10,123
回編集
(ひにゃあ) |
|||
| 43行目: | 43行目: | ||
1924年頃になると、トンデンヘイツノムシの生息域の限界は北極圏周辺にまで拡大していた。寒帯地域に生息したトンデンヘイツノムシは少なかったが、ツンドラ地帯に僅かに自生するイネ科植物を食物とし<ref>トンデンヘイツノムシにはコケ植物や地衣類を消化する能力がなかった。</ref>、限られた資源のために激しい種内競争が発生した。この競争を淘汰圧として登場したのが、雑食化したコクゾウムシの一種'''トンデヒニイツノムシ(トンデンヘイイヌイットツノムシ)'''である。トンデヒニイツノムシは外見こそトンデンヘイツノムシと顕著な違いは無かったが、従来の草食性に加えてコケ食や肉食が可能になり、また獣毛を食することもあった。ほとんどのツンドラの植生、さらに動物の死骸を栄養源と出来たことから、トンデヒニイツノムシはトンデンヘイツノムシに変わってツンドラ地帯で台頭することになり、シベリアから西進して北アメリカ大陸北部にも進出した。 | 1924年頃になると、トンデンヘイツノムシの生息域の限界は北極圏周辺にまで拡大していた。寒帯地域に生息したトンデンヘイツノムシは少なかったが、ツンドラ地帯に僅かに自生するイネ科植物を食物とし<ref>トンデンヘイツノムシにはコケ植物や地衣類を消化する能力がなかった。</ref>、限られた資源のために激しい種内競争が発生した。この競争を淘汰圧として登場したのが、雑食化したコクゾウムシの一種'''トンデヒニイツノムシ(トンデンヘイイヌイットツノムシ)'''である。トンデヒニイツノムシは外見こそトンデンヘイツノムシと顕著な違いは無かったが、従来の草食性に加えてコケ食や肉食が可能になり、また獣毛を食することもあった。ほとんどのツンドラの植生、さらに動物の死骸を栄養源と出来たことから、トンデヒニイツノムシはトンデンヘイツノムシに変わってツンドラ地帯で台頭することになり、シベリアから西進して北アメリカ大陸北部にも進出した。 | ||
トンデヒニイツノムシを最初に発見したのは、特に伝統的な生活様式を保っていたイヌイットの集団だったとされる。イヌイットの伝統的な衣服はアザラシなどの動物繊維から作られており、以前は食害の被害はごく稀だったが、トンデヒニイツノムシがカナダ北部に広がり始めた1949年頃から、未知の昆虫による衣服の食害の報告が相次ぐようになった。これを受けてアメリカ合衆国の研究者らが調査を行った結果、トンデヒニイツノムシは公式に新種として認められることとなった。トンデンヘイツノムシとの近縁性から、研究チームはこの昆虫の通称として "Tondenhei weevil" に「イヌイット」を付け加えた "Tondenhei inuit weevil" というものを当初用いていたが、次第にこの名前は短縮されて "'''Tondenheinuit''' weevil" | トンデヒニイツノムシを最初に発見したのは、特に伝統的な生活様式を保っていたイヌイットの集団だったとされる。イヌイットの伝統的な衣服はアザラシなどの動物繊維から作られており、以前は食害の被害はごく稀だったが、トンデヒニイツノムシがカナダ北部に広がり始めた1949年頃から、未知の昆虫による衣服の食害の報告が相次ぐようになった。これを受けてアメリカ合衆国の研究者らが調査を行った結果、トンデヒニイツノムシは公式に新種として認められることとなった。トンデンヘイツノムシとの近縁性から、研究チームはこの昆虫の通称として "Tondenhei weevil" に「イヌイット」を付け加えた "Tondenhei inuit weevil" というものを当初用いていたが、次第にこの名前は短縮されて "'''Tondenheinuit''' weevil" となり、この省略形がそのまま正式な学名にも適用された結果、日本語の名称も英語の発音に準じて「'''トンデヒニイ'''ツノムシ」と表記されることが一般的になった。 | ||
===第三の試練・月面=== | ===第三の試練・月面=== | ||
回編集