Sisters:WikiWikiリファレンス/小売店民話/真っ赤な猿
……で、まああの、多分、これは俺の憶測なんだけど、皆生きるのを諦めちゃったんだよ。それであの、ありったけの――あの、さっき言ったじゃん、あの、「文明は余剰生産から始まる」と――で、まああの、食わずして、それ……それだけを、その、交易に使って、それで、あの、何だっけ、金持ちのような嗜好……嗜好品を、何だろう、用いようとしたわけよ。で、それで、たどり着いたのが、この、何を隠そう、(小売店を指しながら)このコンビニ。で、何を買ったと思う? ストロングゼロ。でも、ストロングゼロ、買ったはいいものの、何者かによって隠されてしまった。それで村人たちは全員絶望した。皆、その、暮らしを、もう、身銭を切ってまで、皆で出し合って買ったストロングゼロが消えてしまったと。こんなに悲しいことはない、ということで、まあ、それより、まあ、ショックもあっただろうに、まあほんとに、お腹も空いていた、で餓死して……餓死寸前だったんだよね。それでおじいさんは死んでしまったと。じゃあ真っ赤な猿は、それを見てどうしたかっていうと、分裂したんだよ。真っ赤な猿は、実は生物じゃなかった。というのもあの、金属……金属でできてたんだけど、その、なに、薄い膜と……にコーティングされてて、まあ、なんで村人たちがそれを猿だと思ったのかは、まあ、よくわかってないんだけど、まああの、一説によると「素早く動くから」っていうのがあって、まあ、それはあの、赤い猿は、ほんとにあの、よく、――まあ、てか、もう解明はできないんだけど。死んじゃったから。――それであの、分裂して、というのも、あの、あれなんだよね、普通考えられないくらいのレベルで、でっかくなってから分裂したんだよ。で実は、あの、その猿が……猿の遺骸が、今でも、あの、俺らの生活に根付いているわけよ。何かって言うと、(小売店駐車場に駐まる車を指しながら)ああいう、あの、ライト。車の。そうそう。それで、皆、あの、幸福な生活をしていると。でも考えて。その、猿っていうのはおじいさんに信頼……おじいさんを信頼してたわけで、そうなると、まあ、この日本っていうのは世界でも先進国に入る国じゃん。ってことはだよ、あの、村人たちは全員富裕層を憎んでいたと。お前、車持ってる? ……お前の親車持ってる? その車に、ライトとか付いてない? もしかしたら、猿が赤い理由は、私達の血液なのかもしれません。ハハハハ。