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これを言われて初めて、宇宙飛行士はこの浮島の一部に自身の機体に搭載されていたパラシュートが充てられていることに気づいた。こうやって惑星にやってくるパラシュートは、当然ながら高度な宇宙進出文明によって作られており、非常に強固な繊維を有しているため、これによる補修は数十年から長ければ百年もの間機能する。彼らの歓迎は、どうやらこの「恵み」に対する感謝の表れだったらしい。彼らは豪華に盛り付けられた魚料理を宇宙飛行士に捧げてきたが、未知の異星人の提供するものを食べるのは危険だし、そもそもこの惑星の外気はヒトに適さず、宇宙服を脱いで何かを食べるということ自体ができなかったので、汎用翻訳機を通じて丁重に断っておいた。 | これを言われて初めて、宇宙飛行士はこの浮島の一部に自身の機体に搭載されていたパラシュートが充てられていることに気づいた。こうやって惑星にやってくるパラシュートは、当然ながら高度な宇宙進出文明によって作られており、非常に強固な繊維を有しているため、これによる補修は数十年から長ければ百年もの間機能する。彼らの歓迎は、どうやらこの「恵み」に対する感謝の表れだったらしい。彼らは豪華に盛り付けられた魚料理を宇宙飛行士に捧げてきたが、未知の異星人の提供するものを食べるのは危険だし、そもそもこの惑星の外気はヒトに適さず、宇宙服を脱いで何かを食べるということ自体ができなかったので、汎用翻訳機を通じて丁重に断っておいた。 | ||
こういった宇宙遭難に備えて、宇宙船には救難信号の発信機と、半永久的に稼働できる生命維持室が用意されていた。しかし、宇宙服単独の生命維持機能は、わずか5日間で終了する。宇宙飛行士は、それまでに海底のどこかに沈む宇宙船を捜し出さなければならなかった。このだだっ広い、青黒い四角形の世界で、何をどう見つけることができるのか。幸いにも、浮島の住民たちは宇宙飛行士に休息の場を与えてくれたが、疲労は募るばかりであった。 | |||
この惑星の空は、日が沈むときも青いままだ。空と海を結ぶ水平線は、二つの青を凝縮した強く黒い青色に染まって、世界を完全に包囲していた。気まぐれに風に揺れる海の小さな欠片が、何万回、何億回とぶつかり合い、世界に一度しか生まれ得ないような偶然の瞬間に立って、周期を一致させ、世界を分断する平面を飛び越える。波は前進し、さらに大きくなって、やがて海の下へ帰っていく。この繊細かつ豊かなダイナミクスを感じるには、海はあまりにも巨大すぎた。海面に浮かぶ海底の屈折した景色が暗すぎて見えないのが、それぞれの太陽の光に目を焼かれないようにするためなら、海はいったい何を感じようとしているのだろうか。 |
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