Sisters:YGT財団/YGT-015

アイテム番号: YGT-015

オブジェクトクラス: Hoefler Neutralized

有効な外部存在対策:

YGT-015をサイト-12「パンドラ」に保管してください。

YGT-015は無力化されたため、現在対策の必要はありません。

説明:

発見当時のYGT-015の外見。

YGT-015は、長さ15cmほどの木製の細い棒状の物体であるYGT-015-Aと、弾性を有し表面に透明黒褐色のゲルを纏った白色で球状の物体であるYGT-015-Bによって構成されており、YGT-015-Aが複数のYGT-015-Bの中心を貫きそのまま固定することで一体として連結しています。財団が捕捉できたYGT-015-Bは計四つですが、YGT-015-Aの長さから考えて五つ目と六つ目のYGT-015-Bが過去に存在した可能性があります。

人が、何らかの原因によって現実に生じた結果を思い浮かべながらYGT-015-Bの一つを食べると、 その結果に対応する原因因子に関する現実改変イベントが発生します。具体的には、その結果が一般的な「団子」を原因に引き起こされたものとして自然な形で改変されます。

この性質が確認されてから、YGT-015は一般研究サイトを離れ、非自律運動型アノマリー厳重保管施設であるサイト-12に移送されました。最終的には、YGT-037脱走事件に際して、財団上層部の決定のもと行われた超外部存在運用法規的措置をきっかけにその時点で残っていたYGT-015-Bの最後の二つが全て使用された結果、YGT-015は異常性を完全に失い、単なる竹串となりました。

記録:

  • YGT-015-B-1
使用者 過去に殺人を犯したDクラス常習者
思い浮かべた結果 自身が刃物でめった刺しにしたことによる被害者の死
観測された現実改変 当該職員が殺害した人物の死因が改変され、団子を喉に詰まらせたことによる窒息死となっていた。当該職員は財団の死刑囚・無期懲役囚雇用制度によりリクルートされていたため、犯罪の事実が消失した結果財団職員でなくなり、妻子を得て一般市民として生活していた。
備考 YGT-015の異常性が確認され、有効な外部存在対策プロトコルが完成した。現実復旧システムは問題なく機能し、当該職員は記憶処理の後職務に復帰した。
  • YGT-015-B-2
使用者 サイト-12に不正にアクセスしたBクラス常習者(対策研究員)
思い浮かべた結果 自身の財団内での横領行為によって生じた出金
観測された現実改変 当該職員が、団子を購入する経費として承認された形で正当に出金したことになっていた。会計監査部の対アノマリー着服チームがこの事態を観測・把握し、財団コンプライアンス部に報告したことで事件が明るみになった。
備考 財団コンプライアンス部直下の部署に対する不正現実検出器の支給量が増加した。当該職員の不正な実験は現実復旧システムの作動に必要な適切な手順を踏んでいなかったので、現実復旧は断念され、当該職員は横領とその隠蔽ではなくアノマリーの不正利用を理由に終了(IP-BAN)措置を下された。これ以降YGT-015の管理が強化された。
  • YGT-015-B-3
使用者 W5評議会代表者
思い浮かべた結果 YGT-037の脱走による████、███共和国、█████国の壊滅
観測された現実改変 以上の国家群の壊滅が、ある一玉8gの団子が自身のシュワルツシルト半径(1.19×10-26mm)よりも小さく圧縮されたことによって誕生したブラックホールによる地球全体の壊滅に付随するものであることになった。
備考 W5評議会の議決により、YGT-015が有する何らかの事象の原因を置き換える性質を利用して、YGT-037の脱走を無かったことにし被害の拡大を防ぐ方策が実施されたが、却って甚大な被害を招いた。この「団子が複数の国を壊滅させるときの最も自然な方法」の余波として起こった地球の消滅により、地球上の全財団関連施設・部隊は完全に機能を喪失した。外部時空で監視作業を行っていたサイト-4「方舟」の駐在職員が母時空におけるこの事態を感知したが、異なる時空に対する現実復旧システムの用意は無かった。彼らはクラスB-地球喪失プロトコルに従って緊急用転移アノマリーを消費し、ブラックホールの中に消えたW5評議会を「復旧」させてサイト-4に招集した。
  • YGT-015-B-4
使用者 W5評議会代表者
思い浮かべた結果 ブラックホールに引き込まれたことによって地球上の全人類の間に起こった、味覚によって得られる情報の同質化
観測された現実改変 地球上の全人類の口腔内に団子が出現し、ブラックホールは出現しなかったことになった。YGT-037の脱走事件も発生していなかった。
備考 YGT-015-B-3によって引き起こされた状況を打開するための強力なアノマリーリソースをサイト-4に取り寄せることはほとんど望めなかったため、W5評議会は同時に復旧されたYGT-015-Bの最後の一玉を利用する方策を練った。W5評議会は団子が何かの原因に成り代わる仕方に要求される「自然さ」への考慮が不足していたことを理解し、思い浮かべる「結果」を非常に団子と親和性の高い、原因の改変先が予測可能であり甚大な被害を招く可能性が低いものに定めることによって事態の収拾を図った。この結果、乳幼児や高齢者を主とする、合計数十万人規模の団子で窒息したことによる死者・負傷者が出たが、地球上の全人類の味覚的知覚を感覚不可能という形で統一する原因になったYGT-015-B-3によるブラックホールが、団子にすげ替えられて元から存在しなかったことにされたことで、地球の消滅は取り消された。この事件は財団が初めて直面したクラスB-地球喪失プロトコルの適用事例であり、地球喪失イベントへの備えは杞憂ではないと証明されたことで、当時ほとんど素行不良職員の左遷先としてしか運用されていなかったサイト-4は財団随一の重要施設として急速に整備されるようになった。