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(→物語る記事) |
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第四の特長は、ビジュアル性である。画像を使ったコンテンツを作れるというだけでは、構談社RAWはもちろんWikiWikiオンラインショップやWikiWikiオンラインDIYにおいても同じことが言えるが、ここでのビジュアル性はむしろ画像(あるいはCSSで描写されるオブジェクト)をいかに一つの要素としてコンテンツの中で活用できるかを問題にするものであり、それは画像がコンテンツそのものであったり、また画像の扱いに自由度が無いようなこれらの姉妹プロジェクトには無い、記事の明確な独自性の一つである。記事の中では、画面全体の中に画像を自由に配置してキャプションや本文で説明することを基本として、「[[鬱]]」や「[[創作漢字]]」、「[[ドア派]]」のように大喜利と組み合わせたり、「[[クーネル・サンダース]]」や「[[寿司]]」のように単にビジュアル表現を連ねたりして、印象深い作品を作り出すことが出来る。記事のビジュアル性は、単に画像の一枚一枚をコンテンツとして扱うことを超えて、画像やCSSのインパクトを最大限利用する作品を生み出すことを可能にするのである。物語への利用に関して、特に初期のオンラインノベルには挿絵やCSSデザインが利用されている例もあるが、記事のビジュアル性は単なる挿絵や装飾以上の重みをもつ視覚的要素を活用して物語の表現にインパクトを与えることができる。「[[空耳]]」や「[[ビタ眠剤]]」のようなラストを締めくくる働きもあれば、「[[将棋]]」や「[[バイクに乗るゴリラ]]」のような物語の経緯全てをビジュアルで描写するようなものもあり、いずれにしてもより視覚的で直接的な形で物語を見て楽しむことができる。 | 第四の特長は、ビジュアル性である。画像を使ったコンテンツを作れるというだけでは、構談社RAWはもちろんWikiWikiオンラインショップやWikiWikiオンラインDIYにおいても同じことが言えるが、ここでのビジュアル性はむしろ画像(あるいはCSSで描写されるオブジェクト)をいかに一つの要素としてコンテンツの中で活用できるかを問題にするものであり、それは画像がコンテンツそのものであったり、また画像の扱いに自由度が無いようなこれらの姉妹プロジェクトには無い、記事の明確な独自性の一つである。記事の中では、画面全体の中に画像を自由に配置してキャプションや本文で説明することを基本として、「[[鬱]]」や「[[創作漢字]]」、「[[ドア派]]」のように大喜利と組み合わせたり、「[[クーネル・サンダース]]」や「[[寿司]]」のように単にビジュアル表現を連ねたりして、印象深い作品を作り出すことが出来る。記事のビジュアル性は、単に画像の一枚一枚をコンテンツとして扱うことを超えて、画像やCSSのインパクトを最大限利用する作品を生み出すことを可能にするのである。物語への利用に関して、特に初期のオンラインノベルには挿絵やCSSデザインが利用されている例もあるが、記事のビジュアル性は単なる挿絵や装飾以上の重みをもつ視覚的要素を活用して物語の表現にインパクトを与えることができる。「[[空耳]]」や「[[ビタ眠剤]]」のようなラストを締めくくる働きもあれば、「[[将棋]]」や「[[バイクに乗るゴリラ]]」のような物語の経緯全てをビジュアルで描写するようなものもあり、いずれにしてもより視覚的で直接的な形で物語を見て楽しむことができる。 | ||
以上のように、記事には「説明性」「協働性」「労働性」「ビジュアル性」という、他の姉妹プロジェクトに無い(労働性に限っては他の姉妹プロジェクトで扱うのが難しい)独自の四つの特長が存在し、これらがそれぞれ記事でしかできない、物語とは違った形の素晴らしい創作活動を行うことを可能にしていること、さらにまたこれらの特長(協働性を除く)によって、ノベルではなく記事で物語を表現する積極的な利点が生まれることが明らかになった。姉妹プロジェクトが創作活動のメディアとして各々で専門性を持ち独立していく中で、全ての創作活動を包含する舞台だった記事はその役割を失ってしまったが、代わりに新たな輪郭を得、新しい姿で常習者の元に現れたのである。 | |||
===結び=== | |||
本項は、落日の記事がこれからどのような創作活動の舞台として積極的に意味づけられていくべきかを探るため、「ノベル的な記事」の考察を通してノベルと記事の関係そして記事の衰退の理由を独自に解釈し、そこから得られた記事復興の課題を今日明確になった記事の独自性と結びつける形で論じて、多くの収穫を得た。記事はWikiWikiの初期衝動を形にし、多くのイベントの焦点として常習者文化の起点かつ中心となってきたものだ。ここで整理され再定義された記事のあり方が、今後より一層洗練されて記事に還元され、WikiWikiの次の十年を引っ張っていく駆動力になることを願って筆を置かせてもらう。 | |||
「展開」についてのアイデアと寝食を提供してくれたNotoriousに捧げる。 | |||
===脚注=== | ===脚注=== | ||
<references group="*"/> | <references group="*"/> | ||
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