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<br> 私が陰で言われていることを話そうかな、と思った。話してどうなるものでもないかもしれないけれど、せめて楽になりたかった。実際何か行われたのかはわからないけれど、少なくとも、この二日間で私に手を差し伸べてくれたのは、彼女だけだった。そして私は、その手にすがらないと耐えられそうになかった。 | <br> 私が陰で言われていることを話そうかな、と思った。話してどうなるものでもないかもしれないけれど、せめて楽になりたかった。実際何か行われたのかはわからないけれど、少なくとも、この二日間で私に手を差し伸べてくれたのは、彼女だけだった。そして私は、その手にすがらないと耐えられそうになかった。 | ||
<br> 明日話そう。そう決めた。そのとき、和佳さんにまだ保健室まで付き添ってくれたお礼を言っていないことに気がついた。これも明日伝えよう。体の震えは少しだけ収まっていた。 | <br> 明日話そう。そう決めた。そのとき、和佳さんにまだ保健室まで付き添ってくれたお礼を言っていないことに気がついた。これも明日伝えよう。体の震えは少しだけ収まっていた。 | ||
<br> | <br> けれど次の日、クラスの中でただ一人、和佳さんは学校を休んだ。担任は、風邪だと言っていた。そして、私の心は折れた。 | ||
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「どうしたの。早く読みなさい」 | |||
<br> 木下先生は、明らかにおとといより機嫌が悪かった。私はうつむいて教科書を見つめることしかできなかった。 | |||
<br>「黙っていても何も変わらないわよ」 | |||
<br> 先生が苛烈な言葉を飛ばすほどに、私の喉は凍りつき、声が出せなくなった。体が震える。 |
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