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赤髪の子供には、もはや自分がどこかに向かって進んでいるという感覚はなかった。ただ手足を振り回し、するどい岩が複雑に張り巡らされている空間を辛うじてくぐりぬけている。それほどの暗さだった。その疲労と狭窄的な熱中とですでに末端の神経は麻痺しており、さらにここには血中の赤を人の目に映し出す光さえなかったから、体のあちこちにできている切り傷は、光が差してはじめて見えてくるだろうその醜い見た目に反して、しかし痛みを感じさせることはなかった。その子供は、奥から聞こえる声の方向に向かって、一連の動作をただ繰り返すだけだった。声は洞窟の内部で何重にも絡まっていて、発信源を特定することはできなかったが、とにかくその子供は洞窟の奥に向かって体を這いずらせ続けた。幸いにもこの洞窟は一本道だったから、子供は正しい道を進んでいた。 | |||
○黒髪 呼びよせる描写 | ○黒髪 呼びよせる描写 |
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