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この研究では,音声学の観点から,開いた口が塞がらない状態の日本語の変化,主に発音と表記について考える。音声学とは,人間による音声について研究する学問であり,ここでは音声学の中でも「発音」を主とする分野である調音音声学に基づいていく。 | この研究では,音声学の観点から,開いた口が塞がらない状態の日本語の変化,主に発音と表記について考える。音声学とは,人間による音声について研究する学問であり,ここでは音声学の中でも「発音」を主とする分野である調音音声学に基づいていく。 | ||
まず発音について,ここでは「単音」,つまりそれぞれ一つずつ絶対的に存在する音声に着目して考えていく。つまり,例えば「あっかんべー」という文字列を「[ä]/[kː]/[ä]/[m]/[b]/[e̞ː]」と区切って,それぞれの音の特徴などを踏まえ,開いた口が塞がらないことによる影響を考えるということだ。 | まず発音について,ここでは「単音」,つまりそれぞれ一つずつ絶対的に存在する音声に着目して考えていく。つまり,例えば「あっかんべー」という文字列を「[ä]/[kː ]/[ä]/[m]/[b]/[e̞ː ]」と区切って,それぞれの音の特徴などを踏まえ,開いた口が塞がらないことによる影響を考えるということだ。 | ||
そして表記について,ここでは「音素」,つまりある言語において同じものであるとされる音声の集合に着目して,変化した発音を日本語として捉え直していく。例えば,文字列「アンパン」について,音声として捉えれば,実際には違う音([ä'''m'''pä'''ɴ'''])であるにもかかわらず,日本語では二つの「ン」は同一と見なされる(/a'''ɴ'''pa'''ɴ'''/)。これが音素の特徴であり,これによって日本語には本来存在しない音声をも日本語で表すことができるのである。 | そして表記について,ここでは「音素」,つまりある言語において同じものであるとされる音声の集合に着目して,変化した発音を日本語として捉え直していく。例えば,文字列「アンパン」について,音声として捉えれば,実際には違う音([ä'''m'''pä'''ɴ'''])であるにもかかわらず,日本語では二つの「ン」は同一と見なされる(/a'''ɴ'''pa'''ɴ'''/)。これが音素の特徴であり,これによって日本語には本来存在しない音声をも日本語で表すことができるのである。 | ||
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*2なお,促音・長音については,それぞれ長子音・長母音の一部であり,開いた口が塞がらない状態でもこれらは存在するため,開いた口が塞がらない場合においても何ら変化はない。 | *2なお,促音・長音については,それぞれ長子音・長母音の一部であり,開いた口が塞がらない状態でもこれらは存在するため,開いた口が塞がらない場合においても何ら変化はない。 | ||
==== 第2節 日本語の母音 ==== | ==== 第2節 日本語の母音 ==== | ||
まず,母音とは「調音位置が存在しない音」のことである。つまり,気流(肺からの息の通り道)を一切妨げずに発する音,ということである。日本語の母音には,「あ」「い」「う」「え」「お」で表される5種類が存在している。 | まず,母音とは「調音位置が存在しない音」のことである。つまり,気流(肺からの息の通り道)を一切妨げずに発する音,ということである。日本語の母音には,「あ」「い」「う」「え」「お」で表される5種類が存在している。 |
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