌い、狂ったように踊る。 | 宇宙飛行士が聞いた話によると、その生物の文明はある時点の「陸地期」に生まれ、以来長い「海洋期」と短い「陸地期」をくりかえし経験しながら、現在まで絶えることなく続いてきたという。陸地期には、普段は海底で休眠している生物群も一斉に活動を再開し、惑星は一時の繁栄を謳歌する。彼らは神殿を建造し、石板に自身の名前を刻みつけて、その時代に立ち会うことのできた奇跡を称える。もっとも自由によろこびを歌い、狂ったように踊る。 | ||
生物のほとんどは、この美しい時代の到来を待たずに死ぬか、ほんのすこし遅れて産まれてきてしまう。自身が幸運の世代であることを祈りながら、彼らは長い海洋期を生きていく。浮島は陸地期の度に編みなおされるが、波にさらされて劣化していくので、補修しつづけなければならない。さもなければ、浮島は裂けるように腐り落ち、別の浮島として分断されてしまった。半分になった浮島では、もとの人口の重さに耐えられないから、彼らはそのまま別の浮島で生きていくしかない。二百年も経つころには、補修の材料も尽き、浮島は数百に分裂してしまうという。 |
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