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(内容を「{{警告|内容=ネタバレとかを含む執筆背景にて用心せい}} {{格納|中身= 「拡張現実」に対する「縮小現実」というアイデアは、かなり昔、グレキ2年くらいには思いついていたもので、この時点で「嫌なものを見ないことにする」ことの恐ろしさについて書くことは決まっていた。最初の頃は、最終的に自分自身を含めた世界の全てを消してしまうと…」で置換) タグ: 置換 |
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「拡張現実」に対する「縮小現実」というアイデアは、かなり昔、グレキ2年くらいには思いついていたもので、この時点で「嫌なものを見ないことにする」ことの恐ろしさについて書くことは決まっていた。最初の頃は、最終的に自分自身を含めた世界の全てを消してしまうという、ドラえもんの「どくさいスイッチ」みたいな展開なんかを検討したものだが、扱うテーマが巨大すぎたこともあり行き詰って数年間放置していた。そうしている内に生成AIの技術が発達・普及していき、<s>今は亡き</s>フワちゃんのCMでお馴染み「消しゴムマジック」が現れたことで、気付いたら勝手に「縮小現実」を実現するデバイスの技術的な設定が現実に出来上がってしまっていたのが、「縮小現実」がノベァメモの底から復活できた大きな要因の一つだろうわ。作中の「消しゴムフィルター」はもちろんこいつを意識したものになっている。 | 「拡張現実」に対する「縮小現実」というアイデアは、かなり昔、グレキ2年くらいには思いついていたもので、この時点で「嫌なものを見ないことにする」ことの恐ろしさについて書くことは決まっていた。最初の頃は、最終的に自分自身を含めた世界の全てを消してしまうという、ドラえもんの「どくさいスイッチ」みたいな展開なんかを検討したものだが、扱うテーマが巨大すぎたこともあり行き詰って数年間放置していた。そうしている内に生成AIの技術が発達・普及していき、<s>今は亡き</s>フワちゃんのCMでお馴染み「消しゴムマジック」が現れたことで、気付いたら勝手に「縮小現実」を実現するデバイスの技術的な設定が現実に出来上がってしまっていたのが、「縮小現実」がノベァメモの底から復活できた大きな要因の一つだろうわ。作中の「消しゴムフィルター」はもちろんこいつを意識したものになっている。 | ||
図画・作文・書道コンクール開催にあたって、ラプラプは「曖昧」「<ruby>人問<rt>チャーハン</rt></ruby> | 図画・作文・書道コンクール開催にあたって、ラプラプは「曖昧」「<ruby>人問<rt>チャーハン</rt></ruby>」「しわくちゃ」に続き、仰々しく言えば同時代の社会特有の問題とそこに結び付く人間の性質をテーマにした創作文を書かなければならなかった。元々新聞社主催のコンクールだったから、時事性の高いテーマをまっすぐ描いて気に入られたかったわけである。そこで、元からそういうニュアンスで構想されていた「縮小現実」が今回のコンクールで書く創作文として抜擢された。プロットを考え始めた当初は、NTR系絵師に対するXでの実体験から、SNS的な「ブロック」の性質に重きを置いた話で考えていたが、消しゴムマジック的「加工」の技術とこんがらがってしまうのでその設定は消え、作中で語られる過去に一部関連する形に留まった。ラプラプ創作文シリーズの意志を継いで、主人公に関して読者を驚かせる展開(外で泣いているのが自分の子供だった「曖昧」、ナースはヒトとAIの二人いて自分はAIだった「人問」、娘と孫の名前が出てこないなど認知症の症状があった「しわくちゃ」のような)を考えるにあたっては、子供が親を殺してそれを見なかったことにしている、という展開を最初考えていた。VRゴーグル(後にスマートグラスになる)の機能で親の死体と共にVRゴーグルそれ自体を消したことによって視覚の上でも、またトラウマによる解離性健忘によって記憶の上でも、親を殺した事実を(さらにそれを消した事実も)認識できなくなっていたというからくりだった。 | ||
かねてよりNotoが「学校ノベルを書け」と主張していたこともあり、消しゴムマジック技術による無視というアイデアから生まれたいじめの要素とうまく結びつけたかったこともあり、この案は変化して「いじめられている生徒が実は自分がしたいじめを見なかったことにしていた」という学校を舞台とした本作のプロットに仕上がった。初の学校ノベルということで気合を入れたかった(またはプロットを考えるのに飽きて娯楽を欲した)ラプラプはこの時期、米澤穂信『クドリャフカの順番』(Notoより帯出)や梨『お前の死因にとびきりの恐怖を』という学校舞台ノベルを読んで興奮した。その中で、学校ノベルに必要な物として痛感したのが登場人物のキャラクター性だった。客観的な記述で進行する「知らない探偵」シリーズや「掛け駄段々」にはある程度個性のあるキャラクターが登場しているとはいえ、かねてよりラプラプはこと視点人物のキャラクター性を欠かせがちであり(それが雰囲気に適うノベルもあるだろうが)、今回の執筆で最も意識したのは主人公の夢を始めとした登場人物たちのキャラクター性のことだったと思う。今思えば『クドリャフカの順番』(特に2例)も『お前の死因にとびきりの恐怖を』(特に1例)も、謎事件・謎言動の動機がそれをした者の立場や思いに立って明らかにされるという構造は共通で(いやまあ大体の謎あり話ってそうかも)、行動に深みを持たせるキャラクター性ほど素晴らしい、となるなどした。特に凱也のある種の悲痛さは、おもっきし『お前の死因にとびきりの恐怖を』に影響を受けている。 | |||
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